私も、大好きだよ。

ちさめす

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聖夜

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「おい美里、なに読んでんだ?」

「……本」

「いや……それは見ればわかるよ。中身だよ中身」

「……サンタ、クロース」

「すごい季節物を読んでんだな。ってかそれ、本じゃなくて絵本じゃん」

「……」

「美里はサンタさんがいたらどんなプレゼントをお願いする?」

「……ない」

「え? ほしいものないの?」

「……うん」

「ほらほら~そんな遠慮せずにさあ、いっといたほうがいいと思うけどなあ~!」

「……」

「サンタさんなら絶対にどっかでこの会話聞いてるからさあ~」

「……ない」

「ないんかい!」

 ◇

「美里~。外を見てごらん」

「……なに、ママ」

「いいから、ほら早く~」

「……」

 ◇

「お、美里がカーテン開けた。おじさん! スイッチお願いします!」

「あいよ~」

 ◇

「……なに、これ……」

「美里~! メリークリスマ~ス! どうだいこのクリスマスツリーは! 九メートルもあるんだぜ!」

「……なん、で……?」

「なんでって、今日クリスマスだぞ~!」

「……そうじゃ、なくて……なんで……」

「喜ぶ顔が見たいからに決まってんだろ~!」

「……どうして、ここまで……してくれるの……」

「そりゃほら、あれだよ! えっと……そうそう! クリスマスとサプライズって言葉の響き似てるだろ~? だからどうかなと思ってさ!」

「……うう」

「……おいおい……美里、泣いてんのか~!?」

「……ばか……ばか……」

「はは! 喜んでもらえてよかった~!」

 ◇

「これ、クリスマスプレゼント」

「……開けて、いい?」

「もちろん!」

「……これは……バラ?」

「ああそうだ。バラの花だ」

「……花を、箱に……つめる……?」

「それはいうなって! これでもいろいろと考えたんだぞ」

「……」

「お前、ほしいものがないっていうからさ、俺からしたらなにがほしいのかをすごい考えるわけよ」

「……」

「なにがほしいんだろうなっておばさんやおじさんとも話してさ、仮になにかをあげても、それを美里は気に入らなかったらどうしようとか悩んだりしてさ。でも、日用品とかの消耗品はクリスマスプレゼントっぽくないし、どうせあげるならたったひとつの物がいいと思って」

「……うん」

「で、俺思ったわけ。いくら考えても思いつかないのなら、いっそ物じゃなければいいんじゃねって」

「……それで、バラ……?」

「そう! 十二本のバラにしたんだ」

「……花は、物……じゃない?」

「……細かいことはいいんだよ! ……なあ美里、知ってるか?」

「……なにを?」

「バラってその本数にも花言葉があるんだよ」

「……うん」

「十二本の花言葉。それは……」

「……うん」

「俺と、付き合ってほしい」

「……」

「……だめ?」

「……」

「だめ、かな?」

「……」

「……」

「……だめ」

「美里……。それって、ハグしながらいうセリフじゃないぞ」

「……ばか」
 
 
 
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