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今度こそ、ソロデビューです!?
じゅうご。『城門を出る時、襟につけた市民憲章とギルドカードを見せる』──プラチナカードを誇らしげに見せてみたりして、冒険に出かけます
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🏞️
城門を出る時、襟につけた市民憲章とギルドカードを見せる。
いつものお兄さんだったけど、プラチナカードを見て、私の顔と頭の上のチルちゃんを眺め、肩の上のチットちゃんを見てため息をつき、「どうぞ」と通してくれる。
「フィルタさん達と冒険してレベル上げして、その妖精と契約したからランクも上がったのかい?」
「はい。表向きのランクは上がっても、中身はそんなに変わってないんですけどね」
「ははは、ランクが上がったすぐはそんなものさ。その内、名実ともに相応しくなっていくんだよ」
お兄さんのついたため息は、否定的なものではなかったみたいで、私のランクが上がったのは、この街でも有名なフィルタさん達と馬車で同行したのを確認しているので、その時の冒険で、私もつられてレベルが上がったからだと理解したからのようだった。
前はペット用テイムスライムだと思ってたのに、今回はちゃんと妖精だと認識してくれてるなと思ったら、
「ここ、ほら、カードの裏の但し書きに、レアスキルで妖精を二体連れ歩く事で、ランク補正をするとあるだろう?」
と言って、私のギルドカードをめくって、指でなでて見せてくれる。
門番のスキルで、普段非表示になっている情報でも、身元確認をするために、予め確認用のステータスを表示させるものらしい。だから、私も見たのは初めてである。
門番の衛士、ギルドや公共施設の人などがカードを確認するときに、裏書きを撫でるのはそう言う意味だったんだ。ひとつ知識が増えた。
「ランクが上がったすぐは、無茶をして大怪我をするヤツが多いけど、その様子だと心配はないね。気をつけて言っておいで」
にこやかに見送られて、宵風の森に向かって、街道を進む。
途中で草原へ道をそれる。寄る所があるからだ。
まわりの草丈が高くなってきて、進みにくくなる頃、急に目の前が開ける。広い湿地帯である。
赤や黄色のトンボがたくさん飛んでいる。
ポシェットから〈コラッ マタ摑ムノカ!〉と抗議するサラピーちゃんを取り出して、摑んだまま、後頭部から首の後ろを撫でて押す。
カパッ と口を開け、火を吹くサラピーちゃん。
その火焰に惹かれて、赤い燃えるトンボがたくさん寄ってきた。燃えるような、ではなく、実際に燃えている。
「ほら、サラピーちゃん、いっぱい、食べていいよ?」
〈イイノカ!? アレ全部喰ラウゾ?〉
言うが早いか、息を吸い込むように燃え盛るトンボを丸呑みしていく。
逃げ惑うトンボも、サラピーチャンの吸引力に負けて、どんどん食べられていく。
「お腹いっぱいになった?」
〈マアマアダナ。悪クナイ焰ダッタゾ〉
けふっ
ゲップをしながら満足そうなサラピーちゃんを再びポシェットの中に戻した。
〈出番ハコレダケカ~!!〉
早く元気になってね、サラピーちゃん。
城門を出る時、襟につけた市民憲章とギルドカードを見せる。
いつものお兄さんだったけど、プラチナカードを見て、私の顔と頭の上のチルちゃんを眺め、肩の上のチットちゃんを見てため息をつき、「どうぞ」と通してくれる。
「フィルタさん達と冒険してレベル上げして、その妖精と契約したからランクも上がったのかい?」
「はい。表向きのランクは上がっても、中身はそんなに変わってないんですけどね」
「ははは、ランクが上がったすぐはそんなものさ。その内、名実ともに相応しくなっていくんだよ」
お兄さんのついたため息は、否定的なものではなかったみたいで、私のランクが上がったのは、この街でも有名なフィルタさん達と馬車で同行したのを確認しているので、その時の冒険で、私もつられてレベルが上がったからだと理解したからのようだった。
前はペット用テイムスライムだと思ってたのに、今回はちゃんと妖精だと認識してくれてるなと思ったら、
「ここ、ほら、カードの裏の但し書きに、レアスキルで妖精を二体連れ歩く事で、ランク補正をするとあるだろう?」
と言って、私のギルドカードをめくって、指でなでて見せてくれる。
門番のスキルで、普段非表示になっている情報でも、身元確認をするために、予め確認用のステータスを表示させるものらしい。だから、私も見たのは初めてである。
門番の衛士、ギルドや公共施設の人などがカードを確認するときに、裏書きを撫でるのはそう言う意味だったんだ。ひとつ知識が増えた。
「ランクが上がったすぐは、無茶をして大怪我をするヤツが多いけど、その様子だと心配はないね。気をつけて言っておいで」
にこやかに見送られて、宵風の森に向かって、街道を進む。
途中で草原へ道をそれる。寄る所があるからだ。
まわりの草丈が高くなってきて、進みにくくなる頃、急に目の前が開ける。広い湿地帯である。
赤や黄色のトンボがたくさん飛んでいる。
ポシェットから〈コラッ マタ摑ムノカ!〉と抗議するサラピーちゃんを取り出して、摑んだまま、後頭部から首の後ろを撫でて押す。
カパッ と口を開け、火を吹くサラピーちゃん。
その火焰に惹かれて、赤い燃えるトンボがたくさん寄ってきた。燃えるような、ではなく、実際に燃えている。
「ほら、サラピーちゃん、いっぱい、食べていいよ?」
〈イイノカ!? アレ全部喰ラウゾ?〉
言うが早いか、息を吸い込むように燃え盛るトンボを丸呑みしていく。
逃げ惑うトンボも、サラピーチャンの吸引力に負けて、どんどん食べられていく。
「お腹いっぱいになった?」
〈マアマアダナ。悪クナイ焰ダッタゾ〉
けふっ
ゲップをしながら満足そうなサラピーちゃんを再びポシェットの中に戻した。
〈出番ハコレダケカ~!!〉
早く元気になってね、サラピーちゃん。
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