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【萌々香 Ⅰ】
🚱30 これから
しおりを挟む愛唯の魔法の有効性が立証され、沸き立つこの国の幹部らしき人達。
そう言えば、議会の人達や神殿関係の人は会ったけど、王族の人にはまだ会ったことないな。
まあ、日本でも、天皇陛下に会ったことなんかないけど。
サバンナ(と勝手に呼んでいる草原)からの帰り道、筋骨逞しい猛獣みたいなゴツイ馬の牽く馬車の中で、興奮気味に話す愛唯。
「なんて言うか、今まで空想上の存在だった魔法や魔物が現実で、私の中にも魔力があって人の役に立つ。凄く気分が高揚するね!」
「愛唯、実際凄いよ。あんなの、あたしだったら怖くて最初から上手く出来ない」
美土里に煽てられてまんざらでもない愛唯。
続けて称賛する魔法士達に、更に気を良くする。
愛唯は、勇者だか聖女だかをやる気になっているみたい。
美土里も、何も持っていない身ひとつの状態で、この人達の世話になりながら神殿で聖女さまをするしか生きる術がないという。
今の所、なんの役にも立っていない私は、どうしたらいいのだろう。
今も傍にいるらしい精霊に訊けば、私には何が出来るのか判るかもしれない。
このミタムラの普段着のスポーツウェアを綺麗にしてくれた精霊は、複数の属性の子達のようだったし、火の子が憑いている愛唯や、大地の子が憑いている美土里とはちょっと違うみたい。
──専属の子が欲しかったら、ボクたち守護でも契約でもするよ?
うん、いつも色々と教えてくれて、服を乾かしてくれたり手伝ってくれてありがとう。
今夜、部屋に帰ったら詳しく聞いてみよう。
私達が召喚された女神の泉のある神殿までの道のりはやや窮屈に感じた。
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