聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

文字の大きさ
上 下
121 / 163
自由民ギルド ロックウェル支部

⛔21 不正査定の顛末

しおりを挟む

 私の捕まえてきた一角兔のホーンラビット 討伐報酬と素材部分の買い取り価格に水増し請求ならぬ、一部だけ提示で中抜きをしていた事がバレた査定士達は、全員クビになり、詐欺行為をしたとして、国軍の保安課に逮捕されていった。

 月締めの会計士も無能として馘になり、会計士協会ギルドからも資格剥奪の上除名されたらしい。
 会計士さんが不正をした訳じゃないけれど、責任者と一緒に収支決算書を作ってた訳で、不正に違和感を覚えることもなく数字だけをみていたから、と言うのが理由らしい。
 ちょっと可哀想だけど、横領を見抜けなかったんだから、会計士の交代をギルマスが命じるのは当然だよね。
 雇い主から無能のレッテルを貼られ、損害賠償の請求をされた会計士は、この先どこも雇ってもらえないと上司に判断されたのは残念だけど、自由民協会ギルドという特殊な派遣先の知識を持つ努力がなかったのだから、こことは合わなかったのだろう。

 査定士のまとめ役のラーソンさん、中間管理職らしきノーマンさんは降格処分の上、査定とは関係のない部署へまわされた。その上更に、当分の間は、これまで搾取されてきた過去の自由民傭兵さん達に、詫びながら補償金と正規価格との差額を返していくという、針の莚な仕事をさせられている。ちょっと可哀想だけど、これもまた、横領を見抜けなかったんだから、仕方ないのかもしれない。

 責任を取って辞任します、じゃ通らないんだね。責任の取り方としては、真っ当なのかもしれない。

 ラーソンさん達の抜けた後は、全部完済されるまで、協会ギルド会長マスターとその補佐官、事務局の人達とでみているらしい。
 特に、鑑定能力のある査定士、魔物を適正に解体できる人がゴッソリ居なくなったので、てんてこ舞いなんだって。

 あ、私の一角兔のホーンラビット 代金は、討伐報奨金と角や毛皮と食肉の名目で、適正に買い取られた。
 雌が多めで、肉が柔らかく雄より高めに買って貰えた。間引きという意味でも雌を獲る方が良かったのだとか。
 更に、魔核が取れれば、後日上乗せされるという。
 不正が発覚したきっかけになったからと、解体手数料は免除になったので、ちょっと懐が暖まった。

「それでも、やっぱり解体講習は受けた方がいいわね」
「キミカさんは燃やしてしまうんでしょう?」
「そうね。魔獣にっては毒や呪いを持ってる個体も居るし、いちいち捌いてたらクエスト中はそればっかりに手と時間を取られて大変だからね。討伐部位を切り取って燃やして、魔核が取れれば回収、かな? 自然死じゃない遺骸を放置すると、瘴気を発生したり呪いがかかったり毒素を吐き出したりする事が多いので、燃やして遺った遺灰は清めて埋めるのよ」

 なるほど。聖職者がメンバーにいれば、浄化も可能だけど、激戦地とかだと追いつかないからやはり燃やすらしい。

 心の手帳にメモしとこ。



 次話
⛔22 お出掛け(こっそり)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。

夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。 陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。 「お父様!助けてください! 私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません! お父様ッ!!!!!」 ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。 ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。 しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…? 娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃

紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。 【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。

エルネスティーネ ~時空を超える乙女

Hinaki
ファンタジー
16歳のエルネスティーネは婚約者の屋敷の前にいた。 いや、それ以前の記憶が酷く曖昧で、覚えているのは扉の前。 その日彼女は婚約者からの初めての呼び出しにより訪ねれば、婚約者の私室の奥の部屋より漏れ聞こえる不審な音と声。 無垢なエルネスティーネは婚約者の浮気を初めて知ってしまう。 浮気相手との行為を見てショックを受けるエルネスティーネ。 一晩考え抜いた出した彼女の答えは愛する者の前で死を選ぶ事。 花嫁衣装に身を包み、最高の笑顔を彼に贈ったと同時にバルコニーより身を投げた。 死んだ――――と思ったのだが目覚めて見れば身体は7歳のエルネスティーネのものだった。 アレは夢、それとも現実? 夢にしては余りにも生々しく、現実にしては何処かふわふわとした感じのする体験。 混乱したままのエルネスティーネに考える時間は与えて貰えないままに7歳の時間は動き出した。 これは時間の巻き戻り、それとも別の何かなのだろうか。 エルネスティーネは動く。 とりあえずは悲しい恋を回避する為に。 また新しい自分を見つける為に……。 『さようなら、どうぞお幸せに……』の改稿版です。 出来る限り分かり易くエルの世界を知って頂きたい為に執筆しました。 最終話は『さようなら……』と同じ時期に更新したいと思います。 そして設定はやはりゆるふわです。 どうぞ宜しくお願いします。

騎士志望のご令息は暗躍がお得意

月野槐樹
ファンタジー
王弟で辺境伯である父を保つマーカスは、辺境の田舎育ちのマイペースな次男坊。 剣の腕は、かつて「魔王」とまで言われた父や父似の兄に比べれば平凡と自認していて、剣より魔法が大好き。戦う時は武力より、どちらというと裏工作? だけど、ちょっとした気まぐれで騎士を目指してみました。 典型的な「騎士」とは違うかもしれないけど、護る時は全力です。 従者のジョセフィンと駆け抜ける青春学園騎士物語。

処理中です...