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第三部「魔法使いの掟とソフィラの願い」編
Ep.壊れた時間の治し方
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幼いキールとフラメウは、かつて雪の降る村で暮らしていた。その頃すでにキールの母は亡く、家族といえば父であるフラメウだけだった。それでも幼い子が寂しいと感じたことはなかった。
「寒くはないか」
粉雪が降り注ぐ道を、二人で歩く。そんな何気ない瞬間が、キールはとても好きだった。いつもどこか遠い目をしている父が自分を見てくれる。そのことが嬉しくて、何度もせがんでは散歩に出かけた。その度に困った顔をするものの、父であるフラメウはキールに優しかった。
確かに、そこには愛情が存在していた。小さな家で暮らす、穏やかな時間。降り続く雪がもたらす寒さも、二人で寄り添えば気にもならなかった。幼いキールにとってそれが全てで、何も欠けることのない世界だった。
それが壊れたのは、きっと、不意に発したあの時の言葉。
「おとうさん、ぼく、まほうつかいになりたい!」
子供の無垢な願いを、父はどう思い聞いていたのだろう。だが結論を言えば、フラメウはそれから変わってしまった。キールの手をつなぐことも、彼の頭を撫でることも。そして優しく名前を呼ぶことさえもなくなっていった。
今にして思えば、フラメウは子供の願いを叶えようとしていたのだろう。けれど当時のキールには理解できず、泣いてばかりいた。しかしそれでも、父が元に戻らないのだと気づいた時——キールはこう考えたのだ。
子供として認めてもらえないなら、せめて魔法使いといして認めてもらおう。
それからは、恐ろしいまでの執念で魔法に取り組んだ。だがもとより、キールの気質は魔法使いには向いていなかった。脆い心と、拙い魔法。それらを目にするたび、フラメウはかつての弟子の話をするのだ。
イクスなら決して、そんな風に魔法を扱わなかった。そう告げられると、キールの心にまだ見ぬ兄弟子への思いが膨らんでいった。優秀な弟子に対する羨望と、少なくはない嫉妬。それらが限界まで膨れ上がった時、キールは師であるフラメウに願い出た。
イクスのところへ、行かせて欲しい。珍しいキールの自己主張に、フラメウは一度目を閉じ、最後には頷いてくれた。そして、上手くイクスの元に届くよう紹介状をも持たせてくれたのだ。
そしてカーディス王国に渡ったキールは、早速イクスに会いに行く。——ことはなかった。それとは別に、キールには秘めたる願望があったら。
首都フレースベルグに存在する魔法石を手にれ、完璧な魔法使いとなること。
それがキールがイクスに近づいた真の目的であり、フラメウに対する意趣返しでもあった。
そうしてキールは、かろうじて使える精神魔法を用いて、魔法石を手に入れていく。一つでは足りず、また一つと手に入れるたび、フラメウやイクスに近づける気がした。
二人に肩を並べられる自分ならば、きっとフラメウも褒めてくれる。そうやって想像することはとても幸せで、キールは自分の行動を罪だとは考えもしなかった。
けれど、イクスを欺いていることだけは、心にわずかな痛みをもたらしていた。イクスもまた、フラメウに人生を狂わされたのだ一人であるのなら、彼の願いだけは叶えてあげたいと、そう思いさえもした。
いや、そんな思いがなかったとしても、キールは彼のそばにいたいと願っただろう。フラメウへの憎悪や葛藤が霞んでしまうほど、イクスのそばは温かく、とても息がしやすかった。
だがキールは、フラメウを忘れ去ることもできなかった。魔法石が五つ集まり、力が十分満ちた時、彼はフラメウに会いにいった。自分の力を示し、これなら認められるだろうと息巻いた少年に、師であり父でもある男は、憂鬱な瞳を向けるだけだった。
なぜそんな瞳を向けられるのか、キールには理解できなかった。溢れる魔力を誇示したところで、フラメウは首を横に振り、蔑むような眼差して一言、こう呟いたのだった。
「お前がそこまでして手に入れたかったものが、これか。……この、出来損ないが」
瞬間、目の前が真っ暗になった。自分の全てを否定された。今までの想いも、かつて感じていたはずの思慕も、全てが怒りと憎しみに反転した。キールは叫びをあげ、フラメウに突進した。たったそれだけの刹那、師であった男は床に倒れ、身体からは赤い雫が流れ落ちていた。
少年の手は赤く染まっていた。震える手のひらから、ナイフが床に落ちる。どうして、なんて何も言えなかった。取り返しのつかないことをした。清々しさなど何もなく、震えながら後退ったキールは、声にならない絶叫を上げた。
そして、少年の心は崩れて壊れた。責任転嫁でイクスのために殺したのだと言い張り、最後は彼に呪いをかけて逃げ去った。それからあてもなく彷徨い続けたキールは、魔法石を吸収した反動から狂気に取り憑かれ、ある村を襲い、そして。
目を開くと、涙が目尻からこぼれ落ちた。過去の自分が戻ってきたように、キールは声もなく泣き続ける。
こんな結末を望んでいたわけではなかった。子供だった自分が欲しかったものは、魔法などではなく、変わることのない愛情だった。それを壊したのは自分で、いつも壊してしまうのも自分で、あまりの愚かしさに声をあげて泣いた。
どうしようもなかったなんて、嘘だ。ただキール自身が間違えただけ。愛されたかったなら、ちゃんとそれを伝えるべきだったのだ。言葉や態度にしなければ伝わらない。そんな簡単なことに今気づくなど、遅すぎるにもほどがある。
フラメウは、地面に倒れたまま動かない。その傍らでは、祈るようにノヴァが手を組み合わせている。ルパートたちはそんな彼らを見守り——不意に、優しい暖かな風が頰を撫でた。
「なにを、泣いているんだ……キール」
閉じられたままだった唇が、そんな音を刻んだ。冷たくなっていくばかりだった手に力がこもり、そっとかつての子供の顔に触れる。少しかさついた、それでも温かな指先が涙を拭っていく。
「お前というやつは……何も言わなくても、私がわかっていると思っているのだな。だが、私は……そんな器用な人間ではないのだよ。いつだって人の気持ちを取り違えて、失ってしまう。思えば、お前に対してもそうだった」
目を見開き涙をこぼすキールに、フラメウは微笑んだ。それはかつての雪の下で見た、温度のある笑顔と同じものだった。キールは身を震わせ、目を強く閉じて頭を振る。伝えたい思いはたくさんあるのに、言葉にできたのは、どうしようもない言葉だけだった。
「父さんの、馬鹿野郎」
「すまなかった。……やっと本当に会えたな、キール」
微笑もうとしても、もう形にもならなかった。ただ、あなたのもとに帰りたかった。ずっと振り返って欲しかった。嘘なんて何もいらなくて、孤独なんて欲しくもなくて。本当に欲しかったのは両手に収まるだけの優しいぬくもり。それだけがあれば生きていけたはずなのに、一度は自分から捨ててしまった。
けれど今、手に触れる温度があまりにも愛しくて。振り捨てていくのはあまりにも切なくて。
キールは伸ばされた手を握り、子供に戻って泣き続けた。そんな不器用な親子を、ノヴァは幸せそうな目で見守り、そっと一言呟いた。
「そう、いつだってやり直せるもの」
幸せの匂い、優しく穏やかな時間。
永遠ではない世界の中、それはいつだって、あなたのもとに戻れる。
「寒くはないか」
粉雪が降り注ぐ道を、二人で歩く。そんな何気ない瞬間が、キールはとても好きだった。いつもどこか遠い目をしている父が自分を見てくれる。そのことが嬉しくて、何度もせがんでは散歩に出かけた。その度に困った顔をするものの、父であるフラメウはキールに優しかった。
確かに、そこには愛情が存在していた。小さな家で暮らす、穏やかな時間。降り続く雪がもたらす寒さも、二人で寄り添えば気にもならなかった。幼いキールにとってそれが全てで、何も欠けることのない世界だった。
それが壊れたのは、きっと、不意に発したあの時の言葉。
「おとうさん、ぼく、まほうつかいになりたい!」
子供の無垢な願いを、父はどう思い聞いていたのだろう。だが結論を言えば、フラメウはそれから変わってしまった。キールの手をつなぐことも、彼の頭を撫でることも。そして優しく名前を呼ぶことさえもなくなっていった。
今にして思えば、フラメウは子供の願いを叶えようとしていたのだろう。けれど当時のキールには理解できず、泣いてばかりいた。しかしそれでも、父が元に戻らないのだと気づいた時——キールはこう考えたのだ。
子供として認めてもらえないなら、せめて魔法使いといして認めてもらおう。
それからは、恐ろしいまでの執念で魔法に取り組んだ。だがもとより、キールの気質は魔法使いには向いていなかった。脆い心と、拙い魔法。それらを目にするたび、フラメウはかつての弟子の話をするのだ。
イクスなら決して、そんな風に魔法を扱わなかった。そう告げられると、キールの心にまだ見ぬ兄弟子への思いが膨らんでいった。優秀な弟子に対する羨望と、少なくはない嫉妬。それらが限界まで膨れ上がった時、キールは師であるフラメウに願い出た。
イクスのところへ、行かせて欲しい。珍しいキールの自己主張に、フラメウは一度目を閉じ、最後には頷いてくれた。そして、上手くイクスの元に届くよう紹介状をも持たせてくれたのだ。
そしてカーディス王国に渡ったキールは、早速イクスに会いに行く。——ことはなかった。それとは別に、キールには秘めたる願望があったら。
首都フレースベルグに存在する魔法石を手にれ、完璧な魔法使いとなること。
それがキールがイクスに近づいた真の目的であり、フラメウに対する意趣返しでもあった。
そうしてキールは、かろうじて使える精神魔法を用いて、魔法石を手に入れていく。一つでは足りず、また一つと手に入れるたび、フラメウやイクスに近づける気がした。
二人に肩を並べられる自分ならば、きっとフラメウも褒めてくれる。そうやって想像することはとても幸せで、キールは自分の行動を罪だとは考えもしなかった。
けれど、イクスを欺いていることだけは、心にわずかな痛みをもたらしていた。イクスもまた、フラメウに人生を狂わされたのだ一人であるのなら、彼の願いだけは叶えてあげたいと、そう思いさえもした。
いや、そんな思いがなかったとしても、キールは彼のそばにいたいと願っただろう。フラメウへの憎悪や葛藤が霞んでしまうほど、イクスのそばは温かく、とても息がしやすかった。
だがキールは、フラメウを忘れ去ることもできなかった。魔法石が五つ集まり、力が十分満ちた時、彼はフラメウに会いにいった。自分の力を示し、これなら認められるだろうと息巻いた少年に、師であり父でもある男は、憂鬱な瞳を向けるだけだった。
なぜそんな瞳を向けられるのか、キールには理解できなかった。溢れる魔力を誇示したところで、フラメウは首を横に振り、蔑むような眼差して一言、こう呟いたのだった。
「お前がそこまでして手に入れたかったものが、これか。……この、出来損ないが」
瞬間、目の前が真っ暗になった。自分の全てを否定された。今までの想いも、かつて感じていたはずの思慕も、全てが怒りと憎しみに反転した。キールは叫びをあげ、フラメウに突進した。たったそれだけの刹那、師であった男は床に倒れ、身体からは赤い雫が流れ落ちていた。
少年の手は赤く染まっていた。震える手のひらから、ナイフが床に落ちる。どうして、なんて何も言えなかった。取り返しのつかないことをした。清々しさなど何もなく、震えながら後退ったキールは、声にならない絶叫を上げた。
そして、少年の心は崩れて壊れた。責任転嫁でイクスのために殺したのだと言い張り、最後は彼に呪いをかけて逃げ去った。それからあてもなく彷徨い続けたキールは、魔法石を吸収した反動から狂気に取り憑かれ、ある村を襲い、そして。
目を開くと、涙が目尻からこぼれ落ちた。過去の自分が戻ってきたように、キールは声もなく泣き続ける。
こんな結末を望んでいたわけではなかった。子供だった自分が欲しかったものは、魔法などではなく、変わることのない愛情だった。それを壊したのは自分で、いつも壊してしまうのも自分で、あまりの愚かしさに声をあげて泣いた。
どうしようもなかったなんて、嘘だ。ただキール自身が間違えただけ。愛されたかったなら、ちゃんとそれを伝えるべきだったのだ。言葉や態度にしなければ伝わらない。そんな簡単なことに今気づくなど、遅すぎるにもほどがある。
フラメウは、地面に倒れたまま動かない。その傍らでは、祈るようにノヴァが手を組み合わせている。ルパートたちはそんな彼らを見守り——不意に、優しい暖かな風が頰を撫でた。
「なにを、泣いているんだ……キール」
閉じられたままだった唇が、そんな音を刻んだ。冷たくなっていくばかりだった手に力がこもり、そっとかつての子供の顔に触れる。少しかさついた、それでも温かな指先が涙を拭っていく。
「お前というやつは……何も言わなくても、私がわかっていると思っているのだな。だが、私は……そんな器用な人間ではないのだよ。いつだって人の気持ちを取り違えて、失ってしまう。思えば、お前に対してもそうだった」
目を見開き涙をこぼすキールに、フラメウは微笑んだ。それはかつての雪の下で見た、温度のある笑顔と同じものだった。キールは身を震わせ、目を強く閉じて頭を振る。伝えたい思いはたくさんあるのに、言葉にできたのは、どうしようもない言葉だけだった。
「父さんの、馬鹿野郎」
「すまなかった。……やっと本当に会えたな、キール」
微笑もうとしても、もう形にもならなかった。ただ、あなたのもとに帰りたかった。ずっと振り返って欲しかった。嘘なんて何もいらなくて、孤独なんて欲しくもなくて。本当に欲しかったのは両手に収まるだけの優しいぬくもり。それだけがあれば生きていけたはずなのに、一度は自分から捨ててしまった。
けれど今、手に触れる温度があまりにも愛しくて。振り捨てていくのはあまりにも切なくて。
キールは伸ばされた手を握り、子供に戻って泣き続けた。そんな不器用な親子を、ノヴァは幸せそうな目で見守り、そっと一言呟いた。
「そう、いつだってやり直せるもの」
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