14 / 86
第二部「あなたに贈るシフソフィラ」編
3:導かれた発端の糸
しおりを挟む
連行する、などと剣呑な言い方とともに連れてこられたのは、城の上層にある執務室だった。
「よく来てくれた魔法使い。突然呼び立ててすまなかったな」
快活な声音とともに振り返ったその人物——アストリッド・クロア・メンフィスは、切れ長の緑の瞳を細めて笑う。予想外、というには少々馴染みすぎた姿に、イクスは苦笑いして首を振る。
「まったくだ、いつもながらに驚かせてくれる。我らが宰相どのは相変わらず人が悪い」
「宰相ともなると、そうそう素直に振る舞うわけにも行かなくてな。不本意ながら少々悪辣なふりをしているんだ。だが、そんなことは『万能の魔法使い』にはお見通しだろう?」
悪辣というには闊達《かったつ》すぎる笑顔を前に、イクスは曖昧に笑い返すしかない。
その横ではヴィルが顔を伏せ、肩を震わせている。そんな騎士の足を踏みつけておいてから、イクスは宰相に向かって一歩踏み出す。
「そうだな、呼び出しの理由が少なくとも、貴女の婚儀についての相談でないことはわかる」
「相変わらず愉快なやつだな! 今この国に、私と結婚したいと本気で思う男がいるはずがなかろう。裏で私がなんと呼ばれているか、知らぬ貴殿でもあるまい?」
「……『女獅子』だったか。なかなかに勇ましい呼び名ではないか。さすが女性としてその地位に上り詰めるだけはある」
言っていろ、と軽く笑い飛ばし、カーディスの女宰相はイクスに座るよう促す。
宰相の執務室にはいつも、仄かに甘い花の香りが漂う。テーブルに飾られ瑞々しい白バラを目にして、イクスはいつもながらに意外な思いにとらわれる。
園芸を趣味とするアストリッドは、自ら育てた花々を部屋に飾っている。宰相でなければ花を育てて暮らしたい。そう言って憚らないほどに、彼女が花に傾ける情熱は強く激しい。
だからと言って、実際に花屋になるわけもないのだが。こうしてアストリッドが咲かせた花々を見ていると、実はそちらの方が合っているのではという気もするのである。
「さて、呼び出しておいて茶も出せず申し訳ない。内密の話のため、侍女を入れるわけにも行かなくてな」
ソファにイクスが腰掛けるなり、宰相は口火を切った。灰色の髪の下で輝く緑の瞳。緑柱石《ベリル》に例えられる美しいまなざしを受けて、イクスは軽く笑ってみせる。
「構わない。私も茶飲み話をしに来たわけではないし……それで、話というのはやはり、ラッセン公国のことか?」
ラッセン公国。その名を耳にした騎士は、控えていた扉の脇で眉を寄せた。宰相も笑みは崩さないものの、軽く椅子に座りなおす。その反応に、イクスはかの国の情勢が思わしくないことを悟った。
ラッセン公国は、カーディス王国にとって隣国であると同時に、重要な同盟国でもある。
古くよりアルトヘイム大公家が治めるラッセンは、大国ガルディオスと国境を接している関係上、何度も戦火に見舞われて来た。しかしかの国はあえて戦うことはせず、外交のみで国を守り通りした。
それを成し遂げたのが、現ラッセン大公ベルトール・フォン・アルトヘイムである。
その神がかった外交手腕は、大国ガルディオスに『アルトハイムは千の手を持つ』と言わしめた。それ以降ラッセンは小国でありながら、近隣諸国から『策士の国』と呼ばれ、敬意と畏怖を向けられることになる。
そんなラッセン公国だったが、最近になってきな臭い話がちらほらと聞こえてくるようになった。
同盟国の異変を宰相が察していないわけもない。言外にそう匂わせれば、アストリッドは執務机の上で手を組んだ。
「……まあ、あの国に関しては、以前から懸念がないわけではなかった。しかしベルトール大公が存命である限り、ラッセンが万一にも倒れることはないだろうと——大公はまだ齢五十を過ぎたところであるし——高を括っていたのだろうな。どれほど偉大な人物であろうと、人間に違いないことを皆忘れていたのだろう」
「あの狸《たぬき》に何かあったのだな。いや、何かあったから狸がどうにかなったのか」
偉大なる大公を『狸』と呼ばわるのは、魔法使いであるイクスくらいだろう。ラッセンの民が聞いたら刺されそうな台詞に、宰相も騎士もただただ苦笑いするだけだ。
けれど、狸云々はともかくとしても、イクスの言葉は一面の真実を捉えていた。宰相は苦笑いを引っ込めると、灰色の髪先を指でなぞりながら『それ』を告げる。
「ご明察というところだな。大公の馬鹿息子どもが相続権を巡って争ったらしくてな。それを諌めた大公が不幸な事故により、大怪我を負ったそうだ。今は床から起き上がることもできず、その命は風前の灯火だとな」
まったく、くだらないことをしてくれたものだ——感情も込めずに宰相は吐き捨てる。イクスも事の重大さに眉を寄せた。騎士を見れば、彼は忌々しげに唇を噛んでいる。
ベルトール大公が崩御するのは時間の問題と思われた。もしそうなれば、大公の息子たちによって国は二分されるだろう。仲の悪さしか伝わってこない息子たちのこと、穏便に相続が行われるとは思えない。
そうなれば——内乱が起こる。その争いの影響は、ラッセンだけに留まらない。隣国であるカーディスにも何かしらの影響が出るだろう。それが良い事であるはずもなく、イクスは険しい目つきで宰相を見た。
「馬鹿息子どもとはな。偉大なる大公の子は暗愚《あんぐ》揃いということか?」
「親が鷹だからと言って、必ずしも子が鷹となるわけではないということだよ。しかし鷹でなくとも、やつらは鳶《とんび》ではない。中途半端に頭が回るものだから、本当の馬鹿より始末に負えない」
両手を広げた宰相は、本当に面倒くさそうに唇を歪めた。もし事が起これば面倒くさいでは済まないだろうが、それでもそう言いたくなるくらいに状況は混迷を極めている。
争いは退屈なものだ。そう明言して憚《はばか》らない魔法使いとであっても、カーディスに降りかかるであろう火の粉を思うと憂鬱になる。守り通した平和が壊れる瞬間など、見たくはないというのに——。
「——まあ、備えはしておくにしても、今現在の状況で貴殿の手を借りることはない。今回呼び立てたのは別件でのことだ」
表情を切り替え、宰相は軽やかな笑顔を浮かべた。『別件』という台詞に、イクスは思わず壁際のヴィルを睨んだ。その視線を受けた騎士は、心外だと言うように肩をすくめる。
「私は一言もラッセンのことだとは言っておりませんよ。魔法使い殿」
「……確かに言っていないな。一言どころか何一つ。ふざけるのもいい加減にしろ、職務怠慢だぞヴァールハイト」
知らぬ存ぜぬを通そうとするヴィルを、イクスは射殺さんばかりの勢いで睨む。いつもの如く言い争いを始めようとする二人に、アストリッドは慣れた様子で言葉を割り込ませる。
「まあまあ、それくらいにしておけ魔法使い。あまり未来の義弟をいじめないでやってくれ」
『義弟』という呼びかけに、ヴィルの顔は不自然にひきつる。事情が事情だけに追撃もできず、イクスは仕方なく攻撃を中止する。その代わりに宰相へ視線を移すろ、そもそもの問題である疑問を投げかけた。
「では宰相、私をここへ読んだのは一体なんのためなのだ? 内密と言うからには、深刻な事情があるのだろうが……」
「察しが良くて助かる。ただ深刻とは言っても、国が揺らぐような種類のものではないのだ。しかし場合によっては国の威信に関わる。だからこそ、この話は内密に願いたい」
淡い笑みを作りながらも、宰相の目は真剣だった。それだけで、イクスはこの件が下手に扱えない部類のものだと気づく。つまるところ、紛うことなき『厄介ごと』なのだ。
だがそう気づいたところで、アストリッドの言葉を無下にはできない。宮廷魔法使いは宰相の目を捉えると、しっかりと頷いて見せた。
「承知した。話を続けてくれ」
「感謝する。……では本題に入ろう」
宰相は頷き返し、顔を上げる。緑の瞳に先ほどまでの快活さはない。冷徹に冴え渡る視線をイクスに向けて、宰相は静かに口を開いた。
「魔法使い——貴殿には、貴族街で起こった『連続盗難事件』を調査してもらいたい。そして出来うる限り内密に、迅速に事件を解決へと導いてくれ」
アストリッドの言葉は、あまりにも予想外すぎた。
けれど真に想像を絶したのは、事件自体の奇怪さなのだと、今のイクスは知る由もなかった。
「よく来てくれた魔法使い。突然呼び立ててすまなかったな」
快活な声音とともに振り返ったその人物——アストリッド・クロア・メンフィスは、切れ長の緑の瞳を細めて笑う。予想外、というには少々馴染みすぎた姿に、イクスは苦笑いして首を振る。
「まったくだ、いつもながらに驚かせてくれる。我らが宰相どのは相変わらず人が悪い」
「宰相ともなると、そうそう素直に振る舞うわけにも行かなくてな。不本意ながら少々悪辣なふりをしているんだ。だが、そんなことは『万能の魔法使い』にはお見通しだろう?」
悪辣というには闊達《かったつ》すぎる笑顔を前に、イクスは曖昧に笑い返すしかない。
その横ではヴィルが顔を伏せ、肩を震わせている。そんな騎士の足を踏みつけておいてから、イクスは宰相に向かって一歩踏み出す。
「そうだな、呼び出しの理由が少なくとも、貴女の婚儀についての相談でないことはわかる」
「相変わらず愉快なやつだな! 今この国に、私と結婚したいと本気で思う男がいるはずがなかろう。裏で私がなんと呼ばれているか、知らぬ貴殿でもあるまい?」
「……『女獅子』だったか。なかなかに勇ましい呼び名ではないか。さすが女性としてその地位に上り詰めるだけはある」
言っていろ、と軽く笑い飛ばし、カーディスの女宰相はイクスに座るよう促す。
宰相の執務室にはいつも、仄かに甘い花の香りが漂う。テーブルに飾られ瑞々しい白バラを目にして、イクスはいつもながらに意外な思いにとらわれる。
園芸を趣味とするアストリッドは、自ら育てた花々を部屋に飾っている。宰相でなければ花を育てて暮らしたい。そう言って憚らないほどに、彼女が花に傾ける情熱は強く激しい。
だからと言って、実際に花屋になるわけもないのだが。こうしてアストリッドが咲かせた花々を見ていると、実はそちらの方が合っているのではという気もするのである。
「さて、呼び出しておいて茶も出せず申し訳ない。内密の話のため、侍女を入れるわけにも行かなくてな」
ソファにイクスが腰掛けるなり、宰相は口火を切った。灰色の髪の下で輝く緑の瞳。緑柱石《ベリル》に例えられる美しいまなざしを受けて、イクスは軽く笑ってみせる。
「構わない。私も茶飲み話をしに来たわけではないし……それで、話というのはやはり、ラッセン公国のことか?」
ラッセン公国。その名を耳にした騎士は、控えていた扉の脇で眉を寄せた。宰相も笑みは崩さないものの、軽く椅子に座りなおす。その反応に、イクスはかの国の情勢が思わしくないことを悟った。
ラッセン公国は、カーディス王国にとって隣国であると同時に、重要な同盟国でもある。
古くよりアルトヘイム大公家が治めるラッセンは、大国ガルディオスと国境を接している関係上、何度も戦火に見舞われて来た。しかしかの国はあえて戦うことはせず、外交のみで国を守り通りした。
それを成し遂げたのが、現ラッセン大公ベルトール・フォン・アルトヘイムである。
その神がかった外交手腕は、大国ガルディオスに『アルトハイムは千の手を持つ』と言わしめた。それ以降ラッセンは小国でありながら、近隣諸国から『策士の国』と呼ばれ、敬意と畏怖を向けられることになる。
そんなラッセン公国だったが、最近になってきな臭い話がちらほらと聞こえてくるようになった。
同盟国の異変を宰相が察していないわけもない。言外にそう匂わせれば、アストリッドは執務机の上で手を組んだ。
「……まあ、あの国に関しては、以前から懸念がないわけではなかった。しかしベルトール大公が存命である限り、ラッセンが万一にも倒れることはないだろうと——大公はまだ齢五十を過ぎたところであるし——高を括っていたのだろうな。どれほど偉大な人物であろうと、人間に違いないことを皆忘れていたのだろう」
「あの狸《たぬき》に何かあったのだな。いや、何かあったから狸がどうにかなったのか」
偉大なる大公を『狸』と呼ばわるのは、魔法使いであるイクスくらいだろう。ラッセンの民が聞いたら刺されそうな台詞に、宰相も騎士もただただ苦笑いするだけだ。
けれど、狸云々はともかくとしても、イクスの言葉は一面の真実を捉えていた。宰相は苦笑いを引っ込めると、灰色の髪先を指でなぞりながら『それ』を告げる。
「ご明察というところだな。大公の馬鹿息子どもが相続権を巡って争ったらしくてな。それを諌めた大公が不幸な事故により、大怪我を負ったそうだ。今は床から起き上がることもできず、その命は風前の灯火だとな」
まったく、くだらないことをしてくれたものだ——感情も込めずに宰相は吐き捨てる。イクスも事の重大さに眉を寄せた。騎士を見れば、彼は忌々しげに唇を噛んでいる。
ベルトール大公が崩御するのは時間の問題と思われた。もしそうなれば、大公の息子たちによって国は二分されるだろう。仲の悪さしか伝わってこない息子たちのこと、穏便に相続が行われるとは思えない。
そうなれば——内乱が起こる。その争いの影響は、ラッセンだけに留まらない。隣国であるカーディスにも何かしらの影響が出るだろう。それが良い事であるはずもなく、イクスは険しい目つきで宰相を見た。
「馬鹿息子どもとはな。偉大なる大公の子は暗愚《あんぐ》揃いということか?」
「親が鷹だからと言って、必ずしも子が鷹となるわけではないということだよ。しかし鷹でなくとも、やつらは鳶《とんび》ではない。中途半端に頭が回るものだから、本当の馬鹿より始末に負えない」
両手を広げた宰相は、本当に面倒くさそうに唇を歪めた。もし事が起これば面倒くさいでは済まないだろうが、それでもそう言いたくなるくらいに状況は混迷を極めている。
争いは退屈なものだ。そう明言して憚《はばか》らない魔法使いとであっても、カーディスに降りかかるであろう火の粉を思うと憂鬱になる。守り通した平和が壊れる瞬間など、見たくはないというのに——。
「——まあ、備えはしておくにしても、今現在の状況で貴殿の手を借りることはない。今回呼び立てたのは別件でのことだ」
表情を切り替え、宰相は軽やかな笑顔を浮かべた。『別件』という台詞に、イクスは思わず壁際のヴィルを睨んだ。その視線を受けた騎士は、心外だと言うように肩をすくめる。
「私は一言もラッセンのことだとは言っておりませんよ。魔法使い殿」
「……確かに言っていないな。一言どころか何一つ。ふざけるのもいい加減にしろ、職務怠慢だぞヴァールハイト」
知らぬ存ぜぬを通そうとするヴィルを、イクスは射殺さんばかりの勢いで睨む。いつもの如く言い争いを始めようとする二人に、アストリッドは慣れた様子で言葉を割り込ませる。
「まあまあ、それくらいにしておけ魔法使い。あまり未来の義弟をいじめないでやってくれ」
『義弟』という呼びかけに、ヴィルの顔は不自然にひきつる。事情が事情だけに追撃もできず、イクスは仕方なく攻撃を中止する。その代わりに宰相へ視線を移すろ、そもそもの問題である疑問を投げかけた。
「では宰相、私をここへ読んだのは一体なんのためなのだ? 内密と言うからには、深刻な事情があるのだろうが……」
「察しが良くて助かる。ただ深刻とは言っても、国が揺らぐような種類のものではないのだ。しかし場合によっては国の威信に関わる。だからこそ、この話は内密に願いたい」
淡い笑みを作りながらも、宰相の目は真剣だった。それだけで、イクスはこの件が下手に扱えない部類のものだと気づく。つまるところ、紛うことなき『厄介ごと』なのだ。
だがそう気づいたところで、アストリッドの言葉を無下にはできない。宮廷魔法使いは宰相の目を捉えると、しっかりと頷いて見せた。
「承知した。話を続けてくれ」
「感謝する。……では本題に入ろう」
宰相は頷き返し、顔を上げる。緑の瞳に先ほどまでの快活さはない。冷徹に冴え渡る視線をイクスに向けて、宰相は静かに口を開いた。
「魔法使い——貴殿には、貴族街で起こった『連続盗難事件』を調査してもらいたい。そして出来うる限り内密に、迅速に事件を解決へと導いてくれ」
アストリッドの言葉は、あまりにも予想外すぎた。
けれど真に想像を絶したのは、事件自体の奇怪さなのだと、今のイクスは知る由もなかった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「聖女に丸投げ、いい加減やめません?」というと、それが発動条件でした。※シファルルート
ハル*
ファンタジー
コミュ障気味で、中学校では友達なんか出来なくて。
胸が苦しくなるようなこともあったけれど、今度こそ友達を作りたい! って思ってた。
いよいよ明日は高校の入学式だ! と校則がゆるめの高校ということで、思いきって金髪にカラコンデビューを果たしたばかりだったのに。
――――気づけば異世界?
金髪&淡いピンクの瞳が、聖女の色だなんて知らないよ……。
自前じゃない髪の色に、カラコンゆえの瞳の色。
本当は聖女の色じゃないってバレたら、どうなるの?
勝手に聖女だからって持ち上げておいて、聖女のあたしを護ってくれる誰かはいないの?
どこにも誰にも甘えられない環境で、くじけてしまいそうだよ。
まだ、たった15才なんだから。
ここに来てから支えてくれようとしているのか、困らせようとしているのかわかりにくい男の子もいるけれど、ひとまず聖女としてやれることやりつつ、髪色とカラコンについては後で……(ごにょごにょ)。
――なんて思っていたら、頭頂部の髪が黒くなってきたのは、脱色後の髪が伸びたから…が理由じゃなくて、問題は別にあったなんて。
浄化の瞬間は、そう遠くはない。その時あたしは、どんな表情でどんな気持ちで浄化が出来るだろう。
召喚から浄化までの約3か月のこと。
見た目はニセモノな聖女と5人の(彼女に王子だと伝えられない)王子や王子じゃない彼らのお話です。
※残酷と思われるシーンには、タイトルに※をつけてあります。
29話以降が、シファルルートの分岐になります。
29話までは、本編・ジークムントと同じ内容になりますことをご了承ください。
本編・ジークムントルートも連載中です。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる