婚約破棄された令嬢は森で静かに暮らしたい

話

「……今、我々にはあまり戦力が残されていません」


　ルシュンが意を決して口にする。


「そうだな。万騎士、勇者とその仲間、そんくらいか？」
「はい。多方面との開戦となると、個々は強力でも保つことはできないでしょう」
「停戦や親善はどうなんだ？」
「……使者を送っていますが、希望は薄いです」
「絶対絶命だな、ははは！」


　帝王が腹を抱えて笑う。
　叱咤するような視線を万騎士が帝王に送るが、どこ吹く風だ。


「そこで魔女――ソフィア嬢に頼みたく、参りました」
「え、私？」


　突然の指名にソフィアは戸惑う。


「ソフィアさんなら、一つの戦場を構築できるかと思います。どうか王国にお力添えを頂けませんでしょうか。もちろん、過去のすべてに謝罪はします。王族は如何なることにも答えます故、どうか……！」


　そんな言葉を聞いて、ブチッと血管の切れる音がした。約二名、ドラゴンと帝王だった。