聖女も勇者もお断り🙅

ピコっぴ

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竜王国って、竜の国?

🚷13 依頼心か信頼か

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 ──マクロンとつがいにならないの?

「ならないってば。私は、この世界の人間じゃないし、これは恋愛とかじゃないよ。依頼心。まわりが敵だらけの中で、優しくしてくれた人に甘えてるだけ」

──それって、悪いこと?
──ボクらだって、感情が歪んだら精霊でいられなくなる
──魔力を持った悪しき霊体に成り下がる
──そうなったら、精霊には戻れない
──女神様に滅してもらって、新しい精霊になるしかない
──それでも本質が歪んだままなら、本当に消滅させられる
──だから、仲間で寄り添う
──相性の合う、いい匂いの魂を持ったニンゲンに洗ってもらうの
──善良で綺麗な心のヒトの守護をして、美味しい魔力と心地よい霊気をもらって、ボクたちも綺麗になるんだ

 そうなんだ。持ちつ持たれつなんだね。

──だから、モモカが綺麗なままで居られるためなら、マクロンとつがいになるのはいいと思う
──心の安寧を守れる仲良しさんは大事だよ
──相性がいいならなおさら
──手放さない方がいいと思うけどな

「それ、マクロンさんの気持ちは無視?」

 苦笑いするしかない。
 それって、私の都合だけやん。マクロンさんにだって、いいお嫁さんを選ぶ権利はある。

──スキじゃなかったら、あんなに親身になってくれるかな?
──少なくとも、可愛い妹とか娘とかくらいには大事にされてたよね?

 それは、そうだろう。全くの赤の他人に、魔力の殆どを注ぎ込んで防御膜を張ってくれたり、大切な、国のための薬を造る仕事の手を止めてまで、面倒を見てくれる人はそうは居ない。
 あの国で唯一信頼の出来る人に、依頼心で頼り切ってた、甘えてた私。

 その大恩人に、お別れの言葉も感謝の意を伝える事もなく、隣国に逃げ出してしまった。

 これで縁は切れたのだろうし、愛唯あおいも私が死んだと思ってくれるなら、悪縁を絶てってステータス異常にあったけど、何とかなるかもしれない。

「だから、あの国の人とは、全員、縁を切るの」

──わかった
──それは反対しない
──むしろ大賛成?
──推奨案件ダヨネ
──それでもまた出逢えたら、宿縁だと思って、マクロンと仲良くするんだよ

 また会えたらね。考えてはみるけど、みんなと契約して、独り立ち出来た私と再会しても、面倒を見る義理はないって、仲良くしてくれるとは限らな⋯⋯ううん、そんな人じゃないか。
 あれこれ面倒を見てくれなくても、構ってはくれそうな気がする。


 そんな事をみんなと話しながら歩いていると、やっと、整備された開けた街道に出た。
 馬車も通る道のようで、わだちがある。

 とりあえず、いつまでも山中にいても仕方ないから、下り坂を進もうかな。



 次話
🚷14 城壁
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