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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?
友だちゆえに⋯⋯
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🧁
一応、領地内の他の下位貴族のご令嬢は、お父さまのご機嫌伺いに来る親と共に我が家を訪問するし、その際、私とお茶会もする。けど、文通や向こうの開くお茶会に招待はされたことがない。
高位貴族のご令嬢達からは、声をかけられるなんてこともないし招待状も届かないし、こちらから声をかけるなんてルール違反も出来ない。
お母さまと企画して、私がお茶会を開こうと招待状を送っても、出席の返事が来たのは、グラディオーレ様と、領地内の下位貴族の令嬢達だけだった。
ゆえに、友達は限りなくゼロに近い。唯一親しくしてくださるのが、グラディオーレ様なのだ。
お兄さまとアーベントシュティアン様がご学友同士で、その兄上さまに紹介されたから仲よくしてくださるだけ、ではないと思いたい。
第一、みんなが私を疎む理由の一端、殿下にお茶をぶっ掛けて恥をかかせたのだって、ウォンティング侯爵令嬢マリアンヌ嬢が、私に足を差し出して転ばせたからだし、彼女の取り巻きのディフィシル侯爵令嬢プラチェーレ様が、私を田舎の子猿扱いをして殿下に叱られたのも、私のせいではない。
それなのに疎まれてるのはリフジンだと思う。
アーベントシュティアン様が、マカダミアナッツをショコラーデで包んだものを摘まみ上げ、私の口元に持って来る。テーブルを乗り越えるように上半身と腕を伸ばして。
殿下が無表情ながら強めの眼力を込めてアーベントシュティアン様を見るし、お兄さまは眉を顰める。
私が困惑していると、眼だけで「さあ食え、俺の手ずからは食えないのか」と脅してきている気がして、圧に負けて仕方なくパクッと口に入れる。
少し、ショコラーデを摘まむ指を唇で食むように扱いてしまったけど、歯は立ってないからいいよね?
チラッとアーベントシュティアン様を見たけど、怒ったり不快に思った様子はなかった。
でも、殿下もアーベントシュティアン様も、私はもう直ぐ誕生日を迎えて十三歳になるんだって、解ってないのかな? 小さな子供じゃないんだから、自分で食べられるんだけど。
あ⋯⋯
アーベントシュティアン様の、私の唇が当たった親指と人差し指で、アーモンドが乗ったショコラーデを摘まみ上げ、口に入れた。指先ごと。私の唇が当たったところもお口の中。
私が頰に熱が上るのを感じた瞬間、お兄さまがアーベントシュティアン様の後頭部を平手打ちし、ルシーファ殿下が絹の手巾を出して水を含ませ、私の唇を拭いだした。
「消毒⋯⋯にはならないかもしれないけれど、一応、綺麗にしておこう」
私が恥ずかしがるのを楽しむために、イジワルしたのかしら。
「アウローラだってやっただろう」
「セカンドネームで呼ぶな。私は、直接フロリス嬢の唇には触れていない」
後から聞いた話だけど、ルシーファ殿下のセカンドネームは、なぜかゴージャス美人に多い女性名なので、ルシーファ殿下にとってはコンプレックスなのだそう。
五歳になるまで熱を出したり咳ごんだり、少し身体が弱かったので、身体的により強いとされる女児の命名をしたのは、今、健康に育っているのだから、私はいいと思うのだけどね。
まあ、オーロラ姫とか、定番よね。
んん? オーロラ姫って誰? 王族に、そんな人いたっけ?
一応、領地内の他の下位貴族のご令嬢は、お父さまのご機嫌伺いに来る親と共に我が家を訪問するし、その際、私とお茶会もする。けど、文通や向こうの開くお茶会に招待はされたことがない。
高位貴族のご令嬢達からは、声をかけられるなんてこともないし招待状も届かないし、こちらから声をかけるなんてルール違反も出来ない。
お母さまと企画して、私がお茶会を開こうと招待状を送っても、出席の返事が来たのは、グラディオーレ様と、領地内の下位貴族の令嬢達だけだった。
ゆえに、友達は限りなくゼロに近い。唯一親しくしてくださるのが、グラディオーレ様なのだ。
お兄さまとアーベントシュティアン様がご学友同士で、その兄上さまに紹介されたから仲よくしてくださるだけ、ではないと思いたい。
第一、みんなが私を疎む理由の一端、殿下にお茶をぶっ掛けて恥をかかせたのだって、ウォンティング侯爵令嬢マリアンヌ嬢が、私に足を差し出して転ばせたからだし、彼女の取り巻きのディフィシル侯爵令嬢プラチェーレ様が、私を田舎の子猿扱いをして殿下に叱られたのも、私のせいではない。
それなのに疎まれてるのはリフジンだと思う。
アーベントシュティアン様が、マカダミアナッツをショコラーデで包んだものを摘まみ上げ、私の口元に持って来る。テーブルを乗り越えるように上半身と腕を伸ばして。
殿下が無表情ながら強めの眼力を込めてアーベントシュティアン様を見るし、お兄さまは眉を顰める。
私が困惑していると、眼だけで「さあ食え、俺の手ずからは食えないのか」と脅してきている気がして、圧に負けて仕方なくパクッと口に入れる。
少し、ショコラーデを摘まむ指を唇で食むように扱いてしまったけど、歯は立ってないからいいよね?
チラッとアーベントシュティアン様を見たけど、怒ったり不快に思った様子はなかった。
でも、殿下もアーベントシュティアン様も、私はもう直ぐ誕生日を迎えて十三歳になるんだって、解ってないのかな? 小さな子供じゃないんだから、自分で食べられるんだけど。
あ⋯⋯
アーベントシュティアン様の、私の唇が当たった親指と人差し指で、アーモンドが乗ったショコラーデを摘まみ上げ、口に入れた。指先ごと。私の唇が当たったところもお口の中。
私が頰に熱が上るのを感じた瞬間、お兄さまがアーベントシュティアン様の後頭部を平手打ちし、ルシーファ殿下が絹の手巾を出して水を含ませ、私の唇を拭いだした。
「消毒⋯⋯にはならないかもしれないけれど、一応、綺麗にしておこう」
私が恥ずかしがるのを楽しむために、イジワルしたのかしら。
「アウローラだってやっただろう」
「セカンドネームで呼ぶな。私は、直接フロリス嬢の唇には触れていない」
後から聞いた話だけど、ルシーファ殿下のセカンドネームは、なぜかゴージャス美人に多い女性名なので、ルシーファ殿下にとってはコンプレックスなのだそう。
五歳になるまで熱を出したり咳ごんだり、少し身体が弱かったので、身体的により強いとされる女児の命名をしたのは、今、健康に育っているのだから、私はいいと思うのだけどね。
まあ、オーロラ姫とか、定番よね。
んん? オーロラ姫って誰? 王族に、そんな人いたっけ?
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