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竜王国って、竜の国?
🚷28 天然なのに合成繊維?
しおりを挟む結果として、私に魔封じの魔道具も魔力を吸い取る装身具も効かないので使わないことになった。
魔力量は、あり過ぎて吸い取りきれずに、装身具はすべて壊れてしまった。ごめんなさい。
魔封じは、精霊を封じるものではなく魔法の術式が発動するのを阻害するものなので、魔法を使う訳ではない私には意味がない。
ただ、精霊力を爪に溜めて、放出するか身に纏って防御にするかだけなのだ。そこに魔法としての術式は存在しない。消費するのが魔力なだけで、どちらかと言えばSFの超能力に近い。
「まあ、一度に溜めて使う量を少な目に練習してくれるなら問題はないでしょう」
今後の予定というか、この世界での暮らし方について相談が始まると思ったのだけど、何故か、国外にいるという殿下が帰国するまで待つように言われた。
どうも、竜の守護があるのが問題らしい。
この国では、女神と同じくらい星竜を崇める民族らしい。
その星竜様も、普通の竜とは違うらしいけど、詳しくは殿下に会ってからと言われた。
「みんな、ここの殿下を知ってるの?」
星竜の時と同じで、私の頭や肩に集まって、ヒソヒソ話し合うけれど、翻訳機能は切られていて、精霊言語は私には解らない。
──殿下に関しては、実際に会うまでノーコメントで
ぴちょんが代表してそう言う。
ぴちょんって、日本にいた時から傍にいるんじゃなかったっけ? 殿下のこと知ってんの? それとも、精霊達の情報の共有とやらで知ってんのかな。
──ごめん、それもノーコメントで
何か、精霊達のルールに反するのかな。まあいいや。いずれ会えばわかるでしょ。
──ホント、モモカってそういう所、いいよね
お褒めに預かりまして。⋯⋯誉めてるんだよね?
「シルクに似た手触りなのに、シルクじゃないのねぇ?」
「柔軟な素材で、伸び縮みするのが面白いわ」
私の着衣の素材にみなさん興味津々で、テンセルやレーヨンは、一応天然素材と化学繊維の中間的な物で、鑑定をしても、天然パルプを化学薬品に溶かして繊維状に撚糸再生した、土に帰る素材、天然素材なのに再生繊維という謎の鑑定結果が出るのだけど、彼らの【鑑定】には、どう出ているのだろう。
魔法が通常の生活環境である彼らに、化学薬品や化学繊維という概念は理解しづらいに違いない。辛うじて、薬品なんだなは解るかもしれないけど、合成繊維って解るのかな? 化学薬品は魔力を使わない錬金術みたいなものと言えば、納得したようだった。
「綿と麻を混合した繊維とか混紡糸って意味じゃないのよね?」
「合成した繊維。天然の素材を敢えて錬金術加工して撚糸し直したもの? 面白いわ。どうやるか知ってる?」
「あいにく、まだ学生の身でしたので。学校から行った社会見学は、お菓子工場と農場、果樹園くらいでしたので⋯⋯」
「専門知識のある職人に相談してみるかしら」
こんなに食いつくとは思わなかった。
次話
🚷29 手荷物検査
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