聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

文字の大きさ
上 下
157 / 163
心を守ってくれた優しい人

🚫19 マクロンさんの人物像がブレブレ?

しおりを挟む

 王様の可哀想な子を見る目が痛い。いっそ、見ない振りしてください。

「セフィル。レディの扱いを学んでないのかね?」
「レディ? ああ、貴族令嬢への応対ですか。一応一通り身についている筈ですが、萌々香ももかは令嬢とは同じじゃないですよ」

 それは、私がお姫さまのように扱う価値のない俗物って意味じゃないのは解るんだけど、どういう意味なのかはちっとも解らない。

「お嬢さんに失礼じゃないのかね?」
「なぜ? その他大勢の、どれも大して違わない令嬢達と可愛い萌々香ももかを同列になんか出来ませんよ。陛下だって、臣下の奥方や令嬢と、王妃や王女達を同じには扱わないでしょう?」
「む。そういう事を言っているのではないのだが⋯⋯」

「陛下。無駄ですよ。我が君には、愛らしいお嬢さん • • • • にしか見えてませんから」

 私は、何を見せられて、何を言われてんのかな。

 評議国にいた時と今のマクロンさんとの人物像にズレがあって、ちょっと戸惑うんですけど、誰か、説明して欲しい。

 優しい所も、顔立ちや声も変わらないんだけど(当たり前)、恥ずかしいこともサラッと言えるところも変わらないのに何か違う。

 マクロンさんがナイフとフォークで丁寧に一口サイズに切り分けたチーズinハンバーグを、自分で • • • 口に運ぶ。

「凄っ 美味しい!! 久し振りの煮込みハンバーグチーズin。よく再現できてる」

 本当に、日本のファミレスで食べたドミグラスソースで煮込まれた、チーズが中に入ってるハンバーグだ!

 鑑定アプレィズを試してみても、仔牛と山猪の挽肉、フレッシュチーズとクリームチーズのミックスソース、牛のすね肉や骨、炒めた香味野菜、小麦のルー、トマトピューレを加えて、煮込んでから濾してできたドミグラスソースって出て来て、全く地球のそれじゃない?

「気に入ったかい?」
「うん! 懐かしくて、美味しくて、嬉しい」

 芋やコーンを丁寧に裏ししたスープも、ベリーがたくさん乗ったチーズケーキも、食べるだけで幸せ。

「そうか」
「私のあのいい加減な説明から、よく再現出来たなぁって感激するよ。シェフにお礼を言いたいくらい」
「そうか」

 フルコースの最後に王様がシェフを労う時に、久し振りに美味しかった事を伝え、感謝した。

 この数日後、ハンバーグを再現した料理人さんを、マクロンさんはお屋敷専属に引き抜いてしまった。いいのかなー。

──いいんじゃない?
──お城の料理人になりたい人は他にもいるでしょ

 そういう問題じゃないと思うけど、仕方ないね。美味しいものには勝てないし。

 ちなみに、この料理人さんには、あちらの料理の説明をする時に、底なしエコバッグから、買ったばかりのハンバーグに必要な香辛料や乾燥ハーブを説明しながら手渡しておいたのだ。

 小さいガラス瓶のやつ。プラスチックケースや袋の買ってなくてよかった。この世界にはない物だもんね、気軽に渡せない。
 私の分は、また後日、新品が取り出せるからこのエコバッグの凄さがありがたい。

 固有能力ユニークスキル【状態保存】と【再生】は、この世界の人が持っていない、私だけの、日本のラノベ感覚で期待する事が能力となって身についたもの。

 創造じゃなくて【状態保存・再生】だから、元々入ってたものしか増やせないんだけどね。それで充分助かってる。

──任せて!

 うん。これからも、よろしくね。



 次話
🚫20 国王の前で船漕ぎ(!!)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~

紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの? その答えは私の10歳の誕生日に判明した。 誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。 『魅了の力』 無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。 お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。 魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。 新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。 ―――妹のことを忘れて。 私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。 魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。 しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。 なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。 それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。 どうかあの子が救われますようにと。

子育て失敗の尻拭いは婚約者の務めではございません。

章槻雅希
ファンタジー
学院の卒業パーティで王太子は婚約者を断罪し、婚約破棄した。 真実の愛に目覚めた王太子が愛しい平民の少女を守るために断行した愚行。 破棄された令嬢は何も反論せずに退場する。彼女は疲れ切っていた。 そして一週間後、令嬢は国王に呼び出される。 けれど、その時すでにこの王国には終焉が訪れていた。 タグに「ざまぁ」を入れてはいますが、これざまぁというには重いかな……。 小説家になろう様にも投稿。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

貴方に側室を決める権利はございません

章槻雅希
ファンタジー
婚約者がいきなり『側室を迎える』と言い出しました。まだ、結婚もしていないのに。そしてよくよく聞いてみると、婚約者は根本的な勘違いをしているようです。あなたに側室を決める権利はありませんし、迎える権利もございません。 思い付きによるショートショート。 国の背景やらの設定はふんわり。なんちゃって近世ヨーロッパ風な異世界。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

処理中です...