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ドジっ娘(死語)は嗜虐心と庇護欲を掻き立てる?

学校なんて通いませんよ? わたし

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 キラキラ殿下は、今日のお茶会に参加してる子供達みんなが、王都に住んでると思ってるのかしら?
 でも、さっき私の足を引っかけた自称『淑女』達に、どんな辺境地に暮らそうともって言ってたし、私が片田舎の、ご令嬢なんて呼ぶのも烏滸がましい存在だって解ってるのよね?

「でも十二歳になるなら、予科中等学校プレップ・スクール寄宿制のボーディング・王立貴族学校パブリック・スクール淑女教養フィニッシング学校スクール進学校ギムナジウム騎士学校ナイトアカデミーに通う歳だろう? 王都のタウンハウスか寮で暮らすのでは?」
「田舎猿には窮くっ⋯⋯分不相応なので、領地でガヴァネス(女家庭教師)を雇う事になるんじゃないかしら?」

 実際、今も毎日、リンデン先生に訛りを直されたり、淑女の嗜みがどうとか、こってり絞られてるもの、態々わざわざ王都に引っ越したりしないでこのままなんじゃないかと思うけど。

「お父上は、王都で仕事してないの?」
「毎日、晩餐でお顔を見るもの、いつも領地に居るわ。ええっと、キューテービト(宮廷人)?じゃないと思う」
「⋯⋯そう」

 そんな、捨てられた仔犬みたいな表情かおしないでよね。私のせいじゃないわ。

 そろそろ湯上がりの汗はひいたのか、侍女が用意して待っているヒラヒラブラウスに着替えるらしい。おもむろにバスローブを脱いだ。

「きゃっ!?」
「え? あ、ごめん。⋯⋯さっきは、服着たままお茶を拭き始めたり、脱げって言ったり、脱いだ物を引ったくるように持ち去って洗濯始めたりするから、平気なのかと思った」

 キラキラ殿下は目の下を赤く染めて、さっきまで大胆にしていたのに私に背中を向け、やや背中を丸めてもそもそとブラウスの前を留めた。

「じゃあ、毎月のお茶会には出ないって事?」
「そうね。片道1週間くらいかかるのよ? 月の半分は移動してることになるもの」
「それは大変だね」

 騎士のように、馬車じゃなくて単騎で早駆け乗り継ぎすれば、半分ほどかもしれないけど、私には、技術的にも体力的にも無理よね。 

「お父上は、何してる人?」
「いつもショサイで書類と睨めっこしてるわ。叔父さまや執事さんと難しいお話もしてるし、領地の一番偉い人?」
「そうなんだね。きっと、ちゃんと領地を治めてるいい領主なんだね」

 叔父さまやショウコウカイチョー(商工会長)さんみたいに、爵位を持っていても領地を持ってない人も居るみたいだけど、お父さまは、叔父さまや叔母さまの旦那さまと一緒に、領地のみんなを守るお仕事してるって、お母さまは言ってたもの。

「いい領主さまかどうかは、私達領主側が威張ってジショー(自称)するんじゃなくて、領民に訊いてみないと分からないわ」
「へぇ?」
「私達家族や叔父さま家族がいい暮らしをしていても、お金をたくさん集めてゼイキン(税金)を納めて王様に誉められたって、領民がいい領主だと思わなければ、それは、悪い領主なのよ」
「へえ⋯⋯」
「だってそうでしょ? 自分達貴族だけがいい思いをして、領民が苦しんでたら、それはサクシュ(搾取)ってもんだわ」
「なるほど。確かに、領地に住む人達みんなが幸せじゃないと、一部の人だけが幸せでも、ダメなんだよね。うん、確かにそうだ」

 キラキラ殿下はうんうんと頷き、納得したみたいだった。

 ここに来ること、お父さまに言って来なかったし、そろそろ戻ってもいいかしら?

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