上 下
24 / 59
本編

第7話 初めてのお泊り…①

しおりを挟む
…………………………………………………………

第7話  初めてのお泊り…①

……………………………………………………………

「よかったぁ…まだ ルクシ君とお別れじゃなくて  
ぐすっ…」

本当に今日がお別れだと覚悟したから、
安心感が半端ない…

ほっとして思わず涙が溢れてしまう
泣かないよう目頭を押さえる。

ルクシ「おねえちゃん 僕も嬉しい……
僕、おねえちゃんに『お別れだね』って
言われた時はすごく悲しかったんだからね」

ぷくっと頬を膨らませ、
ルクシ君は私をきゅっと抱きしめた。

うぅぅ…かっ可愛い……

じゃなくて!!
私の言葉がルクシ君に悲しい思いを
させてしまったんだね……

「ごめんね ごめんね ルクシ君
君の幸せだと思って…」

私は安心させるように彼の
頭を撫でて、背中をさすった。


ジンジャー「……………」
(俺は何を見せられているんだ
…オーロラさんは純粋に魔王様の事を
人間の子供だと思っているから良いとして…
………魔王様は…完全にアウトだな
おいコラ、シルク魔王! どさくさに紛れて
彼女を嗅ぐな!
そして顔を胸に押し付けるんじゃない
……オーロラさん可哀想に……)」


「………! 申し訳ございません
ジンジャーさんお見苦しい所を…」

いけないっ 大の大人がいつまでも
泣いていたら、情けないと思われる!
ダジュナール家の評価も…

そう思い慌ててルクシ君から離れた。

そして…私はふとある大切な事を
思い出した。

「………………」

あれっ……そう言えば今何時だっけ…

シラトス城だと、
一日中真っ暗だし、時計がないなら
今、何時か分からない……

そうだ!バックの中にある
懐中時計を確認すれば……

ルクシ「おねえちゃん?」

急いでバックに駆け寄り、
懐中時計を見ると……

なんと夜の7時を回っていた。

「………!! まずい もうこんな時間…
…ジンジャーさん…申し訳ございませんが
頼みがございます
ルクシ君だけシラトス城に1日預からせて
いただけないでしょうか」

ジンジャー「オーロラさん 何を当たり前の事を
今日は泊まる予定ですよね?勿論ですよ
ん?今『ルクシ君だけ』って言いました?」
(いや、何言ってるんだろう 
魔王様が一旦戻ってきたんだし、
ダジュナールの屋敷も此処からじゃ遠すぎる
オーロラさんも今日は此処に泊まる予定じゃ…)

「良かった!ありがとうございます!
ええ、ルクシ君だけお願いします!!」

ルクシ「おっおねえちゃん?!
何言ってるの?今日はおねえちゃんも
此処に泊まるんだよ」

「ルクシ君…豪華な食事を頂いたのに
今度は泊まるなんて さすがにダメだよ…
此処は私みたいな使用人は
泊まって良い場所じゃない 
身分をわきまえないと……
それに…お城の人達も大変なのに
さらに迷惑が掛かっちゃう
……だから私は……」

よいしょっと
大きなリュックサックを背負う

そう万が一、帰りが遅くなる場合、
私は準備をしたのだ

野宿する為の準備を!!

「シラトス城の付近で野宿するね!
明日の朝、お迎えに行くから
いい子にしているんだよ
ジンジャーさんお願い致します
では、一旦、失礼致します」

久しぶりの野宿かぁ楽しみだな
暖かい飲み物を片手に星を見るのも良いし
焚き火を暖をとりながら、料理するのも…

頭にやりたい候補を決めながら、
部屋をドアに手を掛けようとした瞬間

ガシッとルクシ君に止められた

ルクシ「おねえちゃん…行っちゃダメ!
外にでたら、魔獣に食べられちゃうよ」

「……まっ……魔獣?!」

……魔獣って大きさが数メートル越えの
あの化け物だよね
しかも人間の肉が好物って噂の…

ジンジャー「ええ…実は夜の時間帯になると
魔獣の活動時間となりまして、
シラトス城付近に彷徨いていまして…
なので野宿はおやめになって
今日は此処で泊まってください」

迷惑掛けたくないけど……
野宿して魔獣に食べられるのは
絶対嫌だ……

数十秒の沈黙の末、

私の出した答えは…

「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません
…私もよろしくお願い致します」

死にたくないので、
シラトス城に泊まる事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら

夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。  それは極度の面食いということ。  そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。 「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ! だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」  朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい? 「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」  あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?  それをわたしにつける??  じょ、冗談ですよね──!?!?

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!

高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。

美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。

天災
恋愛
 美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。  とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

処理中です...