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番外編
「キース理事長の求婚」
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放課後、寮に戻ったわたしは夕食前の時間をのんびり自室で過ごしていた。
そこへ面会ですとプロ侍女さんが呼び出しにきて「あれ、ここって刑務所だったっけ?」と思いつつ談話室へ向かった。
「キース先生」
そこで待っていたのはキース理事長だった。キース先生は長い足を組んでソファに腰掛けたまま「やあ」と軽く手をあげるとわたしにも座るように促した。美形スマイルはキラキラ光線が出てて眩しいです!もう、本当に…かっこいい…。ほぅっと溜息が出ちゃう。
「悪いね、呼び出して。」
「いえ!」
いけないとわかっていても“ただしイケメンに限る”を発動しそうになる。駄目よユーリア!よそ見は駄目だってカミュ先生も言ってたじゃない!
「ちょっと男子寮の方で面談が必要な生徒がいてね。帰りにこっちに寄ってみたんだよ。ユーリアくんに会いたくて。」
「わたくしにですか?」
生憎今日はキース先生を笑わせられそうなネタを仕込んでませんごめんなさい!
「うん。」
そう言って、
キース先生は組んだ手の上に顎を乗せ
じっとわたしを見つめる。
「き、キース先生…?」
気のせいか色気がプラスされてるというかパワーアップされてるみたいに感じる。
その顔に黙って見つめられるとちょっとわたし、色々、ヤバい気が…!
心臓がどくどく言い出した。徐々に体温も上昇していく。
「ユーリアくん」
「は、はいっ」
「アレクくん達への恐怖は消えたみたいだね」
「え?あ、ああ…はい。そういえばもうほとんど怖いとは思いません。」
「そうか。なら、彼らのことをどう思ってる?」
「どうと言われましても…皆様いい方だとは思いますが」
なんでそんなことを聞くのだろうか?
そんなことを聞きにわたしに会いにきたの?
わたしがそう答えると、それをどう捉えたのか、キース理事長が破顔した。
組んでいた手を下ろすとわたしから視線を離さず、その美しい顔も笑顔のままに、言ったのだ――
「ユーリアくん、わたしのお嫁さんにならないかい?」
「………っはい?!」
「幸せにするよ。」
「は、はい?!ってそうじゃなくて!!!」
お嫁さん?!お嫁さんってお嫁さんってあのお嫁さん?!
キース先生いきなり何を?!
「ユーリアくんとなら楽しい家庭を築けそうだと思ってね。駄目かな?」
そこでようやく、
わたしはキース先生にからかわれてることに気づく。
なるほど、笑い上戸のキース先生はわたしが自分を笑わせてくれることを期待してるのね。結婚してまで笑わせてくれる人を傍に置きたいなんてキース先生はよほどお笑い好きなのかもしれない。
けど、
「レディに対して失礼ですわ。」
女性として求められたのではなくお笑い芸人として求められるなんて喜べない。そりゃあ、ルルとお笑いで世界を獲ろうと狙ってはいるけれどそれとこれとではなんか違うのだ。わたしは結婚は愛されてしたい派である。
キース先生はわざわざわたしをからかいに来たのだろうか。
「いきなりプロポーズは失礼だったかな?ああ、そうか。こんな場所でがいけなかったね。」
「そういう問題じゃありません。」
わたしはわたしを女性として愛してくれる人と結婚したいんです!
お笑いのマスコットとして愛されたいわけじゃないんです!
「うーん。さすがにまだ早すぎたか。ごめんね、つい焦ってしまってね。」
焦る…
焦るってどういう意味だろう。
もしかして。
「もしかして…キース先生はご存知なんですか?!」
わたしとルルが漫才で世界を獲ろうとしていることを?
「…知ってるいるよ。」
そんな!
まだ誰にも打ち明けていない夢物語なのにどうして!
「ユーリアくんもその気だということは聞いたけど卒業までは確定じゃないんだろう?なら、まだチャンスのあるうちにわたしも候補に入れてほしい。」
いつの間にキース先生に話してたの?!知らなかった…!やっぱりルルもなんだかんだ言って乗り気だったんじゃない!それならそうと言ってくれれば…ルルったらツンデレなんだから!
ということは、さっきの結婚の申し込みはわたし達をお抱えの漫才師にするためということでしょうか?隠れ蓑として結婚して漫才師を目指せと?!
あああ、キース先生!わたし達の才能を見抜いてくださったのですね!!さすが理事長先生です!イケメンだけじゃなく人材を見抜く力まで…っ
ようやく納得できた。
キース先生はわたし達の漫才師としての将来を青田買いしたいと、わたし達に投資するスポンサーになってくださるということなのだろう。女性の社会進出が遅れているこの世界、結婚という形をとっていたほうが何かと動きやすいから。
…いや待てよ。
違う。
キース先生の今の言葉からするとそうではなくて……
「もしかして…?!キース先生が…わたしと?!」
漫才を組みたいということですか??!!
「ああ。わたしも好きなんだ。」
驚きのあまり、
わたしは両手で口元を隠すと目を見開いてキース先生を見つめた。
「キース先生が笑い上戸なのはわかってましたけど……」
そこまでですか。
ご自分でお笑いをしたいと考えるほどですか…!
知りませんでした…っっ
「笑い?いや、確かにユーリアくんのことは面白い子だとは思ってるけど」
ルルではなく自分と漫才を組んでほしいと?
候補とおっしゃったのはそういうお申し出なのですね?キース先生!
「だけどそれだけで君を譲りたくないわけじゃないよ。」
わたしの才能をそこまで買ってくださるのですか!!ありがとうございます!
女性としてではないのが少し残念ではありますが、才能を認めていただけるのは嬉しいです!
でも…
「申し訳ありません。少し…考えさせていただけないでしょうか?」
キース先生の気持ちは嬉しいけど。
すぐには決められない。
「…わかってるよ。わたしもすぐにと言ってるわけじゃない。ただ、わたしがそういう気持ちでいることは知っていてほしい。」
「はい……」
ごめんなさい、キース先生。
わたし、わたし…ルルとコンビを組むことを簡単には諦められないんです。
「すみません…誰を選ぶかはわたくしの将来に関わる大事なことですから……悩んでしまって。」
相方を誰にするかで漫才師として成功できるかどうかが決まるのだ。
慎重に選ばなくてはいけない。
ルルとの相性は抜群だけどキース先生はやる気に満ちているし何よりイケメン。同じ組むならイケメン…いやいやいや。相性がよくないと。
「わかるよ。答えは卒業してからでいい。それまで…―――わたしも君に選んでもらえるように本気でいくから。覚悟しておいてね?」
「!!」
色気たっぷりなウインクと、
「必ず君を手に入れてみせるよ。」
キース先生の宣戦布告にわたしはまた茹蛸になった。
コンビじゃなくてトリオっていうのもありなんじゃない?!
そこへ面会ですとプロ侍女さんが呼び出しにきて「あれ、ここって刑務所だったっけ?」と思いつつ談話室へ向かった。
「キース先生」
そこで待っていたのはキース理事長だった。キース先生は長い足を組んでソファに腰掛けたまま「やあ」と軽く手をあげるとわたしにも座るように促した。美形スマイルはキラキラ光線が出てて眩しいです!もう、本当に…かっこいい…。ほぅっと溜息が出ちゃう。
「悪いね、呼び出して。」
「いえ!」
いけないとわかっていても“ただしイケメンに限る”を発動しそうになる。駄目よユーリア!よそ見は駄目だってカミュ先生も言ってたじゃない!
「ちょっと男子寮の方で面談が必要な生徒がいてね。帰りにこっちに寄ってみたんだよ。ユーリアくんに会いたくて。」
「わたくしにですか?」
生憎今日はキース先生を笑わせられそうなネタを仕込んでませんごめんなさい!
「うん。」
そう言って、
キース先生は組んだ手の上に顎を乗せ
じっとわたしを見つめる。
「き、キース先生…?」
気のせいか色気がプラスされてるというかパワーアップされてるみたいに感じる。
その顔に黙って見つめられるとちょっとわたし、色々、ヤバい気が…!
心臓がどくどく言い出した。徐々に体温も上昇していく。
「ユーリアくん」
「は、はいっ」
「アレクくん達への恐怖は消えたみたいだね」
「え?あ、ああ…はい。そういえばもうほとんど怖いとは思いません。」
「そうか。なら、彼らのことをどう思ってる?」
「どうと言われましても…皆様いい方だとは思いますが」
なんでそんなことを聞くのだろうか?
そんなことを聞きにわたしに会いにきたの?
わたしがそう答えると、それをどう捉えたのか、キース理事長が破顔した。
組んでいた手を下ろすとわたしから視線を離さず、その美しい顔も笑顔のままに、言ったのだ――
「ユーリアくん、わたしのお嫁さんにならないかい?」
「………っはい?!」
「幸せにするよ。」
「は、はい?!ってそうじゃなくて!!!」
お嫁さん?!お嫁さんってお嫁さんってあのお嫁さん?!
キース先生いきなり何を?!
「ユーリアくんとなら楽しい家庭を築けそうだと思ってね。駄目かな?」
そこでようやく、
わたしはキース先生にからかわれてることに気づく。
なるほど、笑い上戸のキース先生はわたしが自分を笑わせてくれることを期待してるのね。結婚してまで笑わせてくれる人を傍に置きたいなんてキース先生はよほどお笑い好きなのかもしれない。
けど、
「レディに対して失礼ですわ。」
女性として求められたのではなくお笑い芸人として求められるなんて喜べない。そりゃあ、ルルとお笑いで世界を獲ろうと狙ってはいるけれどそれとこれとではなんか違うのだ。わたしは結婚は愛されてしたい派である。
キース先生はわざわざわたしをからかいに来たのだろうか。
「いきなりプロポーズは失礼だったかな?ああ、そうか。こんな場所でがいけなかったね。」
「そういう問題じゃありません。」
わたしはわたしを女性として愛してくれる人と結婚したいんです!
お笑いのマスコットとして愛されたいわけじゃないんです!
「うーん。さすがにまだ早すぎたか。ごめんね、つい焦ってしまってね。」
焦る…
焦るってどういう意味だろう。
もしかして。
「もしかして…キース先生はご存知なんですか?!」
わたしとルルが漫才で世界を獲ろうとしていることを?
「…知ってるいるよ。」
そんな!
まだ誰にも打ち明けていない夢物語なのにどうして!
「ユーリアくんもその気だということは聞いたけど卒業までは確定じゃないんだろう?なら、まだチャンスのあるうちにわたしも候補に入れてほしい。」
いつの間にキース先生に話してたの?!知らなかった…!やっぱりルルもなんだかんだ言って乗り気だったんじゃない!それならそうと言ってくれれば…ルルったらツンデレなんだから!
ということは、さっきの結婚の申し込みはわたし達をお抱えの漫才師にするためということでしょうか?隠れ蓑として結婚して漫才師を目指せと?!
あああ、キース先生!わたし達の才能を見抜いてくださったのですね!!さすが理事長先生です!イケメンだけじゃなく人材を見抜く力まで…っ
ようやく納得できた。
キース先生はわたし達の漫才師としての将来を青田買いしたいと、わたし達に投資するスポンサーになってくださるということなのだろう。女性の社会進出が遅れているこの世界、結婚という形をとっていたほうが何かと動きやすいから。
…いや待てよ。
違う。
キース先生の今の言葉からするとそうではなくて……
「もしかして…?!キース先生が…わたしと?!」
漫才を組みたいということですか??!!
「ああ。わたしも好きなんだ。」
驚きのあまり、
わたしは両手で口元を隠すと目を見開いてキース先生を見つめた。
「キース先生が笑い上戸なのはわかってましたけど……」
そこまでですか。
ご自分でお笑いをしたいと考えるほどですか…!
知りませんでした…っっ
「笑い?いや、確かにユーリアくんのことは面白い子だとは思ってるけど」
ルルではなく自分と漫才を組んでほしいと?
候補とおっしゃったのはそういうお申し出なのですね?キース先生!
「だけどそれだけで君を譲りたくないわけじゃないよ。」
わたしの才能をそこまで買ってくださるのですか!!ありがとうございます!
女性としてではないのが少し残念ではありますが、才能を認めていただけるのは嬉しいです!
でも…
「申し訳ありません。少し…考えさせていただけないでしょうか?」
キース先生の気持ちは嬉しいけど。
すぐには決められない。
「…わかってるよ。わたしもすぐにと言ってるわけじゃない。ただ、わたしがそういう気持ちでいることは知っていてほしい。」
「はい……」
ごめんなさい、キース先生。
わたし、わたし…ルルとコンビを組むことを簡単には諦められないんです。
「すみません…誰を選ぶかはわたくしの将来に関わる大事なことですから……悩んでしまって。」
相方を誰にするかで漫才師として成功できるかどうかが決まるのだ。
慎重に選ばなくてはいけない。
ルルとの相性は抜群だけどキース先生はやる気に満ちているし何よりイケメン。同じ組むならイケメン…いやいやいや。相性がよくないと。
「わかるよ。答えは卒業してからでいい。それまで…―――わたしも君に選んでもらえるように本気でいくから。覚悟しておいてね?」
「!!」
色気たっぷりなウインクと、
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