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第2話 『願いが叶う人狼?! バクストマック・ゲーム、スタート!』
⑨
しおりを挟む俺が言い終わるより先に、ジュースが楽しげに声を張りあげた。
「さて、議論は出尽くしたようだね? それでは投票に移ろう。オオカミは果たして、誰か――心に決めた者から、その光球に触れたまえ」
その、ってどれだよ……と思って正面を見て、ビックリする。いつの間にか、俺たちの目の前に白い光の玉が浮かんでいた。
俺はすがるような気持ちで、その輝きに手のひらを重ねる。すると、それは勢いよく、空高くへと飛んでいった。他のプレイヤーたちの光も、次々に飛んでいく。
9つの光が空の彼方へ消えた――かと思ったら、またすごいスピードでこっちに戻ってきた。そしていくつかの塊に分かれて、落下してくる。俺のほうにも!
わっと目をつぶったけど、俺のもとまで辿りついた光球は、ぐるぐると俺のまわりを飛ぶだけだ。その数は、3つ――なるほど、これが俺の得票ってワケね。
見てみると、他にも同じように光球に取り囲まれているプレイヤーがいた。竹内兄が2つ……俺と、多分ホマレのだ。
そして、残りの光球は――
「残念、一番初めの追放者は印路ミアくん――君に決定した」
聞きたくなかった言葉が、ジュースから放たれる。
見ると、ミアはまわりに飛んでいる光球をつついていた。その数は……4つ。
「ん、まー……いんじゃない? こーゆー一番も、たまには悪くないよね」
ミアはいつもみたいにへらっと笑って、俺とホマレに向かって手を振ってくる。
「じゃね、フウキ、ホマレ! 勝って、絶対願い事叶えるんだよ?」
「待てミア、おまえ、俺をかばって……!」
あっけらかんとしたヤツだけど、ミアは決してバカじゃない。たとえ狼だったとしても口をすべらせたりするわけがないんだ! それに、状況から推理すると、ミアは……自分に投票までしている。
なんでそこまで……そう思う俺を見て、ミアはプっとふきだした。
「あっはは! 小1からの付き合いだけど、フウキのそんな顔初めて見た!」
「ふざけんなって! おまえ……もっと遊びたいって、欲ばるって、言ってたじゃねーか!」
「そうだよ、それに、ミアにだって叶えたい願い事が……」
ホマレもせっぱ詰まった声で言うけど、ミアは静かに頭を振る。
「んーん、気づいたんだ。ミアの願い事、自分で叶えられるやつだって」
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