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いっしょう!
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「まさか17歳でマクシミリアンと関わることになるだなんて……」
色々調べて、もう本当に死ぬんじゃないかと思うほど悩んで、アリーは王宮の侍女として上がることにした。
王太子マクシミリアン・オランドリアは現在19歳。婚約者はなぜかいない。
「ジャンの病気は本当だったし、支度金どころかお給金を3年分くらい前借しないと、とうてい手術代が払えないし……」
しかし、それでも手術さえすれば可愛いジャンは元気になるのだ。
それに王宮侍女の中でも男爵家出身者は末端だから、王太子付きになることはまずない。侍女の中でも美しいものは「お手付き」になるケースがあるので、子爵家の娘か伯爵家以上の3女4女あたりで固める。
「わたしは第5王女スティラ様付きって話だし、スティラ様は側妃腹だから王宮内では冷遇されてるし、その侍女ならまず大丈夫……なはず」
マクシミリアンに会いたくない < ジャンに生きてほしい
なので、アリーは侍女になることを決意した。よく考えなくても、アリーはアリーシアではないのだから、断罪されるいわれはないし。
「ミア降臨からの一連の流れを、初めて傍観者として見られるんだわ。あの子が次々と高位貴族の息子を虜にし、マクシミリアンまでたらし込むさまを見られるのは、物凄いエンターテイメントかもしれない……」
お金が無いので乗合馬車を使い、途中途中で父の知り合いの家に泊めてもらいながら、アリーは何日もかけて王都を目指した。
17歳の一人旅なのにまったく危険でないあたり、アリーが不美人であることの動かぬ証拠だ。
「なんかこう、衝撃の1回目処刑から、ダイジェストで2回目から9回目まで……途中で『はいはい笑う笑う』ってなっちゃって、恨みつらみが遠くなっちゃったというか……」
もしもきっちり9回人生をやり直し、あがいてあがいて死んでいたのなら、マクシミリアンには絶対に会いたくなかったと思う。
しかし2回目以降がダイジェストすぎたせいで、あんまり現実感がなかった。
「そもそもわたし、本当に公爵令嬢だったのかしら……?」
王都が近づくにつれ、だんだんそんな気分になってきた。
実際のところ、前世の記憶などと言うものはジャンの言う通り全部作り話、妄想の産物なのかもしれない。
「ま、いいわ。①マクシミリアンとは関わらない、②ミアには近づかない、③面白い見世物として遠くから楽しむ、この決まりは絶対に守ろう」
聖女ミアに国中の主だった男たちが骨抜きにされるのだから、行く末はろくなもんじゃないだろう。国が亡びる展開も、大いにありうる。
今は存在しないアリーシアに代わり、その顛末を見届けるのも悪くない気がした。
色々調べて、もう本当に死ぬんじゃないかと思うほど悩んで、アリーは王宮の侍女として上がることにした。
王太子マクシミリアン・オランドリアは現在19歳。婚約者はなぜかいない。
「ジャンの病気は本当だったし、支度金どころかお給金を3年分くらい前借しないと、とうてい手術代が払えないし……」
しかし、それでも手術さえすれば可愛いジャンは元気になるのだ。
それに王宮侍女の中でも男爵家出身者は末端だから、王太子付きになることはまずない。侍女の中でも美しいものは「お手付き」になるケースがあるので、子爵家の娘か伯爵家以上の3女4女あたりで固める。
「わたしは第5王女スティラ様付きって話だし、スティラ様は側妃腹だから王宮内では冷遇されてるし、その侍女ならまず大丈夫……なはず」
マクシミリアンに会いたくない < ジャンに生きてほしい
なので、アリーは侍女になることを決意した。よく考えなくても、アリーはアリーシアではないのだから、断罪されるいわれはないし。
「ミア降臨からの一連の流れを、初めて傍観者として見られるんだわ。あの子が次々と高位貴族の息子を虜にし、マクシミリアンまでたらし込むさまを見られるのは、物凄いエンターテイメントかもしれない……」
お金が無いので乗合馬車を使い、途中途中で父の知り合いの家に泊めてもらいながら、アリーは何日もかけて王都を目指した。
17歳の一人旅なのにまったく危険でないあたり、アリーが不美人であることの動かぬ証拠だ。
「なんかこう、衝撃の1回目処刑から、ダイジェストで2回目から9回目まで……途中で『はいはい笑う笑う』ってなっちゃって、恨みつらみが遠くなっちゃったというか……」
もしもきっちり9回人生をやり直し、あがいてあがいて死んでいたのなら、マクシミリアンには絶対に会いたくなかったと思う。
しかし2回目以降がダイジェストすぎたせいで、あんまり現実感がなかった。
「そもそもわたし、本当に公爵令嬢だったのかしら……?」
王都が近づくにつれ、だんだんそんな気分になってきた。
実際のところ、前世の記憶などと言うものはジャンの言う通り全部作り話、妄想の産物なのかもしれない。
「ま、いいわ。①マクシミリアンとは関わらない、②ミアには近づかない、③面白い見世物として遠くから楽しむ、この決まりは絶対に守ろう」
聖女ミアに国中の主だった男たちが骨抜きにされるのだから、行く末はろくなもんじゃないだろう。国が亡びる展開も、大いにありうる。
今は存在しないアリーシアに代わり、その顛末を見届けるのも悪くない気がした。
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