聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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自由民ギルド ロックウェル支部

⛔11 チートも気楽じゃないね

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 あまり頻繁に星竜の湖に行くと、獣道が踏みならされて、人が通っているのが解るからと、独りぼっちの星竜には悪いけど、木の実採集のクエストは、3日~5日に一度ということになっていた。

 それでも、星竜が気になって、仕方がない。

 だけど、木の実のクエストは、期間限定である。冬や春には出来ないだろうし、そもそも、冬になったら雪に閉ざされて登れないのでは?

「まあ、そうだな。モモカの足では登れなくなるだろうな」
「そもそも、普通、星竜様に頻繁に会うものじゃないのよ」
「でも、話を聞かせてくれって言ってたし、私も会いたい。守護してもらっててお世話になってる訳だし、お菓子を作ってあげる約束したみたいなのを果たしてあげたい」

 ガヴィルさん達は、私が特別目をかけてもらってるのを羨んで意地悪を言っているとか、神にも等しい信仰を集める星竜に近づくなんてとんでもないと、私の常識外れな行動を止めている訳でもない。

 単純に、星竜の守護を持っている事がバレたら、私が危ないと言うのだ。

 私を捕まえて、騙したり洗脳したりして、星竜の力を使わせたり、私の存在を旗印に犯罪を計画する者が出て来る可能性があると、外では星竜の話をしないように言われている。

「モモカが、私達を信用してくれるのは嬉しいんだけどね? 大人は色々汚い手を知っていたり、欲や感情にまかせて愚かなことをしてしまったりするものなのよ」
「ガヴィルさんやアディライトさんも? 絶対大丈夫だと思ってましたけど⋯⋯」

 私が訊ねると、アディライトさんに抱き締められ、ガヴィルさんに頭を撫でられる。
 だから、10歳児じゃないってば。

「今一番危ないのは、自由民協会ギルドのマーシャかしら」

 金髪金目の受付嬢。ガヴィルさんに絶讃片想い中で有名な人。
 マーシャさんって言うのか。

「ガヴィルの事で、あなたにいい感情がないようなの」
「恋敵を見る目で睨まれますからね」

「⋯⋯だから、あなたに関しては眼が曇る可能性はあるわ。嫉妬から、後で後悔するような行動をとってしまったり、誰かの提案に乗ってあなたを危険な目に合わせるかもしれない。あなたの話になれば、冷静さを欠くから、そこを突かれて操られるかもしれない」
「そんなに莫迦じゃないと思いますけど⋯⋯」

 幾ら私が目障りだからと言って、反社会勢力に私を売ったり個人情報を漏らしたりはしないだろう。協会ギルドの護りを受け持っている事を、誇りに思ってるように見えたけどな。

──恋は盲目ってやつ?
──それは、相手が残念でも目を瞑るとか気にしないで、視野狭く惚れる事なんじゃないの?
──いやいや、恋に落ちると冷静さや常識を見失うって事じゃん?

 取りあえず、ガヴィルさんは残念じゃないよと言っておこうかな。




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