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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?

お友達だってば

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     😱

 お風呂に入り、寝る前に、グラディオーレ様とサロンでお話をしていると、お父さまが廊下から顔を覗かせ、私と目が合いグラディオーレ様が会釈すると、中に入ってくる。

「ちょっと訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 金茶トパーズの髪を揺らして首を傾げ、サファイアブルーの瞳を私に合わせてくるお父さま。
 まだ三十代半ばで、気持ちが若々しいのか体質なのか、とても十五の息子と十三の娘を持つようには見えない。

「なぁに?」

「⋯⋯フロリスは、今、いくつかな?」
「先月で、十三になりましたけど?」
「そうだね、確かに、早い子ならデビュタントしていてもおかしくはない」

 うーん、私は、まだまだじゃないかな? 淑女教育も終わったとは言えないし、学校だって行ってないし、自分でも子供だって思う。

「ママはね、パパが今のフォオリウムと同じ十五歳の時に、デビュタントで見初めて、何度も求婚して、やっとママが十六の時に、ラークス侯爵家の曾祖父様とお祖父さまに許可を貰えて⋯⋯」
「その話、長くなります?」

 お父さまは、外では威厳ある辺境地領主の伯爵様の顔をしているけれど、家の中では、奥さん溺愛子供達大好き人間で、自分達夫婦のことをパパママと称している。
 そして、自分達のなれ初めだとか想い出を語り出すと長い。

「ああ、ごめんね、話が逸れかけたかな。言いたいのは、その⋯⋯」

 私の肩に両手を置いて、目を会わせていても、まだ、言いづらそうに口をもごもごさせている。

「お前が結婚するのは早いと言いたいんだろ?」
「お兄さま?」

 扉に凭れるようにして、お兄さまとアーベントシュティアン様が、腕を組んで立っていた。

「馬鹿馬鹿しい。二人ともまだ十三で、公務があるルシフはともかく、デビュタントもしていないフロリスが、結婚する訳ないでしょう? 婚約だってどこからも打診ないと記憶してますが?」

 それ、名家の娘としては、どうなのかと思うのだけど、お兄さま、何気に私をディスってます?

「だけどねぇ? さっきのを見るとね?」
「まったく。ルシフに訊いてみてはいかがですか? そんなつもりがあるのかと」
「ええぇ? そうだと言われたら、断れなくなっちゃうでしょ?」
「⋯⋯いずれはどこかに嫁がせるんだから、身元のハッキリした、より高貴な家に出すのは悪くないのでは?」
「王家なんて、色々と大変で、フロリスがすり減っちゃわないか心配だよ」

 呆れたお兄さまと、本気で心配しているらしいお父さまのやりとりは、私から見ても馬鹿馬鹿しい。そんなはず、ないでしょうに。

「お父さま。私と殿下は、お友達です。しかも、初めて会った十二歳のお茶会から、半年経っての今回の件でうちにお泊めする事になったのが二回目の付き合いですよ?」
「付き合いっ!?」

 何言っても、そう聴こえてしまうのかしら。

「今まで、アーベントが泊まっても、何も言わなかったのに、今回は過剰反応してませんか? 父上」
「だってさ、あんな、仲良しさんな姿を見せられたら、心配するでしょう?」
「ちなみに、アーベントならいいんですか?」
「勿論、アーベントシュティアン殿がいい子なのはわかってるし、フォオリウムの友人で、ヴェスペリ公爵とも付き合いはあるよ? でも、王弟子息じゃ、王家に嫁ぐのと変わらないんじゃないかな?」
「じゃあ、誰ならいいんです?」
「誰も嫌だけど、」
「嫌なんだ⋯⋯」
「勿論だろ、フロリスは、天使のようなに可愛い大切な娘だよ、遠くに嫁いで行っちゃうなんて、パパ、耐えられないからね? 婿養子をとって、このおうちでずっとパパと暮らそう?」

 これ、どう答えたらいいのかしら?



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