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🐾消えたアイツらを探して🐾
🐾9 同行者は旅慣れてるけど無力な旅商人
しおりを挟む僕よりもずっと旅慣れてるパピルスさんのおかげで、国境まで順調に進めた。
僕は、パーティメンバーとの馬車の旅しか知らないので、ポケットの便利さもあって、他人との旅に必要な知識が乏しく、色々と学ぶことも多かった。
一人で脚力に強化魔法をかけて、一日二日で行くつもりだったのに、三日と半日かかったのは授業料と思うことにした。
ただ、現地の人達は困ってるんだろうから、早く着きたいとは思うんだけど。
戦闘の出来ないパピルスさんを気遣いながら、高速で突進してくる山猪や、大群で襲ってくる軍隊アリを退治するのは、最初ちょっと手間取った。
本人の言うとおり、本当にダメなんだな。
最終的には、地面に円を二重に描いて、一重目と二重目の間に防禦魔法を仕込んで、中に座っててもらった。
ロスクラリスもつける。
協会での扱い同様、ロスクラリスは僕の契約精霊ということにしてある。今後も、多少おかしい点があってもそれで押し通すことにした。
ロスクラリスの扱う防護領域魔法は、他の神さまの神技を借りるもので、一般的なものに比べて強力で、魔物や野獣程度で破れる魔法じゃない。
僕はともかく、パピルスさんの安全は確保して、本来浄化魔法である〘洗浄一閃〙で魔物を一掃する。
パピルスさんが居るので、解体して素材を売るのは諦めた。
食用に肉を少しと、魔石や核を拾って背嚢に詰める。
ポケットだけを使っていると、周りのヒトに何かの折に違和感を感じられると困るので、肉や魚などは、冷気を溜める魔法がかかった箱を持って来てある。
勿論、ロスクラリスに習った状態保存の魔法をかけているので、強力すぎて冷気を溜めなくても中のものは腐らないんだけど、誰かに見られても問題ないように、冷気の魔法もかけてあるのだ。
「ウルトルさんの、その箱はとても便利ですね」
「ええ。ロスクラリスが上位の精霊なので、色々と助かってますよ」
一応、僕が規格外じゃないとアピールしておく。
光のエネルギーとして、熱を扱う事もできるロスクラリス。
月の光も扱えて、月光とは、太陽の光が月という星に反射して照射する光のこと。
月を介して夜の気と共に、冷気も扱えるらしく、カモフラージュに肉や魚などを入れてある木箱に、冷気を溜める魔法をかけてあるのだ。
パピルスさんは、冷気魔法が食材を長持ちさせていると思っているけど、実際は、ポケットのような空間魔法の応用で、ロスクラリスが状態保存の魔法を持続するよう強化してくれている。
入れた瞬間の状態を記憶して維持するらしい。
戦闘に長けた大魔法使いや精霊術士のような派手な魔法は使えないけれど、あのダンジョンの中で特訓を重ね、地味ながら神さまの神技を借りて使う魔法が使えるようになっていて、それらは一般的な魔法よりも強力且つ実用的なものであった。
〔まあ、創造神や管理神のように、何でも出来る訳じゃないけどね〕
「それでも十分だよ」
国境では、協会の推薦状と依頼書は勿論、パピルスさんの行商人手形や証明書があったおかげで、対して質問されたり手荷物を検査されたりすることなく、すんなりと通れた。
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