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【萌々香 Ⅱ】
📵20 崩落
しおりを挟む僅かに熱を感じる。やはり、私の魔力を使ったマクロンさんの防御膜は、効果が落ちているらしい。
──気を強く持って!
──大丈夫、ボクたちが守るよ
精霊達の励ましで、なんとか上体を起こすけど、その瞬間、足元が崩れて、私は真っ暗なあなぐらに、流れる熔岩と共に落ちた。
精霊達が、愛唯の火炎魔法をキャンセルし、一瞬で火は消える。オレンジ色に燃えていた熔岩も精霊達の干渉で一気に冷えて真っ黒になる。
当然、足元が陥没して落ちた地下洞は、真っ暗になる。
あそこから落ちてきたのか⋯⋯
わりと高そうな場所に光が見えているけど、とても手は届きそうにない。
マクロンさんや聖騎士達の、私を呼ぶ声が、岩壁に反射しながら届くけれど、返事が出来なかった。
ここが、醜鬼の巣だったのだろう。
だんだん目が慣れてくると、周りの様子が酷く、見えなくても良かったかも、とも思えた。
──え? 見えないと、困るでしょ?
──人間って、眼から入る情報が大事なんでしょ?
──せっかく光を増幅して、更にモモカの五感を上げてるんだから、ちゃんと見なよ~(笑)
溶岩に塗り込められて焦げている、醜悪な臭いの醜鬼がたくさん絶命していた。
大きいのから小さいのまで。
そして、奥の方に、人間だったものが落ちている。たぶん、男性。四肢がちぎられ、四散している。
その周りに、女性が数人倒れていて、ひとりは嗚咽している。
ひとりは虚ろな眼で座り込んで、半裸で何かブツブツ言っている。地獄絵図の餓鬼のような姿で、全体的にガリガリなのにそのお腹はかなり大きかった。
キィキィと、醜鬼の鳴き声がするので、洞窟の奥にはまだ生き残りが居るのだろう。
マクロンさんがさっき山道でやってたやつ、出来ないかな?
──隠遁魔法? 出来るよ
──光のも風のも居るから簡単さ!
──光の屈折に干渉して見えなく出来るよ
──ニオイを嗅がれないように、モモカの周りの風の拡がりを抑えて、外気に触れるのを遮断するよ
精霊達が複合魔法を掛けてくれるそうなので、醜鬼に見つかりたくないので、丁重にお願いした。
次話
📵21 犠牲者の中に⋯⋯
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