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廃鉱山の中は、アンデッドだらけ?
にじゅさん。『風を切るような音と共に衝撃波が飛んで行き、集団でこちらへ向かっていたグーラーラットが吹き飛ぶ』──フィルタさんの剣撃が凄いです
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🐭
風を切るような音と共に、衝撃波が飛んで行き、集団でこちらへ向かっていた屍喰鬼鼠が吹き飛ぶ。四肢や胴体が千切れ飛んでいて、蠢くもののこちらへ向かいづらくなっているようだった。
フィルタさんの剣圧が、衝撃波となって不死者たちを打ち砕いていく。
「フィルタ、それ、いいな。どうやるんだ?」
「素早く剣を振れ」
「言うのは簡単だけど、軍用ナイフ程度で、そんな威力出ないし」
「武具の大きさは関係ない」
触れずに倒さなくてはならない敵に囲まれ、魔術がうまく効かない中、フィルタさんの魔剣はかなり有効ではあったけれど、決定打とはなり得ない。
なぜなら、敵は不死者。その身を砕こうとも、動かなくなる訳でもない。生命を宿して生きているものではないからだ。
腕だけでも這うようにして寄ってくるのだ。
また、死霊などの霊的な肉体のない魔物には、物理攻撃は意味がない。その代わり、破損していくだけでダメージを受けていない動く死体や屍喰鬼と違い、剣圧の衝撃波で僅かながらダメージを受けている。伝播する振動の中に、フィルタさんの霊気や闘気がこもり、それが有効ダメージとなっているのだろう。
動く死体や屍喰鬼を寄せ付けず細切れにしていき、死霊などの物質の形のないものにダメージを与えられるのは凄いけれど、どんどん細切れになっていく死体の方は、むしろ却って攻撃しにくくなっていく。震える指一本が襲ってくるのだから。
単純な個数で言えば、襲ってくるかけらの数は増えていく。
〈仮主よ。人間は、魔力を乗せずに、純粋な火の霊気だけで攻撃はできぬのか?〉
例えば火炎瓶なんかを使えば、あれらを燃やすことは出来るだろうけど、延焼を抑えられないかもしれないし、この広場の熱気が上がり私達が蒸し焼きになったり、燃え続けるというのとは酸欠や炭素中毒で呼吸困難になる可能性もある。
かと言って、魔術や火の精霊を使えば、瘴気や冥気の影響で危険な事態を招く可能性もある。
そこで、魔力を乗せずに、純粋な火の霊気だけを扱う方法があれば、物理的に燃える事なく、魔物を燃やせるのではないかと言うのだ。
「生まれつき火や雷を放てるパイロキネシストは、滅多にいるものじゃないわ。魔族ならいざ知らず」
アネッタさんが、再び火の玉を投げながら答える。
酸素不足を心配してるのか、延焼を避けようとしているのか、威力は小さめだ。
「ん? 生まれつき?」
魔術や精霊術は駄目でも、魔術ではなく、純粋な火の霊気だけを使えばいい⋯⋯の?
私は、イチゴのポーチに手を突っ込んだ。
風を切るような音と共に、衝撃波が飛んで行き、集団でこちらへ向かっていた屍喰鬼鼠が吹き飛ぶ。四肢や胴体が千切れ飛んでいて、蠢くもののこちらへ向かいづらくなっているようだった。
フィルタさんの剣圧が、衝撃波となって不死者たちを打ち砕いていく。
「フィルタ、それ、いいな。どうやるんだ?」
「素早く剣を振れ」
「言うのは簡単だけど、軍用ナイフ程度で、そんな威力出ないし」
「武具の大きさは関係ない」
触れずに倒さなくてはならない敵に囲まれ、魔術がうまく効かない中、フィルタさんの魔剣はかなり有効ではあったけれど、決定打とはなり得ない。
なぜなら、敵は不死者。その身を砕こうとも、動かなくなる訳でもない。生命を宿して生きているものではないからだ。
腕だけでも這うようにして寄ってくるのだ。
また、死霊などの霊的な肉体のない魔物には、物理攻撃は意味がない。その代わり、破損していくだけでダメージを受けていない動く死体や屍喰鬼と違い、剣圧の衝撃波で僅かながらダメージを受けている。伝播する振動の中に、フィルタさんの霊気や闘気がこもり、それが有効ダメージとなっているのだろう。
動く死体や屍喰鬼を寄せ付けず細切れにしていき、死霊などの物質の形のないものにダメージを与えられるのは凄いけれど、どんどん細切れになっていく死体の方は、むしろ却って攻撃しにくくなっていく。震える指一本が襲ってくるのだから。
単純な個数で言えば、襲ってくるかけらの数は増えていく。
〈仮主よ。人間は、魔力を乗せずに、純粋な火の霊気だけで攻撃はできぬのか?〉
例えば火炎瓶なんかを使えば、あれらを燃やすことは出来るだろうけど、延焼を抑えられないかもしれないし、この広場の熱気が上がり私達が蒸し焼きになったり、燃え続けるというのとは酸欠や炭素中毒で呼吸困難になる可能性もある。
かと言って、魔術や火の精霊を使えば、瘴気や冥気の影響で危険な事態を招く可能性もある。
そこで、魔力を乗せずに、純粋な火の霊気だけを扱う方法があれば、物理的に燃える事なく、魔物を燃やせるのではないかと言うのだ。
「生まれつき火や雷を放てるパイロキネシストは、滅多にいるものじゃないわ。魔族ならいざ知らず」
アネッタさんが、再び火の玉を投げながら答える。
酸素不足を心配してるのか、延焼を避けようとしているのか、威力は小さめだ。
「ん? 生まれつき?」
魔術や精霊術は駄目でも、魔術ではなく、純粋な火の霊気だけを使えばいい⋯⋯の?
私は、イチゴのポーチに手を突っ込んだ。
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