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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?
咲子は、フロリス(花咲くの意)
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😟
「たぶん、初心者がプロローグの後の分岐点で最初に選ぶ、タイトル通り『暁の王子と宵の公子』編の、ルシーファ殿下かアーベントシュティアン=ヴェスペリ公爵令息様を攻略するルートよね? きっと」
周りにいるのは、その二人だもの。
「お嬢様?」
あ、声に出してた。ハッキリとは聞こえてないと思うけど、気をつけなきゃ。変な人と思われちゃう。
とにかく、判っていること。
私の名前は咲子。
思い出せるのは、スマホでウェブサイト乙女ゲーム(恋愛シミュレーション)を無課金で余暇に楽しんでいたこと。
転生する前(死ぬまで?)の詳細は思い出せないけれど、どこかの勤め人になった記憶はなく、学生かフリーター(アルバイトやパートの非正規雇用?)だったように思う。両親が健在で甘やかされて育った女だから出来たことだろう。
私は、余り熱心にやり込む方ではなく、日常が忙しくなると放置し、久し振りにやるとそれまでの進行状況やストーリーなどの細部を忘れてしまっているので、最初からやり直すタイプだった。
ので、最低、どちらを攻略するかの分岐点でもある2章クリアまでは行ったはずだけれど、ラストまではクリアしていない。
ある程度(たぶん、4~5章だったかな)進めておくと、やり直したとき、別ストーリーも選べるようになるので、気になったキャラがいる方も進めてみたものの、やはりクリアはしていないという、これ程、前世を憶えている事に意味のない転生があるだろうか?
そして、フロリス・プラトゥム伯爵令嬢は、メインストーリーの初期設定のヒロインであるものの、他のストーリーではただの登場人物で、悪役令嬢だとかライバルという訳でもない。
ややシスコン気味の黄金の伯爵令息フォオリウムを推しに選んだ場合の小姑として出て来るので、仲良くなれるかがフォオリウムとの親密度に影響しているため、攻略するなら彼女に嫌われるのはもっての外、手懐けなければならないキャラの一人でもある。
グラディオーレ様も同じで、あるストーリーのヒロインにもなり得るけれど、基本、アーベントシュティアン様やルシーファ殿下を攻略するに当たって、味方につけなければならない登場人物の扱いだ。
たぶん、グラディオーレ様がヒロインの場合にのみ、この現実世界の彼女のようにおっとりとした癒し系ヒロインになる。少しだけやってみたのだ。
脇役として出て来るときは、お蝶夫人のような頼れるお姉さまキャラなのである。しかも、淑女教育は完璧。
当然ながらこちらもクリアはしていないという、笑うしかないお粗末ぶり。
スマホの中の美形キャラと、擬似恋愛としてのやりとりを楽しむだけなので、クリアしてエンディングに浸ったり、各キャラに用意されていた複数のエンディングを全て見てやろうなどというやり込み要素を究めるほどの熱意はなかった。
数回目になると、攻略サイトを見て選択肢を進むようになり、次第になんだか犯人のわかっている推理小説を読んでいるような、熱意が失速していって、中断。忘れた頃に暇つぶしに「そう言えばラストはどうなんやろ」程度の気持ちで始めて、やはり課金しないとストーリーが遅々として進まず、もういいやとなってしまう悪循環。
まあ、ゲーム開発業者にしてみれば、企業である以上、広告収入だけではなく、課金してもらってなんぼなのはわかる。わかるけど、課金してまで集中してクリアするほどの熱意はなかったのだ。
その中途半端に玩ぶようなプレイのツケなのか、そのゲームの世界が現実になった今、ハッピーエンドに向けての正しい行動が解らないという、残念な結果に繋がっている。
でもね? まさか、そのゲームの中に転生するかもしれないなんて、普通思わないよね?
「たぶん、初心者がプロローグの後の分岐点で最初に選ぶ、タイトル通り『暁の王子と宵の公子』編の、ルシーファ殿下かアーベントシュティアン=ヴェスペリ公爵令息様を攻略するルートよね? きっと」
周りにいるのは、その二人だもの。
「お嬢様?」
あ、声に出してた。ハッキリとは聞こえてないと思うけど、気をつけなきゃ。変な人と思われちゃう。
とにかく、判っていること。
私の名前は咲子。
思い出せるのは、スマホでウェブサイト乙女ゲーム(恋愛シミュレーション)を無課金で余暇に楽しんでいたこと。
転生する前(死ぬまで?)の詳細は思い出せないけれど、どこかの勤め人になった記憶はなく、学生かフリーター(アルバイトやパートの非正規雇用?)だったように思う。両親が健在で甘やかされて育った女だから出来たことだろう。
私は、余り熱心にやり込む方ではなく、日常が忙しくなると放置し、久し振りにやるとそれまでの進行状況やストーリーなどの細部を忘れてしまっているので、最初からやり直すタイプだった。
ので、最低、どちらを攻略するかの分岐点でもある2章クリアまでは行ったはずだけれど、ラストまではクリアしていない。
ある程度(たぶん、4~5章だったかな)進めておくと、やり直したとき、別ストーリーも選べるようになるので、気になったキャラがいる方も進めてみたものの、やはりクリアはしていないという、これ程、前世を憶えている事に意味のない転生があるだろうか?
そして、フロリス・プラトゥム伯爵令嬢は、メインストーリーの初期設定のヒロインであるものの、他のストーリーではただの登場人物で、悪役令嬢だとかライバルという訳でもない。
ややシスコン気味の黄金の伯爵令息フォオリウムを推しに選んだ場合の小姑として出て来るので、仲良くなれるかがフォオリウムとの親密度に影響しているため、攻略するなら彼女に嫌われるのはもっての外、手懐けなければならないキャラの一人でもある。
グラディオーレ様も同じで、あるストーリーのヒロインにもなり得るけれど、基本、アーベントシュティアン様やルシーファ殿下を攻略するに当たって、味方につけなければならない登場人物の扱いだ。
たぶん、グラディオーレ様がヒロインの場合にのみ、この現実世界の彼女のようにおっとりとした癒し系ヒロインになる。少しだけやってみたのだ。
脇役として出て来るときは、お蝶夫人のような頼れるお姉さまキャラなのである。しかも、淑女教育は完璧。
当然ながらこちらもクリアはしていないという、笑うしかないお粗末ぶり。
スマホの中の美形キャラと、擬似恋愛としてのやりとりを楽しむだけなので、クリアしてエンディングに浸ったり、各キャラに用意されていた複数のエンディングを全て見てやろうなどというやり込み要素を究めるほどの熱意はなかった。
数回目になると、攻略サイトを見て選択肢を進むようになり、次第になんだか犯人のわかっている推理小説を読んでいるような、熱意が失速していって、中断。忘れた頃に暇つぶしに「そう言えばラストはどうなんやろ」程度の気持ちで始めて、やはり課金しないとストーリーが遅々として進まず、もういいやとなってしまう悪循環。
まあ、ゲーム開発業者にしてみれば、企業である以上、広告収入だけではなく、課金してもらってなんぼなのはわかる。わかるけど、課金してまで集中してクリアするほどの熱意はなかったのだ。
その中途半端に玩ぶようなプレイのツケなのか、そのゲームの世界が現実になった今、ハッピーエンドに向けての正しい行動が解らないという、残念な結果に繋がっている。
でもね? まさか、そのゲームの中に転生するかもしれないなんて、普通思わないよね?
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