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竜王国って、竜の国?
🚷9 水滴の音がする
しおりを挟む私の固有能力【魔爪攻守】は、契約した精霊の力を具現化するものらしい。
契約しなくても使えないことはないが、細かい調節が難しく、精霊の力を爪に集めて一気に放出するだけになってしまいかねないとのこと。
で、誰が契約するか、それも一番目に、と揉めているのだ。
「え、と? 私の魔力は高め、魔力量も爆発的に強烈多いんだよね?」
──そう!! 聖女補正と、星竜の守護だね
──こんなにたくさん魔力内包してるのなんて、大賢者でも中々、守護者の星竜とか、魔神級の魔族くらいだよ
「さっきからよく出て来る、星竜って?」
いつもなら打てば響くように答えてくれるのに、すぐには返事は来なかった。
何やら頭の上で話し合う気配がする。
声は聴こえないし姿も見えないけど、精霊が集まっている気配はするのだ。
──ごめん? ボクたちからは言えないの
──本人が会って話したいから黙ってろって
──あ、バカッ それ言ったら黙ってる事にならないじゃん
──あっ!! 聞かなかったことにして?
「いいよ。結局何もわからないのと同じだし。聞いてないよ」
──ありがとう!!
火の子は、裏表ないのは精霊として同じだけど、みんなの中でも特に直情的で単純で素直、と。心にメモしとこ。
「とにかく、使用可能魔法力はとても高いんだから、みんなと一緒に契約できないの?」
⋯⋯⋯⋯
なかなか話は纏まらないようだったけど「本当に暗くなる前に決めないと」と言ってみたら、決断したらしい。
──決まりました!
──まずは、年季の入った水のから
──そこでコツを摑んだら、後はみんないっぺんにで!!
──よろしく!!
楽しげな声がして、私の目の前に、ソフトボールくらいの大きさの水球が現れる。
──さっ!! まずはボクからだよ
手の平をお椀にして、受けるようにすると、ぽよんぽよん跳ねながら手の平の内に収まる。
あ、冷たいのに温かくて、気持ちいい
──相性バッチリだね! さ、ボクを受け入れて?
「うん、こちらこそよろしくね」
両手で隠すようにそっと包み込むと、胸元に掲げて祈るように、自分の指に唇を当てる。
胸から口から、冷たくて温かい霊気が私の中に染みてくる。
ピッ⋯⋯ちょん ぽちょん ぴょゎゎわん ぴちょん
水溜まりに雫が落ちて波紋が拡がるような音がする。
全身に染み渡る水の霊気。
「ぴちょん 可愛い音。ね? ぴちょん」
──ボ⋯⋯クは、ボクは『ぴちょん』澄んだ水の精霊にして、モモカの守護精霊⋯⋯!!
ミントブルーとコーラルグリーンの僅かなグラデーションの水球が私の周りを飛び回り出す。
そして、私の白に近い淡い真珠色の髪が、ミントブルーに染まっていた。
──ぴちょんの色! 契約完了ー!!
次話
🚷10 守護精霊たち
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