聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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自由民ギルド ロックウェル支部

⛔17 査定価格

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 耳や被毛、角に傷がないか、欠けていないか、素速く見ていくペプラムさん。

 ガヴィルさんは一度横を向いてあくびを噛みしめ、査定台の側の簡素なベンチに腰を下ろす。

 そう言えば、私に付き合って冒険をした後、本業の監理局副長の仕事をされているんだよね。きっと寝不足なんだろう。

 なんだか、申し訳ないな。私の自由民活動に付き合うのは、ガヴィルさんの本来の仕事じゃないよね。

──無理だと思ったら、マディラでもサリーでも誰かに変わるでしょ?
──権限ある役職者なんだし、それをしないのは大丈夫だからじゃない?
──ただの子供好きの可能性もあるけど、それでも、責任ある立場のニンゲンなんだから、無理はしないと思うな
──そうそう、気にしない気にしない
──早く独り立ちできるようになることが最速の恩返しだよ

 精霊達の言うことはいちいちもっともで、さすが長い間存在して、いろんな人間を守護して来ただけはあるね。

 精霊達と脳内会議してる間に、査定は終わったらしい。

「低級魔獣ホーンラビット37体、どいつも傷はないし、角も折れてない。2匹ほど欠けてたが、これは元々だな。他の魔獣とやり合ったときにでも出来たんだろう。これくらいなら問題ない」

 ペプラムさんがサラサラと査定価格の打ち分けを書き込んでいく。

 ホーンラビット   380ギル ✕37
   〃 角       1,200ギル ✕35
   〃 角(一部破損)  500ギル ✕2

 ※ 解体手数料  1,000ギル ×37×0.8(特別割引)
        -29,600ギル
 ※ 特別鑑定料  -3,000ギル
 ───────────────
     総計 24,460ギル


 ギルって言うのは、自由民協会ギルドの通貨で、この国のお金に換算すると、ホーンラビット一匹380ギルが約420ディンで、ちょっと豪華なカットケーキが買えるくらい、だそうだ。
 子供のお小遣い程度だね。

 380ギル=420𝕯ディンそこそこで、ちょっと豪華なカットケーキって、日本円の物価と近いかな? こっちがもう少し安めかな。

 ホーンラビット一匹でショートケーキが1個かぁ。なかなか貯まらなさそうだね。

「まあ、初心者が斃せる魔物の駆除でホイホイ高額の報賞金出してたら、自由民みんな大金持ちだし、協会ギルドがあっという間に破綻するだろう? 依頼主も、一般人は手が出せなくても専門家(協会ギルド登録傭兵)なら日常茶飯事だと思って依頼をするのに、そうそう大金は出さんだろう?」

「それもそうですね」

 受取人の欄に名前を書こうとして、ハタと気づく。
 ここの文字、見たら頭に意味は浮かんでくるけど、自分では書けないや。



 次話
⛔18 査定価格と鑑定価格


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