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コハク、遊び人Lv1 初めての大きな依頼に緊張シマス

じゅうく。『大体の話はキールさんから聞いたものと変わらなかった』──瘴気や邪気があるところに妖精族は行けません。私達冒険者に任せて!

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      👻

 ──大体の話はキールさんから聞いたものと変わらなかった。

 異変に気づいたのは半年ほど前。

 その頃は、なんだか混乱した精霊がよく郷に飛び込んでくるな、くらいの気持ちだったそう。

 妖精郷からはぐれ、物質の肉体マターボディを持ったがために、定期的に食事をしなければならず、数人で当番を決めて、郷の外の森へ狩りに行くのだが。
 この頃、やたら暴走する獣や精霊に出くわすようになり、魔力は高いものの肉体はこの物質界に帰依するための入れ物に過ぎず、強靭には出来ていないので、命に関わる大怪我をする者も出て来た。

 流石に何かがおかしいと調査を始めるが、暴走する森の住人は、冥府の瘴気に侵されて正気を失っている、としかわからない。

 先日も、スプリガンクラスの大きくて強い妖精が郷で大暴れし、強い妖気にあてられて集まってきた邪妖精も混ざり、郷の狩人達では太刀打ち出来なかった。

 唯一鍛えれば強くなる人間の肉体を持つキールさんが頑張ったけれど、何人かは森の土や風になってしまったという。

 ──それであの大怪我なんだ

 半妖精である事に悩み、里を抜け出して人間として冒険者ハンターをしていた頃憧れたのが、王都セントラルの衛星都市クリステルパルスシティの、最も勇者に近い漢として名を馳せていた我らがギルマスなんだとか。

 ──んん? ギルマスが引退して何年? キールさんっておいくつ?

「アハハ…… 妖精の血を引く者の年齢なんかあてにならないよ」

 とにかく、冒険者ハンターとして身体を鍛え、半妖精の身を嘆くのをやめられた頃に郷に戻り、今度は人の鍛えた肉体を使って、郷を守る事にしたキールさんは、もう、半端者ではなくなっていた。

 郷の存亡を憂いたみんなは、壊滅の危機に瀕した場合の事も心配して、ルーナ姫さまを一旦逃がす事に決め、その護衛に郷で一番戦闘力のあるキールさんが選ばれ、身を呈して護りながらギルドにやって来た──

〈冥府と繋がった場所があるのか、瘴気を吐き出す何か穢れたものがあるのか、それさえ調べる事は適わなかったのだ〉

 肉体を持ったとはいえ、地精マナ光精ルク魔力マギクスに依存する存在であることに変わりはなく、強い瘴気に近寄れば簡単に汚染されてしまうのだ。仕方ないよね。

「妖精族である以上、仕方の無いこともあります。同じ世界に住まう隣人として、お手伝いさせていただきますよ」

 ──リーダーはフィルタさんなんだから、参謀のギレウォッタさんとのどちらかが交渉するべきだと思うのは私だけ?

 チルちゃんの言語疏通技能スキル妖精王の杖シルフィールスタッフを持ってるせいなのか、波濤はとう一族の人達はみんな、私に向けて話しかけてくるのだ。
 納得行かないけど、事実確認や協力に関する交渉役は私になる。

「まあまあ、これも経験と思って。ね?」

 こんだけ頑張ったら、冒険者ハンター職業クラス、レベルアップしないかな……

 今日は郷の中の様子を確認して、森の異変については明日から調査に入ることになった──








 
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