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第二部「あなたに贈るシフソフィラ」編
17:そして、『孤高』は生まれゆく
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「——そうか。あの少年は消えたか……貴殿もご苦労だったな」
夜が明け、新たな一日が訪れた。その事実を魔法使いが受け入れるためには、しばしの時間が必要だった。
王城の裏庭にある、魔法使いの小さな家。その居間の窓辺に佇んで、宰相アストリッドは深いため息を漏らした。椅子に腰かけたイクスは、深くうなだれながら消え入りそうな声で呟く。
「……全ては私の責任だ」
「そう自分を責めてくれるな。肝心な時に何もできなかったのは私たちも同じだ」
穏やかな声で宰相が言えば、扉の脇に立ったヴィルヘルムも深く頷いた。それが慰めでしかないことは、イクスも理解している。あの場にいたにもかかわらず、キールを止められなかったイクスに罪がないはずもない。
——騎士たちが宝物庫に踏み込んだ時、全ては終わっていた。
宝物庫にいたのは、呆然と床に座り込む魔法使いだけ。事件の黒幕であった少年の姿はすでになく、『時の宝杖』の魔法石も力を失い、ただの豪華な杖と成り果てていた。
どうして、あの時キールを止められなかったのか。口には出さなくとも、皆同じ疑問を持ったはずだ。万能の魔法使いと呼ばれ、あらゆる魔法に精通するイクスが——子供一人止められないことなどあるのか、と。
その疑問を宰相や騎士が持たないはずがない。イクスの力の真価を最も間近で見てきたのが、ここにいる二人だからだ。しかし、同時に彼らはイクスの友人でもある。
だから——イクスが故意にキールを逃したのではないかと、そんな疑念を口にすることはなかった。
「宝物庫の『時の宝杖』を含め、盗まれた品は全て返還されてきた。少なくとも、盗まれたものが返ってくれば、貴族連中が表立って大事にすることはなかろうよ。奴らは対面を気にするし、身内に犯人がいたなどという話を広められて困るのは、むしろあちらだろうからな」
「だが……全ての魔法石から魔力は失われた。最後の最後で、キールがその魔力を奪っていったのだろう」
騒ぎが収まった頃、宰相が部屋に戻ると見慣れない箱が置かれていた。慎重に中身を確認してみると、そこには盗まれた装飾品が全て納められていたのだ。
しかし魔法石に秘められた魔力は、完全に失われていた。魔力のない装飾品には興味がなかったのか——真意は不明だが、わざわざそんなことをするのはキール以外にいない。
確かに、盗まれたものは戻ってきた。だが、魔法石の価値が魔力である以上、それが失われたことは大きな損失である。たとえ表立って誰も責めないのだとしても——イクスが自分を責めることに変わりはない。
顔を上げようとしないイクスの姿に、ヴィルは憂鬱そうに息を吐き出した。仕方がないな。そう小さく呟いて、騎士は窓辺に立つ最初に視線を向ける。
「……どのみち、イクスが自分に責任がないと思えるはずもない。それならば、望み通り罰を与えてやってはいかがでしょう? 対外的にも、そうしておけば言い訳は立つ」
「私個人としては、気が進まないところだが……他でもないヴァールハイトの言葉だ。どうする、魔法使い?」
不問に処す。そう言わないまでも、宰相としては魔法使いを罪に問いたくはないのだろう。依怙贔屓《えこひいき》と言われればそれまでだが、そんなことで失えるほど魔法使いの存在は軽くない。
魔法使いだから、責任に問わないということか——皮肉のように呟いて、イクスは薄い笑みを浮かべる。普段とはまるで違う表情に、騎士たちは目を見張る。だが、魔法使いはその反応にも笑みを崩さなかった。
「そうだな。どうせだから重い罰でも構わないのだぞ? ついでに処刑でもしておくか?」
「……貴殿にしては笑えない冗談だ。そこまで罰が欲しいのなら、しばらく謹慎しておくといい。ゆっくり休めば、落ち着いて物事を考えられるようにもなるだろう。まあ、暇であれば気晴らしに散歩でもすればいい」
冗談めかして宰相は言う。けれどイクスが顔を上げることはなかった。俯いたまま、薄い笑みだけを顔に貼り付けている。魔法使いらしからぬ様子に、宰相は眉間に指を当て短く息を吐き出した。
「……とにかく、ゆっくり休むといい。ヴァールハイト、あとは頼む」
「了解しました」
最後に一度だけ視線を向けて、アストリッドは部屋から歩き去る。扉が閉じる音が響いても、イクスの顔からその笑みが消えることはなかった。
仮面のように動かない笑みを、ヴィルは沈痛な表情で見つめる。口を開きかけ、何も言うことも出来ず。騎士が口にできたのは、結局ありきたりなことだった。
「……イクス。俺にできることがあるなら言ってくれ。何でもいいから」
「うるさい」
低く放たれた声。その声音は、魔法使いのものとは思えないほど掠れていた。顔を上げることもなく、手を握りしめたイクスは——まるで懇願するかのように拒絶の言葉を吐き出していた。
「うるさい……出て行け……頼む、頼むから。私を、一人にしてくれ」
「……イクス」
戸惑いながらも、騎士はその場を動こうとはしない。しかし、再度懇願が繰り返されると、ためらいながらも部屋の扉に手をかけた。
「わかった。……また、様子を見に来るから」
そう言い残し、騎士は出ていく。扉がそっと閉められ、足音が遠ざかっていく。それと同時だった。イクスは突然、支えを失ったように椅子から転げ落ちた。
無残に床に倒れこみ、魔法使いは呻きを上げる。そんな主人に気づいたのか、どこからともなく『ネコ』が駆け寄ってきた。短く鳴く猫《かれ》に目を向けながらも、イクスの口から漏れたのは——。
「何故、俺は——」
イクスの体に、『黒い何か』と言うしかないものがまとわりつく。ネコは跳び退き、全身の毛を逆立てる。異様な気配を発しながら、揺らめくように立ち上がった魔法使いは——目の前にいる猫《かれ》に、まるで知らないものを見るような目を向けた。
——そして、それからわずかばかりの時が流れ——
満月の下に、一つの影が立ち尽くしていた。王城の裏庭で月を見上げていた『それ』は、折れそうなほどに痩せ細っていた。かつてを知るものであったなら、その姿の異常性に気づいただろう。
このひと月の間で、彼に何があったのか。それを正確に知るものは誰もいない。訪れる騎士や友人たちすらも拒絶し続けた想いを、そして苦しみを——イクスは誰にも告げることは出来なかった。
細い手が、月に伸ばされる。血走った目が見ていたのは、光でも闇でもなく、ただ一つの憧憬。かつて願っていた想いが心を蝕み、魔法使いであったはずの彼はいつしか全てを忘れつつあった。
「あなたの願いを」
忘れるべきではない。忘れてはならないもの。それはイクスをイクスたらしめていた、多くの想い。大切に守り続けてきた、やさしい時間を形作るもの。
「叶えさせてあげる」
けれどもう、手を伸ばすだけの彼の目には、一つのものしか映らない。求めるだけの器と化した彼は、うわごとのように言葉を呟き続ける。
孤独が人間を魔法使いに変え、誰かの愛が魔法を呪いに貶める。
それが定められたことだと言うのなら、私は何のために生きているのだ?
わからない。もう、なにもわからないんだ。いいや、本当はとっくの昔にわかっていた。
「——何も得られず、生きろと言うのなら」
手が月をつかむことはない。しかし今この時だけは、彼の手の中に落ちてくる。満月が溢れさせた光を掴み取り、彼は——
「何故、『己』のためだけに生きては行けないのだろうか——」
——真に禍々しきは、空に響きし邪なる哄笑《こうしょう》。
其の名は『孤高』。黒き腕《かいな》にて、数多の黄昏を血に染めし者なり——
こうしてイクスだったものは、大切だった全てのものを破壊する『孤高』へと堕ちた。
夜が明け、新たな一日が訪れた。その事実を魔法使いが受け入れるためには、しばしの時間が必要だった。
王城の裏庭にある、魔法使いの小さな家。その居間の窓辺に佇んで、宰相アストリッドは深いため息を漏らした。椅子に腰かけたイクスは、深くうなだれながら消え入りそうな声で呟く。
「……全ては私の責任だ」
「そう自分を責めてくれるな。肝心な時に何もできなかったのは私たちも同じだ」
穏やかな声で宰相が言えば、扉の脇に立ったヴィルヘルムも深く頷いた。それが慰めでしかないことは、イクスも理解している。あの場にいたにもかかわらず、キールを止められなかったイクスに罪がないはずもない。
——騎士たちが宝物庫に踏み込んだ時、全ては終わっていた。
宝物庫にいたのは、呆然と床に座り込む魔法使いだけ。事件の黒幕であった少年の姿はすでになく、『時の宝杖』の魔法石も力を失い、ただの豪華な杖と成り果てていた。
どうして、あの時キールを止められなかったのか。口には出さなくとも、皆同じ疑問を持ったはずだ。万能の魔法使いと呼ばれ、あらゆる魔法に精通するイクスが——子供一人止められないことなどあるのか、と。
その疑問を宰相や騎士が持たないはずがない。イクスの力の真価を最も間近で見てきたのが、ここにいる二人だからだ。しかし、同時に彼らはイクスの友人でもある。
だから——イクスが故意にキールを逃したのではないかと、そんな疑念を口にすることはなかった。
「宝物庫の『時の宝杖』を含め、盗まれた品は全て返還されてきた。少なくとも、盗まれたものが返ってくれば、貴族連中が表立って大事にすることはなかろうよ。奴らは対面を気にするし、身内に犯人がいたなどという話を広められて困るのは、むしろあちらだろうからな」
「だが……全ての魔法石から魔力は失われた。最後の最後で、キールがその魔力を奪っていったのだろう」
騒ぎが収まった頃、宰相が部屋に戻ると見慣れない箱が置かれていた。慎重に中身を確認してみると、そこには盗まれた装飾品が全て納められていたのだ。
しかし魔法石に秘められた魔力は、完全に失われていた。魔力のない装飾品には興味がなかったのか——真意は不明だが、わざわざそんなことをするのはキール以外にいない。
確かに、盗まれたものは戻ってきた。だが、魔法石の価値が魔力である以上、それが失われたことは大きな損失である。たとえ表立って誰も責めないのだとしても——イクスが自分を責めることに変わりはない。
顔を上げようとしないイクスの姿に、ヴィルは憂鬱そうに息を吐き出した。仕方がないな。そう小さく呟いて、騎士は窓辺に立つ最初に視線を向ける。
「……どのみち、イクスが自分に責任がないと思えるはずもない。それならば、望み通り罰を与えてやってはいかがでしょう? 対外的にも、そうしておけば言い訳は立つ」
「私個人としては、気が進まないところだが……他でもないヴァールハイトの言葉だ。どうする、魔法使い?」
不問に処す。そう言わないまでも、宰相としては魔法使いを罪に問いたくはないのだろう。依怙贔屓《えこひいき》と言われればそれまでだが、そんなことで失えるほど魔法使いの存在は軽くない。
魔法使いだから、責任に問わないということか——皮肉のように呟いて、イクスは薄い笑みを浮かべる。普段とはまるで違う表情に、騎士たちは目を見張る。だが、魔法使いはその反応にも笑みを崩さなかった。
「そうだな。どうせだから重い罰でも構わないのだぞ? ついでに処刑でもしておくか?」
「……貴殿にしては笑えない冗談だ。そこまで罰が欲しいのなら、しばらく謹慎しておくといい。ゆっくり休めば、落ち着いて物事を考えられるようにもなるだろう。まあ、暇であれば気晴らしに散歩でもすればいい」
冗談めかして宰相は言う。けれどイクスが顔を上げることはなかった。俯いたまま、薄い笑みだけを顔に貼り付けている。魔法使いらしからぬ様子に、宰相は眉間に指を当て短く息を吐き出した。
「……とにかく、ゆっくり休むといい。ヴァールハイト、あとは頼む」
「了解しました」
最後に一度だけ視線を向けて、アストリッドは部屋から歩き去る。扉が閉じる音が響いても、イクスの顔からその笑みが消えることはなかった。
仮面のように動かない笑みを、ヴィルは沈痛な表情で見つめる。口を開きかけ、何も言うことも出来ず。騎士が口にできたのは、結局ありきたりなことだった。
「……イクス。俺にできることがあるなら言ってくれ。何でもいいから」
「うるさい」
低く放たれた声。その声音は、魔法使いのものとは思えないほど掠れていた。顔を上げることもなく、手を握りしめたイクスは——まるで懇願するかのように拒絶の言葉を吐き出していた。
「うるさい……出て行け……頼む、頼むから。私を、一人にしてくれ」
「……イクス」
戸惑いながらも、騎士はその場を動こうとはしない。しかし、再度懇願が繰り返されると、ためらいながらも部屋の扉に手をかけた。
「わかった。……また、様子を見に来るから」
そう言い残し、騎士は出ていく。扉がそっと閉められ、足音が遠ざかっていく。それと同時だった。イクスは突然、支えを失ったように椅子から転げ落ちた。
無残に床に倒れこみ、魔法使いは呻きを上げる。そんな主人に気づいたのか、どこからともなく『ネコ』が駆け寄ってきた。短く鳴く猫《かれ》に目を向けながらも、イクスの口から漏れたのは——。
「何故、俺は——」
イクスの体に、『黒い何か』と言うしかないものがまとわりつく。ネコは跳び退き、全身の毛を逆立てる。異様な気配を発しながら、揺らめくように立ち上がった魔法使いは——目の前にいる猫《かれ》に、まるで知らないものを見るような目を向けた。
——そして、それからわずかばかりの時が流れ——
満月の下に、一つの影が立ち尽くしていた。王城の裏庭で月を見上げていた『それ』は、折れそうなほどに痩せ細っていた。かつてを知るものであったなら、その姿の異常性に気づいただろう。
このひと月の間で、彼に何があったのか。それを正確に知るものは誰もいない。訪れる騎士や友人たちすらも拒絶し続けた想いを、そして苦しみを——イクスは誰にも告げることは出来なかった。
細い手が、月に伸ばされる。血走った目が見ていたのは、光でも闇でもなく、ただ一つの憧憬。かつて願っていた想いが心を蝕み、魔法使いであったはずの彼はいつしか全てを忘れつつあった。
「あなたの願いを」
忘れるべきではない。忘れてはならないもの。それはイクスをイクスたらしめていた、多くの想い。大切に守り続けてきた、やさしい時間を形作るもの。
「叶えさせてあげる」
けれどもう、手を伸ばすだけの彼の目には、一つのものしか映らない。求めるだけの器と化した彼は、うわごとのように言葉を呟き続ける。
孤独が人間を魔法使いに変え、誰かの愛が魔法を呪いに貶める。
それが定められたことだと言うのなら、私は何のために生きているのだ?
わからない。もう、なにもわからないんだ。いいや、本当はとっくの昔にわかっていた。
「——何も得られず、生きろと言うのなら」
手が月をつかむことはない。しかし今この時だけは、彼の手の中に落ちてくる。満月が溢れさせた光を掴み取り、彼は——
「何故、『己』のためだけに生きては行けないのだろうか——」
——真に禍々しきは、空に響きし邪なる哄笑《こうしょう》。
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