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今度こそ、ソロデビューです!?

じゅうろく。『サラピーちゃんが元気になるために、私の魔力だけではなく、魔力を帯びた炎を食べさせてあげたらいいんじゃないか』──ちょっと寄り道

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     =ï=

 サラピーちゃんが元気になるために、私の魔力だけではなく、魔力を帯びた炎を食べさせてあげたらいいんじゃないかと思ってて、ロックストーヴ山にいた時から、帰ったらここに来て、火焰蠅ファイヤフライをお腹いっぱい食べさせてあげようって思ってたんだよね。
 なぜかトンボばっかりだったけど。

「君!!」

 いよいよ宵風の森に行こうと思って立ち去りかけたら呼び止められて、振り返ると、成人前後の男の子が二人立っていた。

「君、今、どうやって火焰ファイアトンボをドラゴンフライ 集めたんだ?」
「呼び水みたいな、純粋な火の霊気を広げたんだよ。それを食べに来てたの」
「もっ、もう一度やってくれないか? 火焔ファイアトンボのドラゴンフライ サンプルを集めてるんだが、なかなか捕まえられなくて⋯⋯」
「サラピーちゃん大丈夫?」
〈イイガ、アトデモット喰ワセテクレルカ?〉
「絶滅させなきゃ大丈夫じゃない?」

 サラピーちゃんと交渉が纏まって、再度ポシェットから出す。

「え? トカゲ? イグアナ?」

 ロックストーヴ山で溶岩の炎や、火炎ゴーレムの吹き出す火焔をたくさん食べて、ちょっぴり肥ったサラピーちゃんは、片手で摑むのがいっぱいいっぱいな大きさにまで成長していた。
 男の子達が、サラピーちゃんをキラキラの目で見る。男の子も、トカゲとか爬虫類大好きだよね。

 カパッ

 この、サラピーちゃんがお口を開ける音好きだなぁ。可愛い♡

 ゴオゥと焰を吐き出すと、その火の精霊であるサラピーちゃんの操る綺麗な焰に惹かれた燃え盛るトンボが集まってきた。

 男の子達は金属製の細かい網を振り回し、翅を傷めないように注意して捕まえていく。

「ねえ、前はこの辺に、火が立ち上る沼があって、火焰蠅がファイアフライ 群生してたと思うんだけど⋯⋯ 知ってる?」
「それなら、もう少し宵風の森寄りにある火吹き沼だな。あの蠅は、たまに町の方に来て、作物や藁葺き屋根を燃やしたりするから困ってて。元々このトンボもそこに暮らしていたのに、トンボやヤゴに幼虫を寄生させるから本当に困ってるんだよ」

 その話を聞いて、閃いた。

「そこに連れて行ってくれる?」






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