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✿01:あっこれって追放ですね知っています
*25.ソウビ・アイ(5)※
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「ほら、あやつらやる気満々らしいぞ。お主も交じってこい」
「だから、そういうのはいいから!」
外だというのにいきなりキスをしだした男たちを指さして「行け、行け」とソウビが癒月をけしかける。癒月はそんなばかなことはできないと必死に拒否をする。
「んっ、はぁ……」
「ふっ、いい感じにとろけてきたじゃないか、ブラザー」
「いい気になりやがって……くそっ」
「なっ、お、俺のはいいんだぞ」
「一方的にされるのは俺の性に合わないんだよ。……しゃぶらせろ」
壁際に追いやられていた男が、しゃがみだして相棒のズボンのファスナーに手をかけ始める。
(わー、わー、やべえ!! もうこんな場所にいてたまるか!!)
癒月はそろりとその場を逃げようとしたが。
「あっ!!」
暗がりで周りが見えていなかった。そのせいで彼は足元に転がっていた空き缶に気が付かずにその上に足を置いてしまう。不安定に転がるその上でバランスを崩して盛大に転んだ。
「誰かいるのか!!」
その音で男たちに気付かれてしまう。
「ええ!! なんて恰好をしてるんだ!!」
全裸で、淫紋のせいでおったててたあそこも丸出しのまま、倒れている少年。まさしくそんな恥ずかしい姿を見られてしまい、癒月は悔しさのあまり唇をかみしめる。
いいことがない。
最近、本当に、どうしてこうなった。
「あ、あの……これは、その……」
言い訳もしどろもどろに。そもそもこんな場面、どうやって切り抜けたらいいんだ。
「チャンスだ、チャンスだ! 勇者よ、頑張れ!」
なぜか姿を消してしまったソウビの声だけが癒月を応援している。
「頑張れるわけねーだろ!! 俺は帰る!!」
どこへ? 帰る場所など、ないのに?
いや、それでも、こんな変な目に巻き込まれるよりは逃げたほうがましだ。
「ふーん」
ソウビの声が癒月の鼓膜を揺らした。
「そんななさけない男だったのか、癒月よ。それともそういう経験がないからか。ないのなら、我が見本を見せねばならぬということか? まったく、そこまで手がかかるのか、大変だのぉ」
「なっ、えっ!!」
すると、自分では動かしたつもりがない腕が勝手に動き出した。そして、発したつもりのないことばも。
「あのぉ、実は俺……道に迷っちゃってぇ」
(うーわ、なんだこれ。この甘えるようなやけに耳につく感じ! これ、俺の声かよ!!)
(その通りだ)
(えっ)
脳内に直接聞こえてきたソウビの声に癒月は驚く。
(そんなびくびくするな。取って食おうなんて考えていない。取って食われるのはお前のほうだしな)
(なんなんだよ、それ!!)
(まあ、ざっというと、お主の肉体に我が憑りついた。これからしばらくの間はお主はお主で意識はあっても、お主の身体の自由はない。我の思うがまま、というわけよ)
(なんだって!!)
(でもま、感覚は共有というわけで、いい経験になると思うぞよ)
(え、てことは……おい、待て!! ざけんなよ!! 勇者の身体はおもちゃじゃねぇんだぞ!!)
(それはお主が立派な真の勇者になってからな。さーて、ひと暴れするか。我も実際の肉体で乱れるのは久しぶりだからのぉ。いやっほう!)
(いや、お前、楽しんでんじゃねーか!!)
「へえ、迷子ちゃん? どこから来たの?」
「寒いでしょ。おじさんたちが温めてあげようか」
さし伸ばされた手を癒月――いや、ソウビが操る彼の手は、ゆったりとした動作で握った。
(#2へ続く)
ーーーー
✿次章!!
謎の人物ソウビ・アイに操られた勇者癒月、初めてを知る!!(ナニがとはいえない)
とりあえず、ここまでが「起承転結」の「起」部分になると思います。ここまでで、苦手だと思ったかたはすぐさま離脱してください。ここから先、アレがアレしてアレな感じになるので。(ナニがとは……)
それでは、お付き合いいただけるかたのみ、どうぞよろしくお願いいたします。
「だから、そういうのはいいから!」
外だというのにいきなりキスをしだした男たちを指さして「行け、行け」とソウビが癒月をけしかける。癒月はそんなばかなことはできないと必死に拒否をする。
「んっ、はぁ……」
「ふっ、いい感じにとろけてきたじゃないか、ブラザー」
「いい気になりやがって……くそっ」
「なっ、お、俺のはいいんだぞ」
「一方的にされるのは俺の性に合わないんだよ。……しゃぶらせろ」
壁際に追いやられていた男が、しゃがみだして相棒のズボンのファスナーに手をかけ始める。
(わー、わー、やべえ!! もうこんな場所にいてたまるか!!)
癒月はそろりとその場を逃げようとしたが。
「あっ!!」
暗がりで周りが見えていなかった。そのせいで彼は足元に転がっていた空き缶に気が付かずにその上に足を置いてしまう。不安定に転がるその上でバランスを崩して盛大に転んだ。
「誰かいるのか!!」
その音で男たちに気付かれてしまう。
「ええ!! なんて恰好をしてるんだ!!」
全裸で、淫紋のせいでおったててたあそこも丸出しのまま、倒れている少年。まさしくそんな恥ずかしい姿を見られてしまい、癒月は悔しさのあまり唇をかみしめる。
いいことがない。
最近、本当に、どうしてこうなった。
「あ、あの……これは、その……」
言い訳もしどろもどろに。そもそもこんな場面、どうやって切り抜けたらいいんだ。
「チャンスだ、チャンスだ! 勇者よ、頑張れ!」
なぜか姿を消してしまったソウビの声だけが癒月を応援している。
「頑張れるわけねーだろ!! 俺は帰る!!」
どこへ? 帰る場所など、ないのに?
いや、それでも、こんな変な目に巻き込まれるよりは逃げたほうがましだ。
「ふーん」
ソウビの声が癒月の鼓膜を揺らした。
「そんななさけない男だったのか、癒月よ。それともそういう経験がないからか。ないのなら、我が見本を見せねばならぬということか? まったく、そこまで手がかかるのか、大変だのぉ」
「なっ、えっ!!」
すると、自分では動かしたつもりがない腕が勝手に動き出した。そして、発したつもりのないことばも。
「あのぉ、実は俺……道に迷っちゃってぇ」
(うーわ、なんだこれ。この甘えるようなやけに耳につく感じ! これ、俺の声かよ!!)
(その通りだ)
(えっ)
脳内に直接聞こえてきたソウビの声に癒月は驚く。
(そんなびくびくするな。取って食おうなんて考えていない。取って食われるのはお前のほうだしな)
(なんなんだよ、それ!!)
(まあ、ざっというと、お主の肉体に我が憑りついた。これからしばらくの間はお主はお主で意識はあっても、お主の身体の自由はない。我の思うがまま、というわけよ)
(なんだって!!)
(でもま、感覚は共有というわけで、いい経験になると思うぞよ)
(え、てことは……おい、待て!! ざけんなよ!! 勇者の身体はおもちゃじゃねぇんだぞ!!)
(それはお主が立派な真の勇者になってからな。さーて、ひと暴れするか。我も実際の肉体で乱れるのは久しぶりだからのぉ。いやっほう!)
(いや、お前、楽しんでんじゃねーか!!)
「へえ、迷子ちゃん? どこから来たの?」
「寒いでしょ。おじさんたちが温めてあげようか」
さし伸ばされた手を癒月――いや、ソウビが操る彼の手は、ゆったりとした動作で握った。
(#2へ続く)
ーーーー
✿次章!!
謎の人物ソウビ・アイに操られた勇者癒月、初めてを知る!!(ナニがとはいえない)
とりあえず、ここまでが「起承転結」の「起」部分になると思います。ここまでで、苦手だと思ったかたはすぐさま離脱してください。ここから先、アレがアレしてアレな感じになるので。(ナニがとは……)
それでは、お付き合いいただけるかたのみ、どうぞよろしくお願いいたします。
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