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魔族の小瓶 ── 私の手にはおえそうにありません!?

にじゅいち。『カイル様は、お綺麗なお顔でニッコリ、ここに泊まると申された』──なんでかな? 私ひとりでも大丈夫だよ?

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     🏘

 カイル様は、お綺麗なお顔でニッコリ、ここに泊まると申された。

 ──なんで?

 いや、心配、だとか言ってたかな。

「いや、あの、私ひとりで大丈夫ですよ? チルちゃんもチットちゃんも居て、頼りになりますし。もし、また襲われたら、カイルロッド様までお怪我をされたり⋯⋯」
「だから、泊まるんだよ? か弱い女性ひとり、シーズンオフで誰もいないコテージ村で一晩過ごすなんて、いろんな輩に襲ってくれと言ってるようなものじゃないかな」
「一応、冒険者ですし、そんな事起きたら自分でなんとかしますよ。サラピーちゃんもいますし」
「まだ誰か居るの?」
「とっても可愛いんですよ」

 ポシェットからサラピーちゃんを取り出す。前より更に大っきくなってて、大型のイグアナみたいになってた。
 寝てるので、そのまま両手で後ろから抱っこして、カイル様にお見せする。

「これも、小型のドラゴン種に見えるけど⋯⋯?」
「サラマンダーのサラピーちゃんです」
「サラマン⋯⋯そのままのネーミングなんだね。もしかして、爬虫類が好きなの?」
「可愛いですよね。ヤモリちゃんはお家を守ってくれるし、イモリちゃんも井戸を守ってくれるし、蛙ちゃんも畑や用水路で大活躍です。亀はあのお目々とお手々が可愛くて、慣れれば毎朝手を振ってくれるんですよ? トカゲやカナヘビちゃんも⋯⋯」
「うん、よくわかった。コハクちゃんが、トカゲや亀をとても愛してることが」
「はい。ご理解いただきありがとうございます」
「なぜそこでお礼?」
「大抵の人は、爬虫類が可愛いというと、気味悪がられるので」
「それはよくないね。ドラゴンもトカゲも、亀もそれぞれに良さはある」

 カイル様とは、可愛いモノのお話ができそう⋯⋯

「それはともかく。妖精くん達が如何に優秀でも、人でないゆえに解らない事もあるかもしれない。ひとりは危険だよ。ついさっき、襲われたばかりだろう? 心配しなくても、ちゃんと紳士で居るからね」
「そう言う心配はしてませんが⋯⋯」
「わたしが怪我をするとか、申し訳ないとか、遠慮はなしで行こうよ。事件解決までの仲間だろう?」

 はて。いつから仲間に?
 でも、カイル様がいらしたから、魔道マギクス研究協会ラボラトリギルドでは話が出来たところもあるし、領内で活動する目付け的についてくる事が条件なんだから、仲間でいいのかな?

「そうでしたね⋯⋯ ギルドでパーティを組んだ訳ではありませんが、この件に関しては、チームでした」
「そうそう」

 キャルの預かり物のベッドをポシェットから取り出し、手早くベッドメイキングしていく。カーバンクル達が楽しげにベッドの上を走り廻る。可愛い。

「⋯⋯見かけによらず、大胆だね?」
「大きくていいベッドでしょう? エレガンズヴェル準男爵商会の扱う逸品ですよ。寝心地いいんです」
「確かに良さそうだ」
「私、何か夕飯の用意をしますから、先にバスルームお使いください」
「⋯⋯天然? ま、いいか。歩き回ったし、そうさせてもらおうかな」

 カイル様がバスルームに入ったのを横目に、せっかくキッチンがあるのだからと、ポシェットから保存食を出して来て、手早く調理した。







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