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小さな嵐の吹くところ
33.姉妹喧嘩?
しおりを挟むシーファークから戻って、ユーフェミアとシスティアーナは、アルメルティアに頭が上がらなかった。
「二人とも酷いわ!! どうしてすぐに送り返してくれなかったの!? 従姉さまがどこにもいないって報告を受けた時、私がどれだけ慌てたと思うの」
そういう事もあったかもしれない。
「素っ気ない『ついて来てる、我が儘娘は最後まで同行するらしい』って書簡が届くまでの数日、私がどんなに苦しかったか、理解できる? お父さまに、従姉姫の世話くらい出来るね?って、初めて大きなお仕事をいただいたのに、全うするどころか、相手が行方不明になるなんて、私の人生終わったと思ったのよ!!」
マリアンナの性格と行動力を考えれば幾分大袈裟な面もあるが、国王に任された賓客の世話を、やり遂げるどころか対象が姿を消したのだ。それは不安だろうし、パニックにもなるだろう。
自分に不手際があって不興を買ったのか?
外部からの何らかの干渉があって、自ら出て行ったのか、はたまた掠われたり傷つけられたりなにか事件に巻き込まれたのではないか?
たった14歳の少女が一人で抱えるには重い事案で、不安に押しつぶされそうになったのは容易に想像できる。
「悪かったわよ。でもね? アレクお兄さまが目的で勝手に城出したのよ? 帰れって言ったところで帰る訳ないでしょう?」
「城出って、町民の子供が親に反抗して家出するのと訳が違うのよ!? 隣国の姫が、王太子息女が姿を消したのよ? 騒動になると思わなかったの?
それに何? こっちはピリピリなのに、そっちは観光地で美味しいもの食べて、夜景を観て、豪華客船で船上パーティ?」
メルティの言い分もわからないでもないので、どちらの味方もできず、黙って聞いているしかできないシスティアーナ。
「私があなたの歳には、もっと公務で色々忙しくしていたわよ。一度押しかけ賓客が自主的に失踪したくらい⋯⋯」
「お姉さま?」
急速に目がすわって声が低くなっていくメルティ。
あ、これはだめだな、とシスティアーナが思った瞬間には、大粒の涙が零れ、遂に大泣きしてしまった。
「だから、悪かったってば」
メルティを慰め抱き寄せるユーフェミア。
システィアーナは、そっと部屋を辞した。
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