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第2話 驚きの新世界
6 次元大介がハリーキャラハン?
しおりを挟む俺の.357マグナムが、44にパワーアップしとる!?
次元大介から冴羽獠(いや、あれは格好良さと悪さのイメージが両極端や)かダーティハリーに⋯⋯
≪どうなさいましたか?≫
席を外し(?)てくれてたはずの女神の声がする。
「あ、いや、たいしたことでは」
慌ててナニをしまう。女神の声にすっかり萎縮してしまって、尿意はどっかへ行ってしまったからな。
≪筋力や身体機能をこちらの平均的な人間のものに調整したついでに、あなたのご希望も取り入れました≫
「ご希望?」
≪サイズを後少し⋯⋯≫
「わぁああ」
な、なんで、なんでやねん!? 俺、そんな事、女神さんと出会ってからは一度も考えたことないで!?
≪こちらにお迎えすることが決まり、身体を造り変える時に、全身をサーチしましたが、記憶や知識レベルも軽く検索してみました≫
「どこまで覗いたんや!?」
神の領域で、全身サーチの上に記憶にダイブされるとは! まさかの痴女神⋯⋯
≪表層意識で考えていることやプライベートにはなるべく触れないように、深層意識での普段から気にしていることや、教養・知識レベルを確認のために探っただけです。母親のことはかなり気になさっていたようなので、できる限りのことはさせていただくつもりです。それと同じくらい、え、と、「まぐなむ」?のサイズを気にされていたようですし、ほんの僅かな差ではありますが、この世界での平均的なサイズの中でもやや上位に造っておきました。どなたかに見られても、多少立派だとは思われても、異常とは認識されることはないはずです≫
誉めてくれと猫が獲物を見せる時のような印象の声色で、疑いもなく女神が宣う。
が。そうか、神の一族はデリカシーがないんやな。感情とかコミュニケーションとか、超越した存在やから、コンプレックスをどうにかされる方が恥ずかしいんやとは、思い至らないんだ⋯⋯
≪人間のよく言う、余計なお世話というものでしたでしょうか。なら、今からでも元のサイズに⋯⋯≫
「あ、ああ、いや、まあ。やってしもたもんはしゃぁないやろ。せっかくやし、このままでもええよ」
≪そうですか? 今日中であれば、私の力が馴染み切るまでなら多少の変更は可能ですよ≫
残念そうな声で元に戻すと言われてもなぁ。
「今は慣れんからちょっと歩くのに違和感あるけど、すぐ慣れると思うし、どうしても嫌やったら、今日中やな? 後でそう言うから、今はこのままでイイデス」
≪わかりました≫
今のところ、小便の用足し以外に使い途ないんやけどな。
気を取り直し、再び人の声がしたと思われる方へ向かって歩き出す。
競歩よりかはゆっくりな感じで10分も歩くと、林の切れ目に道が見え、その先に高い塀が見えた。
「あれが街かな? ヨーロッパの街みたいに、城壁で囲まれてるんか?」
≪そうです。争いを避けるため、災害を最小限に抑えるため、城壁で囲み、街の専門家が防護の魔法をかけています≫
近づくにつれ、けっこうな高さのある壁だとわかる。
人の背丈ほどもある巨岩を形もサイズも取り取りに組み上げて、お城の壁のようになってた。
壁の周りには、空濠があり、城門に繋がる大橋の上に、わかりやすく兵士が立っていて、2~3人の人が何かを見せている。
「そう言えば、俺、戸籍も身分証もないんやん」
≪大丈夫でしょう。この先は、私とは会話は出来なくなります。あなたが信仰心や徳を重ねて、神と交信出来る技能を開花させれば、再びお目にかかることも出来るでしょう≫
「そうか。そやな。これまでありがとう。強引にここに来るしかない状況にされた時は腹も立ったけど、その分、金を用意してくれたり、身体能力あげてくれたり祝福とやらもくれたみたいやし、俺は、ここから生まれ変わって、この世界で生きていくし」
≪お礼を言うのはこちらです。やさぐれたりとんでもない要求を押しつけてきたり、別の世界を選んだりすることなく、ここで暮らす決意をしてくださって感謝しています。
⋯⋯またいつか、お目にかかれる日を待っていますね≫
女神と繋がっていたピーンとした電波のような感じは途切れ、女神の声も、それまで側にいたという気配もすっかり消えてしまった。
女神と別れの挨拶をしている間に、兵士と話していた人は、ひと組は出て来て、こちらへ歩いてくるし、ふたりは連れじゃなかったようで、別々に門をくぐって行った。
⋯⋯まだ、なんか忘れてるような?
街から出て来た二人組は、すれ違いざまに頭を下げると、向こうも片手をあげたあと、会釈して微笑んでくれた。
挨拶は、頭を下げるか手を振るのでいいみたいやな。
「通行手形か、出生地を示すようなものは持っているか?」
自動翻訳機能は好調のようだ。
兵士の言っている言葉は、難なく理解できた。
現地人とのファーストコンタクトスタートや!
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