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【萌々香 Ⅱ】
📵22 好みと拘りはあるようで
しおりを挟む精霊って、魔素や霊気の塊ってイメージだったので、いつもお喋りしながらも、淡々と喋る感じから感情はないのかと思ってた。
契約した人間が、悪人でも関係ないと言ってたし。
──そうだね~、特に、好き嫌いは強いかな~
──拘りはあるよね!
──モモカの香りスキ
──ミドリもいい匂いするけどアオイはあんまり好きじゃないなー
──マクロンもいい匂いするよね
──人間の呼び方で何々の精って感じの元素のまんまや、なんかの精気が溜まって出来た生まれたての精霊は、あんまりはっきりした感情や言葉は話さないかな?
この国の国民が一定の歳になると行う選定の儀とかで自然につく精霊の殆どが、そういう会話も出来ないけど人と契約をして霊気や魔力をもらって成長したい原始的な精霊たちで、相性の合う人間の守護をするのだという。
て、事は、そもそもそんな原始的な生まれたての精霊達と契約した人は、原始的な魔法しか使えない?
──まあ、そうだね
──火を点けるとか、水を溜めるとか?
──風はそれなりに使い勝手いいからね♪
最後の子は風の子なんだろう。自慢げだったし。
じゃあ、マクロンさん達魔法士って?
──マクロンも言ってたデショー? 魔力や霊力を鍛えて、より強い精霊と仲良くなって守護契約していくんだよ
じゃあ、愛唯に憑いた精霊はその大きい子だったって事?
──人間はあんまり目がよくないから見えないんだっけ?
──そうだよー
──まあ、僕ほどじゃないけどね
──異世界から来た時に、女神様の加護をもらったでしょ? それにつられて、大きい子が寄って来て、小さい子らを押し退けて守護したみたいだよ
もらったという瞬間を知らないんだけどね。
──モモカは気絶してたからね
──今でも、池とか湖とかダメなの?
そう言えば、こっちに来てからは、囮様に格上げされるまでお風呂も入れなかった(タオルで拭うだけだ)し、池とか見たことなかったな。
何度も角を曲がりながら急勾配の坂を登って行くと、うっすらと、向こうの方に灯りが見える。
その明かりが揺らぐのは、聖騎士や魔法士達が中を覗いたり、何人か松明を持って入ってきたかららしい。
彼らのシルエットのせいで、外の明かりと松明の明かりとその影が揺らぐのだ。
──助かった
とは思わなかった。
このまま彼らに保護されても、暫くは同情されるかもしれない。でも、またすぐ『囮様』をさせられるのだ。
来た道をそっと戻る。
風の子が、奥の女の人達が捕まっていた広場の奥に、山の中腹に出る坑道があると言うのだ。
私は、この状況から逃げ出す事にした。
次話
📵23 囮の聖女様が!?
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