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誰の手を取ればいいの
33.執務室ですか? サンルームか白の小部屋ですか?
しおりを挟む「そうだね。また、神経の尖った部分を和らげて眠る気になれる香草茶を淹れてくれて、眠って起きるまで以前のように安眠枕になってくれたり、手を繋いで傍にいてくれるなら、眠れるかもしれないね。ティア?」
話をここで終わらせるために、システィアーナが、恥じらって逃げることを期待して言ってみただけの言葉だった。
まさか、システィアーナが真面目に悩んで真剣に受け止めるなんて、誰が思おうか。
「解りましたわ。まずはお茶を淹れて差し上げますので、場所を変えましょう。執務室でよろしいの? 以前のサンルームか白の小部屋ですか?」
一発逆転を狙って意を決した敗者のように、強い意志を見せて答えるシスティアーナ。
一瞬、理解が追いつかず、ファヴィアンと共にポカンとシスティアーナの顔を見ていたアレクサンドルであったが、
「どちらに?」
と再度訊ねられ、つい
「あ、ああ、それなら、白の小部屋に⋯⋯」
などと答えてしまった。
「解りましたわ。参りましょう」
と、アレクサンドルの手をひいて歩き出すシスティアーナ。
つられて歩き出し、不思議なものを見る目でシスティアーナを見ながらも後をついていくアレクサンドルと、追従するファヴィアン。
三人が階段の前を通り過ぎ、奥宮と王太子宮の建て増し部へ歩いて行くのを階段の踊り場で見ていたアナファリテは、首を傾げた。
「白の小部屋?」
だが、全部は聴こえなかったものの、話の流れから、具合のよくないアレクサンドルのために、システィアーナが何かをしに、どこかへ三人で連れ立っていくのだけは理解した。
でも、いったい何をするのかしら?
気にはなったが、第三者が介入するとよくない気がして、成り行きに任せる事にした。
事の次第によっては、面白いことになりそうだわ。
以前夫から、王太子が不調なのを癒したのはシスティアーナが何かしたらしいと言う話は聞いていたので、今度もどうにかするのだろうと納得し、残念だろうけどトーマストル殿下のお茶はまた今度ねと笑って、システィアーナを追うことはせずサロンに向かった。
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