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今度こそ、ソロデビューです!?
にじゅうひち。『チッチッチッと鳴きながら、子供の方へ手を差し伸べるお母さん(仮)カーバンクル』──子供に無視されショックで固まってしまった
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チッチッチッと鳴きながら、子供の方へ手を差し伸べるお母さん(仮)カーバンクル。
だが、私の手の上でソワソワしていたおチビちゃん達は、知らない人を見る目でじーっと見つめ、小首をかしげたあと、2匹とも私の指をしゃぶりだした。
ショックのあまり?固まってしまったお母さん(仮)カーバンクル。
「どうした? 子供を迎えに来たんじゃないのか? 凄い怒ってたよな?」
「どこからか知らないが、空間魔法で転移してきて、いきなり雷撃食らわすほど大事な子供⋯⋯なんだよな?」
よろめくお母さん(仮)のお腹の被毛から、わらわらと4匹の赤ちゃんカーバンクルも出てくる。
「まだいるのか!? 幻と言われるカーバンクルが⋯⋯」
「元々、このお母さんのそばには4匹の赤ちゃんが居たんです」
「計6匹居たってことか?」
「みたいですね。見た目齧歯目だし、子だくさんなんですかね?」
子供を盗られたと思ったのか、お母さん(仮)カーバンクルは、私の足をゲシゲシ蹴っ飛ばす。
4匹の子供達もわらわらとよって来て、私の足をよじ登り始めた。
「え、わぁ、可愛い♡」
危険水域ぎりぎりオーバーくらいに可愛すぎる。お母さんに返したくなくなっちゃうよ。
「いいなぁ、俺にも登ってこねぇかな?」
ギルド職員の中にも撃ち抜かれた人がちらほら。
たちまち私の手に6匹のちっちゃなカーバンクルがもきゅもきゅとひしめき合っていた。
そして、みんな順番に私の指を探り当て、ちゅぱちゅぱしゃぶり始める。
「お腹空いたんなら、お母さんにお乳貰うとか? 虫やキノコ食べさせてあげてもいいけど、すぐには用意出来ないよ」
〈コハ、鉱石精霊族なんだから、精霊としては魔力や霊気を舐めるんダヨ。幻獣の幼体としてハ、虫や小動物、木の実などのタンパク質も食べるんダケド、それだけじゃ成長できないからネ〉
〈そんだけ小さけれバ、コハ衰弱するホド・取らナイだろーカラ、上げレバ?〉
「う、うん。どうするの?」
〈我に魔力を分け与えるのと基本的には変わらん。与える事を許可するだけだ。わからなければ、元気になれとでも言ってやればよかろう〉
ケルピーちゃんの言うとおりに、指先に意識を向けて、「元気になってね」と言えば、右から順に、全身が光り、炎を尻尾に灯し、しっとり毛が濡れ、毛がサワサワと揺れ靡き、毛色が濃く硬質化し、黒い霧を纏って、ちゅくちゅくと熱心に指を吸い始めた。
ショックで固まってたお母さん(仮)カーバンクルは、その様子をじーっと見つめる。
恨まれてないかな、雷撃してこないかな⋯⋯
でも、手の内に子供たちがいるのだから、仕返ししたくても出来なかったのだろう。ただ、じっと見ていた。
子供たちは満腹したのか、順番に手の上でころころと転がりだし、眠ってしまった。
「寝ちゃった⋯⋯」
「腹が膨れたんだろう」
可愛いけど、お母さんに返してあげなきゃ。
そう思って、お母さんの前に差し出すと、お母さんが受け取る前に、全員ポンポンと音を立てて、赤い宝石だけになってしまう。残ったのは、6つの赤い宝石だけだった。
チッチッチッと鳴きながら、子供の方へ手を差し伸べるお母さん(仮)カーバンクル。
だが、私の手の上でソワソワしていたおチビちゃん達は、知らない人を見る目でじーっと見つめ、小首をかしげたあと、2匹とも私の指をしゃぶりだした。
ショックのあまり?固まってしまったお母さん(仮)カーバンクル。
「どうした? 子供を迎えに来たんじゃないのか? 凄い怒ってたよな?」
「どこからか知らないが、空間魔法で転移してきて、いきなり雷撃食らわすほど大事な子供⋯⋯なんだよな?」
よろめくお母さん(仮)のお腹の被毛から、わらわらと4匹の赤ちゃんカーバンクルも出てくる。
「まだいるのか!? 幻と言われるカーバンクルが⋯⋯」
「元々、このお母さんのそばには4匹の赤ちゃんが居たんです」
「計6匹居たってことか?」
「みたいですね。見た目齧歯目だし、子だくさんなんですかね?」
子供を盗られたと思ったのか、お母さん(仮)カーバンクルは、私の足をゲシゲシ蹴っ飛ばす。
4匹の子供達もわらわらとよって来て、私の足をよじ登り始めた。
「え、わぁ、可愛い♡」
危険水域ぎりぎりオーバーくらいに可愛すぎる。お母さんに返したくなくなっちゃうよ。
「いいなぁ、俺にも登ってこねぇかな?」
ギルド職員の中にも撃ち抜かれた人がちらほら。
たちまち私の手に6匹のちっちゃなカーバンクルがもきゅもきゅとひしめき合っていた。
そして、みんな順番に私の指を探り当て、ちゅぱちゅぱしゃぶり始める。
「お腹空いたんなら、お母さんにお乳貰うとか? 虫やキノコ食べさせてあげてもいいけど、すぐには用意出来ないよ」
〈コハ、鉱石精霊族なんだから、精霊としては魔力や霊気を舐めるんダヨ。幻獣の幼体としてハ、虫や小動物、木の実などのタンパク質も食べるんダケド、それだけじゃ成長できないからネ〉
〈そんだけ小さけれバ、コハ衰弱するホド・取らナイだろーカラ、上げレバ?〉
「う、うん。どうするの?」
〈我に魔力を分け与えるのと基本的には変わらん。与える事を許可するだけだ。わからなければ、元気になれとでも言ってやればよかろう〉
ケルピーちゃんの言うとおりに、指先に意識を向けて、「元気になってね」と言えば、右から順に、全身が光り、炎を尻尾に灯し、しっとり毛が濡れ、毛がサワサワと揺れ靡き、毛色が濃く硬質化し、黒い霧を纏って、ちゅくちゅくと熱心に指を吸い始めた。
ショックで固まってたお母さん(仮)カーバンクルは、その様子をじーっと見つめる。
恨まれてないかな、雷撃してこないかな⋯⋯
でも、手の内に子供たちがいるのだから、仕返ししたくても出来なかったのだろう。ただ、じっと見ていた。
子供たちは満腹したのか、順番に手の上でころころと転がりだし、眠ってしまった。
「寝ちゃった⋯⋯」
「腹が膨れたんだろう」
可愛いけど、お母さんに返してあげなきゃ。
そう思って、お母さんの前に差し出すと、お母さんが受け取る前に、全員ポンポンと音を立てて、赤い宝石だけになってしまう。残ったのは、6つの赤い宝石だけだった。
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