私も、大好きだよ。

ちさめす

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夏祭

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「今日の美里、いつもよりすごく可愛いな。……あっ! いつもは可愛くないとかそういう意味じゃないからな!?」

「……ありがとう」

「というか人混みがすごいな。美里はスマホ持ってないからはぐれるとやばいな。……手、つなごか」

「……うん」

「……うう、ひやああ!」

「……え? な、なに……」

「ああ、わるいちょっと興奮してしまったわ。もう大丈夫!」

「……」

「というか久しぶりに美里と手を繋いだよな。ほんと美里の手は柔らかいよなあ」

「……うるさい」

「ははは」

 ◇

「ほら、祭りといえばまずはお面だろ! どのお面にする? 俺はこのザリガニのやつにしようかな。美里はどうする?」

「……これ」

「ウサギか。なかなかに可愛いチョイスだな」

「……ピンク色」

「ああ、美里はピンクが好きやったな。……じゃあ俺はやっぱりこっちにしよ」

「……カメ?」

「おう! ウサギといえばやっぱりカメだろ? ……こっちの方がカップルっぽく見えるかなって」

「……見えない」

「俺にはそう見えるからいいの!」

「……」

 ◇

「美里、射的あるぞ!」

「……やるの?」

「もち! 俺、こう見えても狙撃の名手なんだよね。この辺りじゃ名が知れ渡ってるの、美里知らんだろ? ……まあ、自称だけどね」

「……そう」

「せっかくだから美里のほしいものがあれば取るけど、なにがほしい?」

「……あれ」

「桃の置物みたいなやつか。大きさは卓球の玉ぐらいか……。まあ、俺の腕前なら一発やな」

 ◇

「まさか射的で三千円も使うなんて思わなかった……。一回六百円とか高すぎるだろ。後で自治会に文句いってやる!」

「……ありがとう」

「おう! ……それにしても、置物と思ったらまさかのヘアピンやったとはな」

「……これ、可愛い」

「ヘアピンにしてはデカすぎる気がするけど重たいとかないん?」

「……ない」

「そか。……美里」

「……なに?」

「すごく可愛いぞ」

「……ばか」

 ◇

「花火上がった! ……綺麗やな」

「……うん」

「なあ美里。俺ってむっちゃ幸せなんだなって思うんだ」

「……どうして?」

「こんなに綺麗な花火をさ、一番綺麗な人と見れたから」

「……劇の、練習?」

「ちげえわ! ……俺の本音だよ」

「……ばか」

「お! でかいのきたぞ! ……うわあ、めっちゃ綺麗だ……」

「……き」

「ん? なんかいった?」

「……ううん」
 
 
 
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