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2021
下り坂
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夕暮れに揺れる自転車にふたりのりで坂を下る。ブレーキのかけ方を忘れたみたいにどんどん加速していくタイヤの回転。鼓動も、呼吸も、いまここにいるということすら忘れて、ふたりで風に溶け合う。たった一瞬、それで終わり。坂の下まで来たら減速してそれは止まる。残暑の合間に秋の香りがしだした。(了)
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