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自由民ギルド ロックウェル支部
⛔4 アオヤマブドウ(碧山葡萄)
しおりを挟む碧山葡萄の実は、探しやすかった。山に入って、陽の当たる高い木の上の方に蔓が伸びて、粒が小さ目のワインなどに使われるような葡萄がいっぱい生っていた。
「これまた、精霊達のおかげで、ズルですね」
笑いながら、籠に葡萄の実を房ごとに寝かせて盛り付けていく。これが、二盛りで達成。
「いいんじゃないの? 多くの人は、魔術で精霊の力を使うけれど、あなたは言葉を交わしお願いすることで精霊達を使う。精霊魔術士ではなくて精霊使い。別にズルじゃないわよ」
キミカさんはそう言ってくれるけれど、気が引ける。
彼らは楽しげにお手伝いをしてくれるけど殆ど魔力を取らないので、やっぱり私が彼らを使役してるのとは違うと思うけれど、それが私の特殊体質と特別技能で持ち味だと言われれば、そうなのかなと好意を受けとるしかない。
「便利で合理的な手段は、正しくなら幾らでも使うべきよ。持てる力は使わなきゃ」
と言うキミカさんのお墨付きで、特別技能【鑑定】と【探索】を使いまくって、幾つかの目につくベリーから目的の白草苺を的確に見つけ出していく。
「ホント、モモカと採集クエストをしたら、簡単確実完璧よね」
草苺とかって言って、苺って元々草やんと思ったら、私の知る苺じゃなかった。
ラズベリーのような見た目の粒々が蔓から垂れている。どちらかと言えば、クワの実? 葉の小さな躑躅のような低木からの蔓が周りの高木に伸び、クワの実に似た白っぽい黄色の実が生っているので、そっと手を伸ばすと、気をつけていたけれど小さな棘に当たった。
地球産のベリー類の多くは、この棘と繁殖力で、庭木に向かない(お勧めできない)と言われるけれど、しっかりとこちらの木にも棘はあるようだ。
「んーと【鑑定】」
꙳꙳꙳꙳꙳꙳꙳꙳
白草苺
ツツジ科ツルコケモモ亜属 常緑低木
実は甘酸っぱく、ジャムやドライフルーツに向いているが、生食も可
食用、飲用、染料、薬用、ヘルスケアなどに使われる
寒冷地でも育つほど丈夫で、繁殖力が高く地下茎が伸び爆発的に増える事もある
花期 春~初夏 収穫期 夏~秋
꙳꙳꙳꙳꙳꙳꙳꙳
なんか、木イチゴと野イチゴの特性が混じってるような?
一見、ラズベリーの木にクワの実が生ってるようなのに白っぽくて、でも分類は蔓苔桃のそれ。
まあ、これが探していた白草苺らしいから、籠にいっぱい五籠分だっけ? 集めよう。
一籠分はすぐに集まったけれど、乱獲しないように実を残して収穫すると、まだ三籠半足りない。
──もっと、山頂に近い方へ行けば、群生してるよ
──僕がここで一気に咲かせて実らせてもいいけど、自然に生ってる物ほど栄養価はないかな?
「ううん、いいよ。まだ他に生ってるなら、そっちを探そ」
プランツやフロル、アルボルが魔法で成長を促進させて、枝を増やし花を咲かせて強引に実るまでしてもいいと言ってくれるけれど、それじゃ土も木も疲れて、この先よくないよね?
──まあ、そうだね
──儂が土に祝福してもいいのだがな
「まあ、そこまでしなくても達成は出来そうだから」
もう少し、山道をのぼる事にした。
次話
⛔5 白草苺を求めて山頂付近の湖畔へ
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