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序章
9、魔導騎士団長様でした
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「……よし、入団を許可する」
「だよなっ」
ポツリとラジットが笑顔でそう呟くと、楽しそうにルイスも笑みを浮かべた。
「ふへっ!?」
「そういやまだ言ってなかったな ラジットは、さっき言ってた魔導騎士団の団長なんだ」
セリナの動きが一瞬止まったかと思うと、パカッと口を開けて驚きの声をあげる。
「えぇえええ!? やっ、確かにこのマントといい、専用列車といい、関係者だとは思ったけど……何でここにっ!? えっ? ってか、入団てそっそんな簡単でいいの!?」
「ラジットがいいって言ってるし……?」
傍らにいるルイスに視線を向けると、ルイスとラジットは目を合わせ揃って何がいけないのだと首をかしげて見せた。その様子はちょっとだけ可愛いものがあるが、話の内容とは別である。
セレナは身を乗り出して、ラジットに説明を求めた。
「魔導騎士団ってエリート集団でしょ? 入団テストとかあるんじゃないんですか!?」
「うむ…一応入団テストがあるが、セレナ嬢の星じゅ……いや、妖精がいればね……それに、ルイスの太鼓判があるし大丈夫だろ……まぁそうだな…う~ん…念のためちょっと確認に行ってくるかな」
「あん? 男が一度言ったこと曲げんのか?」
そう言われればと、すぐに意見をたがえたラジットに、ルイスが今度は食ってかかる。そんなルイスを軽くいなしたラジットは、面倒くさそうに頭を搔いた。
「なに、バーナードと奥方…元生徒達とちょっとお話して来るだけだよ」
「へ? そんな簡単に会えるんですか!?」
ラジットの言葉に、今度はセレナが喰いついた。先ほどの説明を聞いていればもう何年も母親に会っていないのだ。少しくらい喰いついてもおかしくは無いだろう。
――それって、あたしも母様に会いに行けるって事!?
「一応魔導騎士団長だからな……セレナ嬢、今は我慢しなさい」
――今はねっ
――望みがあるだけで嬉しいよ
――フフッ 楽しみっ
何か思い当ったセレナは、心配そうに眉を下げラジットを見上げた。
「あの……、お父様たちに会いに行っては、贔屓とか七光りとか言われません!?」
「そんなのレナ次第だろ」
「そっそうかなぁ…」
自分の力でのし上がらなければならないと先程から豪語していたのだ。養女という事になっているとはいえ、その養父母と魔導騎士団の団長が直近で懇意にしていたとなれば横からいちゃもん付けられる要素が――。困り事だが考えてみれば養子であってもスペンサーを名乗っている時点で、家の力を使ったと言われる可能性は大きい。だが、スペンサーの名を捨てる事もできないのだ。セリーナに戻る時にセレナは全く関係のない別人では証明することが難しくなる。それこそ何の為に――に、なってしまう。
思案し沈んだ表情を見せるセレナに、ルイスは笑いかける。そのようすにラジットは目をほそめた。
「魔導騎士団は縁故では入れるような、そんなに甘い所じゃないんだけどなぁ
まぁそういう奴もいるかもしれんしなぁ…じゃぁ、すぐにテストが受けれる様に推薦はすることにして……入団の許可はアレクに任せようか
セレナ嬢なら余裕だろう」
「あー……アレク……っ!?」
「アレク……様?」
「だよなっ」
ポツリとラジットが笑顔でそう呟くと、楽しそうにルイスも笑みを浮かべた。
「ふへっ!?」
「そういやまだ言ってなかったな ラジットは、さっき言ってた魔導騎士団の団長なんだ」
セリナの動きが一瞬止まったかと思うと、パカッと口を開けて驚きの声をあげる。
「えぇえええ!? やっ、確かにこのマントといい、専用列車といい、関係者だとは思ったけど……何でここにっ!? えっ? ってか、入団てそっそんな簡単でいいの!?」
「ラジットがいいって言ってるし……?」
傍らにいるルイスに視線を向けると、ルイスとラジットは目を合わせ揃って何がいけないのだと首をかしげて見せた。その様子はちょっとだけ可愛いものがあるが、話の内容とは別である。
セレナは身を乗り出して、ラジットに説明を求めた。
「魔導騎士団ってエリート集団でしょ? 入団テストとかあるんじゃないんですか!?」
「うむ…一応入団テストがあるが、セレナ嬢の星じゅ……いや、妖精がいればね……それに、ルイスの太鼓判があるし大丈夫だろ……まぁそうだな…う~ん…念のためちょっと確認に行ってくるかな」
「あん? 男が一度言ったこと曲げんのか?」
そう言われればと、すぐに意見をたがえたラジットに、ルイスが今度は食ってかかる。そんなルイスを軽くいなしたラジットは、面倒くさそうに頭を搔いた。
「なに、バーナードと奥方…元生徒達とちょっとお話して来るだけだよ」
「へ? そんな簡単に会えるんですか!?」
ラジットの言葉に、今度はセレナが喰いついた。先ほどの説明を聞いていればもう何年も母親に会っていないのだ。少しくらい喰いついてもおかしくは無いだろう。
――それって、あたしも母様に会いに行けるって事!?
「一応魔導騎士団長だからな……セレナ嬢、今は我慢しなさい」
――今はねっ
――望みがあるだけで嬉しいよ
――フフッ 楽しみっ
何か思い当ったセレナは、心配そうに眉を下げラジットを見上げた。
「あの……、お父様たちに会いに行っては、贔屓とか七光りとか言われません!?」
「そんなのレナ次第だろ」
「そっそうかなぁ…」
自分の力でのし上がらなければならないと先程から豪語していたのだ。養女という事になっているとはいえ、その養父母と魔導騎士団の団長が直近で懇意にしていたとなれば横からいちゃもん付けられる要素が――。困り事だが考えてみれば養子であってもスペンサーを名乗っている時点で、家の力を使ったと言われる可能性は大きい。だが、スペンサーの名を捨てる事もできないのだ。セリーナに戻る時にセレナは全く関係のない別人では証明することが難しくなる。それこそ何の為に――に、なってしまう。
思案し沈んだ表情を見せるセレナに、ルイスは笑いかける。そのようすにラジットは目をほそめた。
「魔導騎士団は縁故では入れるような、そんなに甘い所じゃないんだけどなぁ
まぁそういう奴もいるかもしれんしなぁ…じゃぁ、すぐにテストが受けれる様に推薦はすることにして……入団の許可はアレクに任せようか
セレナ嬢なら余裕だろう」
「あー……アレク……っ!?」
「アレク……様?」
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