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竜王国って、竜の国?
🚷8 契約するのは誰?
しおりを挟む私の固有能力【魔爪攻守】を教えてくれるという精霊達は、誰が最初に私と契約するか揉めていた。
──ボクが馴染みやすいから、まずはボクだよね!
──攻撃力を高めたいなら私よ! 火力って言うじゃないの!!
──まずは身を守るのが先じゃないかな? ここはまずはわたしから受け持とうじゃないか
──今来てるモモカの愛用の着衣に棲む私が一番モモカを解ってるわ!! 私が一番目よね
──星竜様からモモカを託されたボクこそ、一番に契約するべきじゃないかな?
う~ん、モテてるなぁ。これも、【精霊愛護】って特殊体質の、精霊に好かれる生命の香りを発動中なおかげなのかな?
──それはきっかけに過ぎないよ!!
──そうそう、それに寄せられてくるけど、会ってみて好きになるかはモモカ次第だもん
──ミドリも悪くなかったけど、モモカがいいよ
──アオイはやだな
──魔力は美味しそうなんだけどね、精神領界の香りがよくない
──匂い悪いと美味しくなくなるよね
──実際、アオイに憑いたの、歪んできててヤバいもん
愛唯の、あの私に対して攻撃的な態度はどこから来るのか。
過去に何かあったような口ぶりだけど、会ったのは今年の始業式が初めてだし、過去にも会ったことはない。
覚えてないだけ? ううん。この髪のせいで、子供の頃から付き合う人は限られてたから、因果応報なんて言われて川に突き落とされるほど恨まれるような相手なら、記憶にあるはず。
──ええっ!? アオイ、モモカにそんな事したの!?
──やっぱりお灸を据えておくべきだったわ
──次会ったら容赦しないよ
「ま、待ってみんな。一応、泳げない私を心配して、荒治療のつもりだったのかも?」
実際、愛夏音にはそれらしきことを言っていたらしいし。
──本当にそうだったとして、やり方ってもんがあるよね?
──モモカを危険な目にあわせるなんて赦せない
──モモカ、二度とアオイを近づけさせないからね
そうか。肉体がないからか、感情に行動が直結されやすいんだ。怒りイコール報復攻撃になっちゃうんだ。
「みんな、ありがとう。私の国には、障らぬ神に祟りなしって言葉があってね、関係を持たなければ問題は起こらないって事で、アオイの事はスルーして?」
別になにも、揉めたいとかやり返したいとか、私が苦しかった分愛唯も苦しめばいいなんて思わない。
事なかれ主義と言われてもいい。
要らぬ恨みや不満は持たない方が幸せに暮らせる。
──わかった
──モモカがそう言うなら⋯⋯
──やっぱり、同じ聖女でも、モモカが一番ね
みんな、解ってくれてありがとう。
──で、最初に契約するのはボクだよね?
いい話で纏まりそうだったのに、振り出しに戻った。
次話
🚷9 水滴の音がする
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