上 下
36 / 203
異世界でお菓子さんを開きました。第1章 本編

真澄の過去① ※閲覧注意

しおりを挟む
……私には、2人家族いた。



1人目は私の母親、

母さんは優しく、いけない事はちゃんと叱ってくれて深い愛情を注いでくれた。

家事と仕事を両立する母さんは、
かっこ良くて私の憧れだった。


そして、もう1人は私の父親…
だけど…私はこの人の事を父親だなんて…
一度も思わなかった。

なぜなら…あの人は、働きもせず酒ばかりを飲み。
女遊びも酷く、何より1番許せなかったのが…


父親「てめぇ!俺に逆らうつもりかぁ
金を寄越せ!」

母さんを殴り、蹴り飛ばす…DVだ。

母さん「…………っ…」

バキッ  ドガッ   …と痛々しい音がする。

父親「俺に逆らうとどうなるか、分かってんだろうな…」

虚ろな目でゆっくりと私の方を振り向いた。
当時小学生の私にとって、その目は恐ろしく、
思わず悲鳴が出そうになったが、
口を押さえた。

母さん「………お金なら、タンスの中にあります。」

母さんは痛みに耐え、タンスの方へ指を指し、
小さな声でお金のあり方を言った。

父親「おっラッキー…こんなにいっぱい、
暫くは遊べそうだ。じゃあな!!」


バタン!!

そう言ってあの人は、家を出た。

母さんが働いたお金は、殆どあの人の遊びの金で
消えてしまう…お陰で私達の生活は苦しかった。
ひもじかった。

だけど……


母さん「……真澄、いつもごめんね…
辛い思いをさせて…でもあともう少しの辛抱だから…」

「ママ…泣かないで、ますみ は大丈夫だよ」

母さん「うんっ  うんっ…真澄は優しいのね
……準備が整ったら…2人でこの家を出よう」

「うん!!それまで ますみ我慢する」

母さんが少ないお金の中でやりくりしたお陰で、
貯金ができ、そのお金で逃げる準備が出来た。


あとは このまま あの人が家に帰って来なければ、
上手く行っていたのに…

最悪な事…あの人が帰って来てしまった。
母さんが外出している時に…



そしてこの日は、今まで生きた中で、
恐ろしい事件が起きてしまった。


父親「おいっ  真澄、お金の場所は知らないか?
知ってんだろ」

「知らない。ますみは知らない…」

父親「そうかよ…」


そう一言 言うと…

バキィ!!


父親は私の顔を殴った。
あまりの衝撃で私は地面に倒れこんだ。

父親「嘘つくんじゃねぇ!母娘揃って
俺をバカにしてんのか!!言え 言えっ!!」

倒れてもなお、私を蹴り続ける。
父親…

痛い  苦しい  助けて…ママ…


意識が薄れそうになった時、


ガチャ…

母さんが帰ってきた。


母さん「………真澄…?…」

父親「やっと帰ってきたか、このガキ 口が固くてよ
金のあり方を教えてくれねーんだよ。
ちゃんと…育ててんのか?」

母さん「………真澄には手を出さない約束だったよね…」

父親「あー…そうだっけな?でもこのガキが、悪いんだぜ。 素直に言わねーから。
そんな事より金…「………許せない よくも緑と真澄を……」」

父親「…………は?」

グサッ!!

ママじゃない低い男の声がした瞬間
鈍い音がした。


「…………ママ?……」

母さんが父親の腹を包丁で刺した。


そして…
包丁を引き抜くと…真っ赤な血が吹き出した。


父親「がはっ…ひっ………お前…まさか……」

母さん「約束を破ったな……… 
僕が何も出来ないからって
散々好き勝手しやがって……
よくも僕の大切な家族を…」

刺されて苦しみもがく父親に、
母さんは無表情で、何度も何度も…

グサ  グサ   グサッ グチュ……


馬乗りになり、刺し続けた。

俺が悪かった、許してくれ と、
必死に詫びの言葉をはっした父親も
声がしなくなり、呼吸の音もしなくなった。

これ以上、刺し続けたらあの人が……
怖くなって気付けば…




「…………マッママ…やめて!
その人っ死んじゃうっ!!」

母さん「………っ!!」

大声で母さんに向かって叫んだ。


ガシャーン!!(包丁を落とす音)


母さん「……………」

呆然と母さんは自分の手を見た。
その手は血で真っ赤に染まっていた。

母さん「……えっ……私……
なんて事を……っ
い…いやあぁぁぁ!!」

初めて見たんだ…殴られても、蹴られても
弱音を吐かなかった彼女が……



涙をボロボロと零し、蹲った姿を……





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される

えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
 リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。  お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。  少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。  22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

【完結】永遠を誓い合った旦那様が豹変した!「別れようぜ。俺、お前のこと全然好きじゃない」2人の未来に再びの愛はあるか⁉【さんかくマリッジ 】

remo
恋愛
【さんかくマリッジ】豹変した旦那様と永遠の愛をつなげるか。 人気バンドのギタリストにして、養子の弟・雨宮ななせ(22)と晴れて入籍し、最高潮に幸せな新婚生活を送る雨宮つぼみ(22)。 新社会人となり、慣れない仕事に奮闘しつつ、身内だけの挙式をひと月後に控えた、ある日。 ななせが外国で列車テロに遭い、頭部に損傷を負う。 長時間手術の後、目覚めたななせは、まるで別人のように人が変わっていた、……――― 「別れようぜ。俺、お前のこと全然好きじゃない」 まさかのスピード離婚!? 三角形に転がる結婚の行方は。 *『さんかく両想い』続編。ここから読んでも大丈夫です。 *2022.1.28ー2022.7.12【完結】ありがとうございました!!

処理中です...