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4章
4章41話(341話)
しおりを挟むカインとディアと一緒に私の部屋まで歩く。部屋にはリタとタバサが待ってくれていたみたいで、私とディアに気付くとすぐに、
「お茶の用意をしますね」
と、部屋から出て行った。カインも一礼して、「扉の前に居ますので、なにか御用がおありでしたら声を掛けてください」と扉を閉めた。
私とディアは椅子に座り、ゆっくりと息を吐いた。
「ここでの生活には慣れた?」
「ええ、みなさま、とても良くしてくださるわ」
ディアはそう言うと、視線を私に向けた。そして、じっくりと観察するように見つめる。どうしてそんなに見つめられるのかわからなくて首を傾げると、ディアは少し安堵したように胸を撫でおろした。
「どうしたの?」
「……魔力がだいぶ回復したようだから、安心したの。あの日のリザとヴィンセント殿下、顔色が悪くて……このまま目が覚めないんじゃないかって、怖かったのよ」
ディアが眉を下げて、無理矢理微笑みを浮かべる。その姿を見て、本当に心配を掛けたんだと理解した。ううん、心配を掛けている自覚はあったのだけど、それがどういうことなのか、理解出来ていなかったと思う。
「……ごめんね、心配を掛けて」
「……そこは『ありがとう』じゃない?」
くすっと笑うディアを見て、私は小さくうなずいた。
「ありがとう、ディア。心配してくれて」
「どういたしまして。なんて、わたくしが勝手に心配していただけなんだけどね。アルフレッド様も、シリル様も冷静だったわ。おふたりとも、わたくしとジェリー、そしてジュリーのことを気に掛けてくれて……」
ディアは私が目覚める前のことを話してくれた。アル兄様もシー兄様も私とヴィニー殿下のことを心配してくれていたけれど、それよりもここに帰ってくることに重点を置いたらしい。
あの場に居るよりも、ここに帰って眠らせたほうが良いと判断したらしく、ブランドン様とアミーリア様に声を掛けて急いで帰ってきたそうだ。
「屋敷のみんな、あなたの顔色が悪いからショックを受けていたのよ?」
「……そうなの?」
「ええ。マリア様がそんな屋敷の人たちに『なにをしているの? 今は、この子をベッドに運ぶことが優先でしょう』と声を掛けたの。でも、その声も震えていたわ」
お母様……。きゅっと拳を握って目線を下げる。心配を掛けてばかりだわ、私。
「……マリア様は、リザをベッドに寝かせてからわざわざわたくしに声を掛けてくださったの」
「お母様が?」
「ええ。心配してくださったわ。わたくしは大丈夫なのかって。わたくし、思わず泣いてしまって……、慰めていただいたわ」
ディアが泣いてしまうくらい、怖かったのね。私とヴィニー殿下が『居なくなる可能性』があったことが。
「無事に目覚めてくれて、良かった」
「……うん、ありがとう、ディア」
もう一度お礼の言葉を口にすると、ディアはにこっと微笑んでくれた。
それと同時に、扉がノックされる音が聞こえた。「どうぞ」と口にすると、リタがお茶を用意して持って来てくれた。
ティーカップにお茶を淹れて、私たちに渡してくれる。
「それでは、私たちは下がっておりますので、たくさんお話してくださいませ」
カインから私とディアが話すって聞いたのかな? 一礼して部屋から出て行き、部屋には私とディアが残された。
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