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檸檬くんとまさかの
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ゆさゆさ身体が揺れてる。
なんだろ。
「ねこまんまー」
あ。檸檬くんだ。
「もうすぐ乗り換えだよ、起きて」
檸檬くん。前髪長すぎて顔見えない。
ほんとに檸檬くん?
両手を伸ばして前髪を左右に分けた。
きれいな目が見えたーー気がした。
ごめん、ねっむい。
「ピピピ ピピピ ピピッ」
スマホのアラームの音が鳴り響く。
枕元に手を伸ばして探すも、スマホが手に当たらない。あれ?いつ帰ってきたんだろう。
重い瞼を開けると、知らない天井が見える。
ムクリと起き上がりきつく目を閉じていると、次第に意識がはっきりしてきた。
「ん??????」
知らない部屋にいたーー。
ハッとして身体を見ると服は来てる。ホッと息を吐き、次は恐る恐る、隣を見てみるとーー
「檸檬くんーー?」
檸檬くんの栗色の頭が、こちらに背を向けるように布団からひょっこり頭を出している。
枕元には黒縁の眼鏡。
スヨスヨと寝息が聞こえ、まだ寝ているのだろう。
ほんのり痛む気がする頭を抑え、昨日のことを振り返る。
間違ってお酒を飲んだ後何杯か飲まされて、終電が早めだからって檸檬くんと先上がってきたんだ。
電車に乗ってからの記憶がない。ハテーー
部屋を見渡すと、どう見てもーー
「ラブホかーー」
部屋の一角では、ガラス張りのお風呂がほのかに紫色の輝きを放っている。これでどうやって入浴しろと言うのだろう。
空調が効いたーー効きすぎた部屋は少し寒い。喉がカラカラに乾いていて、部屋の隅にある冷蔵庫を開けてみると、コンビニのビニール袋に二日酔いに効く飲み物とサンドイッチが数個、お菓子、水2本、レシートが入っていた。
レシートの時間は昨日の夜中。一本もらっても良いかな。
ソファにバッグが置いてあり、スマホをチェックすると朝の6時だった。
2時付けであゆみさんから連絡が入っている。
“今解散しましたー!ねこまんまちゃんは無事、帰れたかなぁ?あと、棗がねこまんまちゃんの連絡先教えろって煩いんですけどー、どうする? ”
棗とリアルで連絡かぁ。確かに、ゲームに入る時間とかやり取りすれば効率は良くなる。でも面倒臭い。
まだ6時だし……あとで返そうっと。
お風呂の近くにあるドアを開けると、そっちは洗面台とトイレになっていた。鏡を見て、ぐちゃぐちゃになっていた髪を解く。
化粧したまま寝ちゃったーーそこまで酷くないから、もう帰るまでこのままにしようっと。
それより……シャワー浴びたいなぁ。
洗面所を出てベッドをみると、変わらず一定のリズムで上下する布団からはすよすよ寝息が聞こえている。ガラスでスケスケのお風呂場を見やり、そっとドアを開ける。
シャンプーにリンス、ボディソープ、バスタオルもある。ボディタオルは一個ずつ袋に入って使い捨てのようだ。
よく寝てるし、大丈夫かなーー。バスローブもあるけどすぐ出るし、服はまたこれ着るしかないかな。
さっきまで編み込みを縛っていたゴムで髪をお団子にまとめると、念の為ガラスには背中を向けつつ、ささっとシャワーを浴び体だけ洗った。
「ふーーーーーーっ」
服をもう一度着て、髪を解くと大きく息を吐く。さっぱりした。
お風呂場の扉を開けると、何だか部屋が静かーー。
「あ、おこしーーチャイマシタ?」
布団から出ていたはずの頭が、完璧に隠れている。気まずくて思わずカタコトになってしまう。
「オ、オハヨウ」
むくりと、気怠そうに檸檬くんが身体を起こした。髪の毛で、表情が読めない。
「煩かったよね? ごめん、なんか身体ペトペトしてーー汗流したかったんだ」
アハハ、と乾いた笑い声が漏れた。
み、見られちゃったーー?でも最悪お尻だけだしーー。
「……っはようございま……、ちょっと、、顔洗ってきます」
「あ、うん! 洗面所こっちだよ!薄暗いからぶつからない様にね」
掠れた眠気の残る声でそう言うと、のそのそと洗面所の中へ消える。
今のうちに電気つけとこう。枕元にある大きなパネルをみると照明の調節があり、明るめに電気をつけた。
扉の開閉音がして、檸檬くんが戻ってきた。
「あーー、二日酔いとか、大丈夫? 冷蔵庫に、二日酔い用の飲み物入ってるよ」
思いの外普通の反応が返ってきて、安心して振り返る。
「ありがとうー!一応飲んどこうかな、さっき水一本もらっちゃったーー」
「うん。一本ずつと思って。朝ごはんも買ってきといたよ」
フェイスタオルで顔を押さえている檸檬くんはくぐもった声で返事をすると、大きく息を吐いて髪をかき上げた。
「ちょっと、クリップとか持ってないーーって、ちょっとこれ、まぶしすぎない?」
かーーっ!顔良っ!
ずっと前髪に隠れていてわからなかったけど、シャープな輪郭に目鼻口がバランスよく配置されていて、顔面偏差値高い。その顔が訝しげに歪む。
「おーい、ねこまんまーー」
「えっ、あっ! クリップね! ヘアピンかゴムならあるはずーー」
バックから探し出しヘアピンを渡すと、前髪を止め、冷蔵庫からコンビニ袋を出すと、二人がけのソファーに腰を下ろした。
「ほら、サンドイッチとか買ったし、とりあえず食べよ」
呼ばれて隣に腰を下ろした。
「昨日はごめんね、なんかーー電車乗ったあたりから記憶がなくて。何があったの?」
なんだろ。
「ねこまんまー」
あ。檸檬くんだ。
「もうすぐ乗り換えだよ、起きて」
檸檬くん。前髪長すぎて顔見えない。
ほんとに檸檬くん?
両手を伸ばして前髪を左右に分けた。
きれいな目が見えたーー気がした。
ごめん、ねっむい。
「ピピピ ピピピ ピピッ」
スマホのアラームの音が鳴り響く。
枕元に手を伸ばして探すも、スマホが手に当たらない。あれ?いつ帰ってきたんだろう。
重い瞼を開けると、知らない天井が見える。
ムクリと起き上がりきつく目を閉じていると、次第に意識がはっきりしてきた。
「ん??????」
知らない部屋にいたーー。
ハッとして身体を見ると服は来てる。ホッと息を吐き、次は恐る恐る、隣を見てみるとーー
「檸檬くんーー?」
檸檬くんの栗色の頭が、こちらに背を向けるように布団からひょっこり頭を出している。
枕元には黒縁の眼鏡。
スヨスヨと寝息が聞こえ、まだ寝ているのだろう。
ほんのり痛む気がする頭を抑え、昨日のことを振り返る。
間違ってお酒を飲んだ後何杯か飲まされて、終電が早めだからって檸檬くんと先上がってきたんだ。
電車に乗ってからの記憶がない。ハテーー
部屋を見渡すと、どう見てもーー
「ラブホかーー」
部屋の一角では、ガラス張りのお風呂がほのかに紫色の輝きを放っている。これでどうやって入浴しろと言うのだろう。
空調が効いたーー効きすぎた部屋は少し寒い。喉がカラカラに乾いていて、部屋の隅にある冷蔵庫を開けてみると、コンビニのビニール袋に二日酔いに効く飲み物とサンドイッチが数個、お菓子、水2本、レシートが入っていた。
レシートの時間は昨日の夜中。一本もらっても良いかな。
ソファにバッグが置いてあり、スマホをチェックすると朝の6時だった。
2時付けであゆみさんから連絡が入っている。
“今解散しましたー!ねこまんまちゃんは無事、帰れたかなぁ?あと、棗がねこまんまちゃんの連絡先教えろって煩いんですけどー、どうする? ”
棗とリアルで連絡かぁ。確かに、ゲームに入る時間とかやり取りすれば効率は良くなる。でも面倒臭い。
まだ6時だし……あとで返そうっと。
お風呂の近くにあるドアを開けると、そっちは洗面台とトイレになっていた。鏡を見て、ぐちゃぐちゃになっていた髪を解く。
化粧したまま寝ちゃったーーそこまで酷くないから、もう帰るまでこのままにしようっと。
それより……シャワー浴びたいなぁ。
洗面所を出てベッドをみると、変わらず一定のリズムで上下する布団からはすよすよ寝息が聞こえている。ガラスでスケスケのお風呂場を見やり、そっとドアを開ける。
シャンプーにリンス、ボディソープ、バスタオルもある。ボディタオルは一個ずつ袋に入って使い捨てのようだ。
よく寝てるし、大丈夫かなーー。バスローブもあるけどすぐ出るし、服はまたこれ着るしかないかな。
さっきまで編み込みを縛っていたゴムで髪をお団子にまとめると、念の為ガラスには背中を向けつつ、ささっとシャワーを浴び体だけ洗った。
「ふーーーーーーっ」
服をもう一度着て、髪を解くと大きく息を吐く。さっぱりした。
お風呂場の扉を開けると、何だか部屋が静かーー。
「あ、おこしーーチャイマシタ?」
布団から出ていたはずの頭が、完璧に隠れている。気まずくて思わずカタコトになってしまう。
「オ、オハヨウ」
むくりと、気怠そうに檸檬くんが身体を起こした。髪の毛で、表情が読めない。
「煩かったよね? ごめん、なんか身体ペトペトしてーー汗流したかったんだ」
アハハ、と乾いた笑い声が漏れた。
み、見られちゃったーー?でも最悪お尻だけだしーー。
「……っはようございま……、ちょっと、、顔洗ってきます」
「あ、うん! 洗面所こっちだよ!薄暗いからぶつからない様にね」
掠れた眠気の残る声でそう言うと、のそのそと洗面所の中へ消える。
今のうちに電気つけとこう。枕元にある大きなパネルをみると照明の調節があり、明るめに電気をつけた。
扉の開閉音がして、檸檬くんが戻ってきた。
「あーー、二日酔いとか、大丈夫? 冷蔵庫に、二日酔い用の飲み物入ってるよ」
思いの外普通の反応が返ってきて、安心して振り返る。
「ありがとうー!一応飲んどこうかな、さっき水一本もらっちゃったーー」
「うん。一本ずつと思って。朝ごはんも買ってきといたよ」
フェイスタオルで顔を押さえている檸檬くんはくぐもった声で返事をすると、大きく息を吐いて髪をかき上げた。
「ちょっと、クリップとか持ってないーーって、ちょっとこれ、まぶしすぎない?」
かーーっ!顔良っ!
ずっと前髪に隠れていてわからなかったけど、シャープな輪郭に目鼻口がバランスよく配置されていて、顔面偏差値高い。その顔が訝しげに歪む。
「おーい、ねこまんまーー」
「えっ、あっ! クリップね! ヘアピンかゴムならあるはずーー」
バックから探し出しヘアピンを渡すと、前髪を止め、冷蔵庫からコンビニ袋を出すと、二人がけのソファーに腰を下ろした。
「ほら、サンドイッチとか買ったし、とりあえず食べよ」
呼ばれて隣に腰を下ろした。
「昨日はごめんね、なんかーー電車乗ったあたりから記憶がなくて。何があったの?」
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