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第1話 女神のやらかしと落とし前
2 肉体改造
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「では、始めます」なんて軽いひと言で、細かい説明もなく、俺の身体の改造と加護の付与とやらを始めた。
目を閉じて、光る人型のほわほわしたものに戻った女神は、手を伸ばして、俺の腹に突っ込んだ。
「お、おおぉお!?」
パーカーの腹の真ん中のポケットの辺りから、女神の腕が生えてるように見える。生地に皺がよる事もなく、どちらかというと、パーカーと融合してるとか、物質でないものが突き抜けてるようだというのがより正確か?
人型に光るほわほわしたもの──霊体? 幽体? の女神の腕から腹に熱が伝わって来て、SF映画なんかで発火念力に黒焦げにされる脇役を思い出した。
俺の身体の改造は進んでいるようで、モノローグが関西弁やなくなってる⋯⋯ そんなアホな!? 関西弁は、俺のアイデンティティのひとつやで!?
だが、実際に、感情の発露以外は、こうして標準語に近いものになっていた。
腹の熱さは徐々に全身を回り始め、手足の先が焦げとんちゃうか思うくらい熱くなって、耐えがたい痛みを伴い始めた。
「俺、消し炭になるんちゃうやろな!?」
≪元あった、あなたの世界の身体を構成する分子を私の世界のものと入れ替えているのです、多少は痛みが伴うかもしれませんが、死ぬことはありません。我慢してください≫
言ってることは解る。
魚類や爬虫類、微生物しかいなかった原始の生物を、鳥類や哺乳類に進化させるようなもんなんやろ?
元々持っていなかった器官を形成したり、分子構造を組み換えたりするんやろ?
俺、遺伝子組み換え大豆になるんかいな!?
魔法のない世界のただの豆粒が、魔素たっぷりのイソフラボン強化型遺伝子組み換え超大豆に生まれ変わるんや。ただの野菜がサイヤに超進化したんや。誰か、スカウター持って来てぇ!!
──ぷっ ぷふ ククク
女神が、喉も口も消えた光の塊のくせに、俺の大豆イソフラボン発言に反応して堪らずといったふうに吹き出した。
≪芸人とは、このようにして、人を楽しませる職業なのですね?≫
「いや、今のはただのジョークやねんけど、ウケたんやったらよかったわ」
笑っていられたのはそこまでで、全身の血が沸騰するような熱さと眩暈と、関節という関節が脱臼したような痛みが襲い、全身の血管から血が滲み出て細かな針か棘となって筋肉や内臓を刺すような痛みと恐怖に耐えきれず、意識を失ってしまった。
「では、始めます」なんて軽いひと言で、細かい説明もなく、俺の身体の改造と加護の付与とやらを始めた。
目を閉じて、光る人型のほわほわしたものに戻った女神は、手を伸ばして、俺の腹に突っ込んだ。
「お、おおぉお!?」
パーカーの腹の真ん中のポケットの辺りから、女神の腕が生えてるように見える。生地に皺がよる事もなく、どちらかというと、パーカーと融合してるとか、物質でないものが突き抜けてるようだというのがより正確か?
人型に光るほわほわしたもの──霊体? 幽体? の女神の腕から腹に熱が伝わって来て、SF映画なんかで発火念力に黒焦げにされる脇役を思い出した。
俺の身体の改造は進んでいるようで、モノローグが関西弁やなくなってる⋯⋯ そんなアホな!? 関西弁は、俺のアイデンティティのひとつやで!?
だが、実際に、感情の発露以外は、こうして標準語に近いものになっていた。
腹の熱さは徐々に全身を回り始め、手足の先が焦げとんちゃうか思うくらい熱くなって、耐えがたい痛みを伴い始めた。
「俺、消し炭になるんちゃうやろな!?」
≪元あった、あなたの世界の身体を構成する分子を私の世界のものと入れ替えているのです、多少は痛みが伴うかもしれませんが、死ぬことはありません。我慢してください≫
言ってることは解る。
魚類や爬虫類、微生物しかいなかった原始の生物を、鳥類や哺乳類に進化させるようなもんなんやろ?
元々持っていなかった器官を形成したり、分子構造を組み換えたりするんやろ?
俺、遺伝子組み換え大豆になるんかいな!?
魔法のない世界のただの豆粒が、魔素たっぷりのイソフラボン強化型遺伝子組み換え超大豆に生まれ変わるんや。ただの野菜がサイヤに超進化したんや。誰か、スカウター持って来てぇ!!
──ぷっ ぷふ ククク
女神が、喉も口も消えた光の塊のくせに、俺の大豆イソフラボン発言に反応して堪らずといったふうに吹き出した。
≪芸人とは、このようにして、人を楽しませる職業なのですね?≫
「いや、今のはただのジョークやねんけど、ウケたんやったらよかったわ」
笑っていられたのはそこまでで、全身の血が沸騰するような熱さと眩暈と、関節という関節が脱臼したような痛みが襲い、全身の血管から血が滲み出て細かな針か棘となって筋肉や内臓を刺すような痛みと恐怖に耐えきれず、意識を失ってしまった。
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