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小さな嵐の吹くところ
47.埒もない考えにはまり込む
しおりを挟むおはようございます。
昨日更新分の46話が、幾つかの、予測変換のままに送り仮名や助詞の重複など書き手として恥ずかしい、見苦しい物をお見せして申し訳ありませんでした。
誤字報告機能がアルファポリスにもあったなら、大変なことになっていたでしょう😓
該当箇所の修正と、数ヵ所、少しでも読み易いようにと文面を手直ししました。
尚、内容に変更はありません。
❈❈❈❈❈❈❈
オルギュストと婚約前の、まだ小さくて愛くるしい頃のシスティアーナが、絵本に出て来るような『王子さま』に拘りがあったのはエルネストも覚えている。
同様に、白馬に乗ったマントを翻す騎士に憧れていたのも知っているし、次男である自分が、領地に益のある商人や文官ではなくあえて騎士を目指したのも、システィアーナが『きらきら王子さま』のような颯爽とした『白馬の騎士』がかっこよくて好きだと言っていたからだ。
だからこそ、ストンと落ちた。
アレクサンドルが髪を大切に手入れしてまで伸ばしているのは、例え自覚がなく無意識だったとしても、システィアーナの発言が影響しているのだと。
──自分もそうだから
どんなに時間が取れなくても、疲れていても眠くても、いつでも清潔感とサラサラで艶のある髪質を保つように努めていたのは、年頃の格好つけでも見学会で群がる令嬢達にモテたいからでもない。
ただただ、システィアーナの憧れの『王子さま』に近い容姿を維持したいがためだ。
自らも線引きをして他人に懐に踏み込ませないようにしているアレクサンドルにとっても、下心もなく屈託なく『大好き』と言われた事は、特別な出来事であったに違いない。
頰に朱がさすということは、多少なりとも思い当たり自覚したということ。
更に思い当たってしまったのが、今まで王太子でありながら、妃を迎えず婚約者も決めずに来たのは、システィアーナの存在が関係しているのではないのか?
エスタヴィオがアレクサンドルと同じ二十歳の時にはアレクサンドルは二歳、すぐにフレックも生まれる年だ。
誰もそんな事は言わないが、一度考えてしまったことはエルネストの中でどんどん膨らみ、正解のような気がしてならない。
だが、それを口にして確かめる勇気もない。
もし違っていたら失礼な考えをしてしまった事になるし、自覚していなかったのに意識させてしまうかもしれない。
どんどん怖い考えにはまり込んでしまう。
ユーヴェルフィオがアレクサンドルに、エルネストをシスティアーナの次の婚約者に推してくれと頼みに行った時、エスタヴィオの許可が降りないと言われたのは、すでにそう──システィアーナをアレクサンドルに与える事が決まっていたからなのではないのか?
考えれば考えるほどそうである気がして、眩暈と動悸が激しくなり、気分が悪くなってきた。
そんな親友エルネストの様子が心配であるし、あまり見ない動揺している兄と揶揄いたい弟の間で、どちらの気持ちも解るだけに発言を控えざるを得ないフレキシヴァルト。
また、兄の変化に微笑ましく思いつつも、エルネストの苦しそうな様子に胸が痛むユーフェミアは、この場を逃げ出す事を選択した。
「殿方の難しい政治の話を聴いていても面白くないでしょう? どうでしょう、マリアンナ殿下。外の薔薇園の四阿で女同士、仕切り直しをしませんか?」
渋々ながらもマリアンナが了承すると、ほっとため息を漏らす。
ユーフェミアの意図を正しく汲み取ったフレックが助け船を出す。
「女性ばかりで外にやるのはいけないね──アスヴェル、エルネスト。ここは他の騎士も居るから構わないよ、レディ達について行きなさい」
ついでに、壁際に控えていた侍女やメイド達に命じて、四阿に茶席を用意させる。
内心、兄達やユーンフェイルの会話が気になるが、後ろ髪を引かれつつもユーフェミアは、マリアンナとアルメルティア、システィアーナとアナファリテをも伴って、サンルームから庭園へと出た。
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