上 下
26 / 59
本編

第7話 初めてのお泊り…③

しおりを挟む

…………………………………………………………

第7話  初めてのお泊り…③

……………………………………………………………
 

次の日の朝…

いよいよ、ダジュナール家の屋敷へ
戻る時間になった。

昨日は魔獣が部屋に侵入して、
怖い思いもしたけど…

ジンジャーさんのお陰で
無事、朝を迎える事が出来た。

「いやぁぁ…昨日は本当に怖かった…
まさか魔獣が部屋に侵入していたなんて
ジンジャーさんが来てくれて
助かったぁ… 」

ルクシ「そっ…そうだね 
本当に ジンジャーお兄ちゃんが来てくれて
……良かった…ね」

ジンジャー「オーロラさん 
安心して下さいね その魔獣とやらは
俺がしっかり……説教…いえ
追っ払いましたので!」


………………………………………………………………

………………………………………………………………


(昨日の出来事)
※ジンジャーの回想

オーロラ「いやぁぁあぁぁ 誰かぁぁ
魔獣が部屋にぃぃ !!!
助けてぇぇ!!!」

自室で寛いでいると、
オーロラさんの悲鳴が聞こえてきた

なっ…何事なんだ?!
魔獣?! ここはシラトス城だぞ
鼠一匹も侵入を許さない鉄壁の城

それに彼女の側には、
魔王様だって…………

……魔王様……

………なんか…嫌な予感がする
俺が考えている事が起きているんじゃ…

いや…まさかな…
魔王様にはちゃんと
ガッつき過ぎるなと言ったし…

いくらなんでも 魔王たる者…
寝込みを襲うなんて……

「……………………」

念の為、本当に魔獣だった場合も踏まえ、
俺と屈強な騎士(上司)2人で
急いで、オーロラさんが寝ている部屋に
向かった。

バンッ!!(ドアを開ける音)


「オーロラさん!!無事ですか?!」

ドアを開け、灯をともし
オーロラさんを見ると

オーロラ「ジッ…ジンジャーさん
グスッ…へっ部屋に魔獣が……」

ガタガタ震え、
魔王様(ルクシ君)を抱きしめて、
泣いていて、

抱きしめられている魔王様は、
目を泳がせて、俺の目が合わないように
明後日の方向をむいてた。

あっ……これ完全に魔王様が
やらかした奴だわ

上司2人も魔王様を軽蔑する
目で見ているから……
うん……確実に………

「んんっ…ゴホン!!」

シルク「………………」ビクッ!

さあ、何をやらかしたか、
オーロラさんで証明しようじゃないか

「こんなに震えて…可哀想に…
オーロラさん 大丈夫ですか?
一体何があったのですか?」

「ままま魔獣が 私を食べようと
肉感を確認する為、身体を触ったり
味見する為、口とか首筋とか舐められて……」

「身体を触られて舐められた……
オーロラさん 一旦、別室に移動しましょう
もしかしたら…魔獣が部屋に潜んでいるかも 
しれない…」

わざとらしく、俺は辺りを見渡し、
まだ、魔獣がいる雰囲気をかもちだした。

オーロラ「はっはいっ……あの皆さん
申し訳ございませんっ…
真夜中に ご迷惑をお掛けしてしまって…」

赤く目を腫らし、
自分の体をさするオーロラさんを見て、
罪悪感を感じた

「迷惑かけただなんて…
とんでもない!迷惑をかけてしまったのは
こちらの方ですから…

ささっ…早く別室へ行きましょう
寒いので温かい飲み物を用意しますね

あの先輩方、オーロラさんを
別室まで頼めますか」


上司1「承知! ジンジャーは ルクシ君を頼むぞ」

オーロラ「えっ…ルクシ君を見てくれるんですか 」

上司2「はいっジンジャーが ちゃんと
朝まで 見守ってくれますので ご安心を…
オーロラさんは何も心配はいりません」

オーロラ「あっありがとうございます
……ごめんねルクシ君
今日は一緒に寝られなくて…
また、明日ね……」


こうして……魔王様を遠ざける為、
オーロラさんには
この部屋から出て行って貰った。


バタン!(ドアが閉める音)


「…………………………」

シルク「……あの ジンジャー…
安心しろ オーロラには僕の正体は
バレてないから……」

「……魔王様…まだ時間は
たっぷりありますし……
今からお話しましょうか」



※ジンジャーの回想終わり

………………………………………………………………

………………………………………………………………



「ルクシ君 あの後、お部屋別々になっちゃったけど グッスリ眠れた?」

…なんだか、とても眠たそうに見えるけど
大丈夫かな

ルクシ「ジ…ジンジャーお兄ちゃんが
子守唄 歌ってくれたから
ぐっすり眠れたよ」

「そっか!安心した
ジンジャーさんの子守唄を聞けて
良かったね」

ぐっすり眠れたなら
…私の気のせいかな?

ジンジャー「オーロラさん ルクシ君、
そろそろ転送の準備が整いました
早く魔法陣の中へお入り下さい
これに乗れば ダジュナール家のお屋敷へ
ひとっ飛びです」

前の方向を見ると、
転送用の魔法陣が
眩い光を放っていた。

「はっ…はい…」

魔法陣に
ジンジャーさんが一番最初に乗り、
続いてルクシ君が乗り、

最後に私………

「…………」

ルクシ「お姉ちゃん?」

…昨日お世話になったお礼を
言うの忘れてた…

それに……もしかしたら、
ここの方々とは一生会わないかもしれない

ちゃんと言わなくちゃ、
感謝の言葉とお別れの言葉を……

くるりと従事者達の方に向き
頭を下げ

「昨日からお世話になりました
見ず知らずの私達に食事等
ご用意をして下さいまして、
ありがとうございました

かかった費用はちゃんとお支払い
します

…では、皆さんどうか、お元気で…」

そう口にした時、
鼻の奥がツンとして

たった1日なのに、
みんな優しくて、思いやりがあって
まだ一緒に居たいだなんて
思ってしまった

ここで働けたら……

でもそんなの叶わないから…

思いを頭の中でうち消して
足早に魔法陣に乗った。


従事者1「大丈夫ですよ またすぐに
私達と会えますよ」

「………えっ? それは一体 どう言う…」

思い掛けない従事者の言葉が帰ってきて、

どう意味なのか聞き返そうとした瞬間


ヒュン!!と音を立て
景色が変わってしまった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。

天災
恋愛
 美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。  とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

処理中です...