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竜王国って、竜の国?
🚷26 朝食──あそこよりかは素晴らしい?
しおりを挟む危うくバスタブの中で寝入りそうになったけれど、なんとか持ちこたえて、ベッドに這い上がる。
寝間着は着ないととは思うのだけど、眠くて、まだパンツ一丁なのに掛布の中に入ると、意識は遠のいた。
翌朝、大恥をかいた。
「驚いたわ。異世界の人は、素っ裸で寝るのかと思ったけど、疲れ過ぎて、寝間着も着られずに寝落ちなのね」
気を利かせて遅めに、様子を見るのを兼ねて起こしに来てくれたアシスタントスタッフのサリーさんに、毛布から這い出た私の姿を見て驚かれたのだ。うう、恥ずかしい。
この場にはガヴィルさんや他の男性がいないからいいようなものの、あまり広げないで欲しい。
朝食は、お風呂に浸かってよく寝て疲れが和らいだからか、お腹は空いて食べられる。嬉しい。
ナーンみたいな生地を伸ばして、クロワッサンみたいに巻いて焼いたパンに、緑黄色野菜の温菜サラダ。穀物と土野菜の濃いめのスープ。
蒸した鶏肉に見えるけど鑑定したら爬虫類だったものの裂いて並べられたもの。鑑定しなきゃよかった。鶏がここにも居るのかなって、気になっただけだったんや。
林檎のような見た目にサクランボのような味と食感の果物。
飲み物は、青汁っぽいけど、なんやろ。鶏肉擬きで懲りたので、鑑定はしないでおこう。
「サリー。人の不名誉を触れ回らないの。異世界に来て訳もわからない中、歩きづめて疲れるのは当然でしょう? お風呂で沈まなかっただけよかったわ」
アディライトさんが優しい。
ここの食事は、評議国より多少手は込んでて、塩味以外にもついている。
けど、噂に聞くイギリスの、火を通すだけ、調味料は薄味、丸ごと素材を食すという産業革命の質素倹約の副産物みたいなものに近いのは変わらない。
「ああ、それで、異世界人の収容施設のバスタブは小さめなんですね」
「そう。疲れて沈まないためと、お湯を汲む技能がない場合の事も考慮してよ。初対面で遠慮して、言えない人が少なくないでしょう?」
「なるほどです。労力は少ない方がいいですもんね」
「各部屋に水道引けばいいだけでは?」
「あんなもの、各部屋に? 大工事ね」
どうやら、サリーさんやマディラさんは水道橋のようなものを想像しているみたい。
「直径はこれくらいで、パイプを引くんですよ。蛇口を捻ったら誰でも水が出れば、水を張るのは楽になるでしょう?」
次話
🚷27 水道引くと驚かれるの?
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