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・屋敷編
Thuー22
しおりを挟む思い出しただけで、笑いが込み上げてくる。それを噛み殺そうとしながら歩く主の後ろを使用人が追いかけている。彼に呼ばれて、男はいつもの冷たい氷の表情に戻った。
「どうした?」
呼びかけたのはその使用人のほうであったのに、彼は急に我に返ったように口をつつしんでしまった。
「黙っていては何も伝わらないのだが」
藤滝は面倒くさそうに、止めた足でとんとんと廊下の床を叩いた。使用人は迷っていたがついにその不安を口に出した。
「お、恐れながら……ご主人様は、何をお考えなのですか?」
ずいぶんとアバウトな質問だな。藤滝は雑に答えた。
「真清会が、動いてきたではないですか」
男は黙った。
「あの組は確か、主の……」
だが、その続きを言わせるような男ではなかった。首ねっこをつかまれて、黒服は黙らざるを得なかった。自分の主人の無言の圧力に息をのむ。
「す、すみません……」
手を離されて、ほっと床に膝を折った使用人を藤滝は見下ろしていた。
「確かにあの組とは、あそこの頭とは因縁がある。だがな」
藤滝は吐き捨てるように言った。
「この城をそう簡単に傾かせるわけにはいかないんだよ。ここは――」
俺の城だ。
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私の性癖にグッサリでしたありがとうございます。おかげで楽しみが増えました。
更新滞ってしまっていますが、コメントいただけて嬉しいです。いつもありがとうございま(^///^)
初コメ失礼します!
240ページというとても長いページをこんなにも有意義に使えたこと、深く感動しています。
私としては、これくらいのページ数の小説を読んだことがなかったため、
色々学ばさせていただきました。
実は、私は長い小説を見るとすぐに飽きてタブを閉じてしまう、ということが多く、
初めて全て読み終われて気分がいい状態になっています。
私がこの作品で好きなところは、全てというと全てなんですが、
弥助といわず青年と言っているところが心に刺さりました。
喘ぎ声、とてもお上手なようで少々使わさせてもらってもいいでしょうか...?
この作品を見ることが出来、本当に良かったです。
応援しているので、これからも頑張ってください!
はじめまして。コメントありがとうございます。
長い話を〜というか、ズルズルと長くなってしまった、というのが真相なのですが(苦笑)、読んでくださり、ありがとうございます……!!
まさか嬌声をお褒めあずかるとは思っていなかったので、恐縮です。でも、使うって、そのまま何に?(笑)
もしyunaさんが何か書かれるようでしたら、参考程度にしておいてくださいね…まるまる写されるのはさすがに……なので。それに弥助という子が発するので、ああいう形になっています。キャラ、その子の置かれている状況や精神状態によっても、声の上げ方は違うと思うので、その子にあわせて考えてあげてください。……と、思うのです。「何なまいきなことを返信してんのさ!」と思われたら、ごめんなさい。
でも、嬉しいお言葉でした。私の書いてきたものが、少しは何かの参考になったのであれば、いいな…と思います。
また「青年」表記についてもコメント、ありがとうございます。刺さってくださり嬉しい……。
ひとりの人間だったはずのものが「自分を奪われた」状態にされているので、個人名よりも多く「青年」表記を使っています。
私が鈍足に鈍足を重ねた遅筆なため、まだまだ遠い先の話になりそうですが、彼らが心の底から「自分」を取り戻すまで、のんびり、続けたいと思っています。
熱の入った感想、ありがとうございました。
更新再開ありがとうございます♡
とても楽しみに待っておりました(๑❛罒❛)ニヒッ♪
あらゆる手を使ってのお仕置きに
ドキドキ…いや…ワクワクさせて頂いてます。
私もストレスが溜まっているのでしょうか…
受けが不憫な程、良き良きと思ってしまいます笑
これからも
楽しみしていますので、
ご無理のないよう頑張って下さい
୧(`•ω•´)୨応援しています⚑゛
ありがたいおことばをかけてくださり、ありがとうございます!!
応援、ありがたく頂戴いたします……!!
不憫良きとは! ありがたい……!
受けをどう堕としに堕とすか、と楽しく構想して、自分のストレス発散かねてかいているので、一緒に発散できたら嬉しいです~とかいいつつ、しばらくのうちにまた鈍足すぎる更新頻度になりそうで……(汗)
もしかしたら、受けが泥沼から抜け出しちゃうかもしれませんが(だって先行きまったく不明ですもん←オイ)、お付き合いいただけましたら幸いです。