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今日から冒険者(仮)
🚯3 訓練施設
しおりを挟む秋晴れって感じる清々しい空。空気が澄んでて、日本では、なかなか味わえない心地よさ。
足元には芝生に似た草が生い茂り、どこまでも続く草原。
に、見えるけど、どういう事だろう。
ここは、地下である。
「不思議か? ここは、こういう場所なんだ」
「大丈夫よ。ちゃんと帰れるから」
ガヴィルさんと、赤い髪を高い位置でポニーテールにした女性。
私の研修の仮パーティである。
ガヴィルさんは初級の回復魔法と、水と風の加護を持つ魔法士でもあるらしく、綺麗な魔石のペンダントを身につけていた。
ゲームの魔法使いが杖に魔力を溜めて放つように、この魔石に意識を集中してから魔法を使うと、正確性が上がるらしい。
見た目、戦士とか格闘家みたいなのに、魔法士なんだ?
赤いポニーテールの女性は、自由民協会の会員で、剣士のお姉さん。
上級者で、結婚を機に第一線を退き、初心者の指導と、スポット参加で助っ人をされている人だそうで、私の指導について来てくださった人。
赤い髪の通り、火の精霊の加護を持った人で、魔法剣士でもあるらしい。
「ここは、初心者が仕事をこなせるか試す場所で、訓練施設でもあるの」
この秋晴れの空も、草地も、幻影魔法のようなものだという。
魔獣が現れても魔物が飛び出しても幻影。
但し、彼らに傷つけられたら本当に傷が出来る。
受付嬢のカムリーさんは、依頼を受ける前に、ここで、回復薬の元になるチェゴの葉とルゴの実を籠いっぱいに採集してこいと、自由民として仕事が出来るのか見極めると言った。
本物ではない幻影だけど、私がやられたと眼で受け止めたらその傷は本物になる魔法がかかった訓練施設だというので、心配してくれたガヴィルさんと、協会の職員でもある剣士が見極めに付き添ってくれているのだ。
さっきから時折、皐月のような小さな葉が密集した低木の影から、兎のようなモルモットのような魔獣が飛び出してくる。
最初は咄嗟のことでガヴィルさんが風魔法を付与したナイフで斬り捨ててくれたけど、それ以降は私が右手の爪から鎌鼬のような真空の刃を発射して倒している。
「戦闘魔法には慣れてきた?」
「ええ。今の所風の子ばっかりだけど」
私は、魔力を集めて射出するだけという技能のおかげで、呪文を唱えたり、指を組んで印を結んだり魔道具を併用したり、難しい魔法陣を描いたりする魔法を使う必要がない。
魔力を操作出来さえすればすぐに使えるというアドバンテージがあるので、急に襲われても咄嗟に魔力を打つけるだけで済む。
「じゃあ、薬草を探すのを再会しましょう」
「この薬草を覚えておけば、野に出ても役に立つからな」
基本中の基本らしい。
次話
🚯4 薬草を見つけよう
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