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冥くて昏い地の底に眠るモノ

じゅうさん。『お祖母ちゃんのお手製魔法の杖の効果を、ラジエさんでも使えたのには驚きと希望があったけど』──使えただけではだめでした

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     ✡️

 お祖母ちゃんのお手製マジカルステッキの効果を、ラジエさんでも使えたのには、皆、驚きとこの先の展開への希望があったけど、ただ、後始末が良くなかった。
 まあ、たまたま、この異常な場が悪かったとしか言いようがない。

 動く死体リビングデッドを『悪霊封印』する送り先を、冥府へ帰れと言ったら、残念、この場が擬似的な冥界となっていたので、送還したつもりが召喚していたという、全くの無駄な行為に終わってしまった。

「い、いや、こんな事になるとは思わねぇだろ?」
「本当の冥府に送るより、この場が近いですからねぇ」
「でも、これはどうしょうもないな。冥府に送り返そうとしてもここに残るんじゃ、体力と魔力の無駄遣いだけで何も変わらない」

 マジカルステッキを受け取り、イチゴポーチに戻す。

 ターレンさんが『一輪の安らぎの花』を振ると、今度は聖属性の魔素が煌めきながら、猛スピードで匍匐前進してくる動く死体リビングデッドを包み込み、煌めきが薄くなっていくと共に死体も動かなくなり、死肉は削げ落ち枯れて粉になって積もり、黃ぃ茶けた骨はボロボロになって砕けた。
 その残骸から、蛍のようなほの光る塊が浮かび上がり、しゅうっと炭酸が抜けるような音がして消えた。

「おお! ターレンやったな!! 浄化できたぞ!? 状態異常『呪いカース』と『不死』アンデッド が消えて『妄執』 オブセジョン が晴れた。あれは正しく古い骨となったぞ」
 ゴーグルで属性を見ながら鑑定をするギレウォッタさん。

「単体づつでも、頑張ります」
 やる気が出たらしい。お祖母ちゃんも喜んでるよ、きっと。ノリで作ったアイテムが役に立ったって。

 だって、鑑定して見たアイテム解説、最初冗談なのかと思ってたもん。きっと、効果は真面目に考えたんだろうけど、形やネーミングはノリで、お遊び感覚だったに違いない。

 瀕死の重傷を追ったお兄ちゃんを『完全再生』 パーフェクトリカバリー しちゃう力を持ってたり、妖精さんに慕われて最期のお迎えをしてもらったり、魔力のない私でも使える魔道具をいっぱい作って、何でも入るポーチを作って持たせてくれたお祖母ちゃん。
 昔はたくさん冒険をしてたり、お祖父ちゃんと出会って冒険を捨て、お母さんを育てて、孫に昔話をきかせてくれたり、羊も面倒みたり、普通のお婆さんのフリも完璧なお祖母ちゃん。

 でも、魔道具マギクツールのネーミングセンスがノリでつけるとか、人物像がブレてるよ。







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