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優しい大きな人達に、子供扱いされる私は中年女
モフリートの不満解消?
しおりを挟む起きても、もう言葉が通じる効果はなくなってた。今朝は、なんで言葉が通じてたんだろう?
「まだ、今日なのかな? 丸一日寝てたとか」
「ヴァニラレグィザ、アッシュファンヴィルニュス(以下略!)」
マーサさんが、にこやかに天蓋のカーテンを開いて纏め、掛布をめくってくれる。
なんて言ってるのか、さっきまで通じてただけにさっぱりさっぱり、サッパリ妖精が2~3匹で輪舞状態だよ。
ベッドから出ようとすると、さりげに透け感たっぷりのシュミーズと、レースがびらっびらのショーツなんだかアンダースコートなんだかブルマーなんだかな二枚しか身につけてなかった事に改めて気がついた。
いや、マジでこんな格好でルーシェさんと話してたのか……次会ったときどんな顔すれば……
「ヴァニラ? ウォクィグァヴェんディヒ♪」
ルーティーシアさんが、うきうきで、ドレス片手に近づいてくる。
それ、私が着るの? マジで?
マーサさんが、首を振ってルーテーシアさんを止め、メイド2人を伴って私をバスルームへ連れて行く。
うん、ヘンな夢見て大汗かいたし、お風呂に入りたいかな。
知らなかった……
廊下からお部屋に入ってすぐの右手にお風呂場の扉あるんだけど。ずっとそこから出入りしてたし。
──寝室からも行けるんだ。……そりゃそうか。湯上がりでタオル一枚やバスローブで寝室まで行ったり、クロークまで移動したりするより直接行ける方がいいよね。
今まで5日間はなんでリビング通ってたんだ?
浴室側から見たら、寝室への扉はでっかい姿見だった。
飾り額の彫刻された木の実を手にしたリスの尻尾を下げると、寝室への扉として開く仕掛けだった。
あれから、メイドさんは私が溺れない程度の湯量を覚えてくれて、自分で踏み台から湯船に入っても沈まなくなった。
乳白色の虹色に光るでっかい真珠のようなボールは今日も浮かんでた。
「これ、なんでいつも浮いてるの?
ここの人はバスボール(勝手に命名)と一緒にはいるのが普通なの?」
メイドさんの顔を見て訊ねるも、答えは返ってこない。いや、正しくは、私がなにかを訊ねてるのは伝わってるだろうが、答えてくれたとしてもお互いになんと言ってるのかは判らない状態なんだよね。
西瓜ほどある真珠のような、微妙に弾力あるビーチボールのような、その玉は、お風呂の温度計なのかな?
最初は本真珠みたいな色なんだけど、湯に浮かべてしばらくすると、オパールっぽい何色もの輝きを放ったり、薄い桃色になったりする。まるで生きてるみたい。
「ルーテーシアさんもいつもこれを使ってるの? 色はいつも違うの?」
綺麗なバスローブを持ってリビング側の扉から入ってきたルーテーシアさんに訊いてみる。
にっこり微笑んで近寄り、私の胸の前に浮かんだバスボールを撫でる。
なにか言ってるけど、単語も解らなかった。
「ウォロアー(以下略!)」
お花? ああ、色のことかな? 確かにキラキラが宝石みたいで綺麗だけど、色とりどりのお花が詰まってるみたいにも見えるよね。
こっちにはないだろうけど、テレビで見たミラーボールを、光を抑えて魔法で作ったらこんな感じかも。
腰の下まである長い髪を丁寧に洗って貰い、お風呂を終えて、湯船から出ると、肩や腿についた薔薇の花びらをとって、ルーテーシアさんの持ってきたするするの高級シルクっぽいバスローブを着て、姿見のリスの尻尾を下げて、寝室に移動する。
化粧水や美容液をすり込まれ、一度は拒否してみたけどルーテーシアさんに懇願され、仕方なくフリルとリボンが華美な白っぽい柿色のドレスを着る。
手を引かれ、部屋の外に出ると、ゆっくりと階段を降り、食堂を通り過ぎてサンルームに入る。
サンルームの中も通過して、テラスに出ると、お母様も居らした。
クロちゃんとルーシェさんの戦いの痕はなかった。
抉れた石の床も綺麗になってて、椅子やテーブルも綺麗。まさか、何日も寝てたんじゃないよね?
「マリヴァ、ヴァニラ。⭐︎⚪︎※*#***♪
ルイヴィーク!!」
お母様が口笛を吹くと、もさもさの犬がどこからともなく走ってきた。
あれ、何? でっかい! 狼!?
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